都の春を
月をな泣きそ不忍(しのばず)に
春な歎きそ言問(こととひ)に
あはれを知らば思ひ出の
何処(いづ こ)とわかつ涙かは
~白居易の「洛中春感」という題の漢詩を、佐藤春夫が訳したもの
華を惜しみて
東風吹きおこる夕日ざし
いとしの桃のさだすぎて
あたら花びらこよひしも
月と誰(た)が家(や)の窓にゆく
~段成式の漢詩を佐藤春夫が訳したもの
(「車塵集・ほるとがる文」より)
都の春を
月をな泣きそ不忍(しのばず)に
春な歎きそ言問(こととひ)に
あはれを知らば思ひ出の
何処(いづ こ)とわかつ涙かは
~白居易の「洛中春感」という題の漢詩を、佐藤春夫が訳したもの
華を惜しみて
東風吹きおこる夕日ざし
いとしの桃のさだすぎて
あたら花びらこよひしも
月と誰(た)が家(や)の窓にゆく
~段成式の漢詩を佐藤春夫が訳したもの
(「車塵集・ほるとがる文」より)
年ごとに春は来れども池みづ に生ふるぬなはは絶えずぞありける(拾遺和歌集)
こりずまのこもりえに生ふる浮きぬなはうき身にものを思ふころかな(古今和歌六帖)
にごり江の水草(みくさ)がくれの浮きぬなはくるしとだにも知る人はなし(続拾遺和歌集)
奥山の岩垣沼のうきぬなは深きこひぢになに乱れけむ(千載和歌集)
山水にきみは生ひねどねぬなはのくるまにまにも思ひますかな(古今和歌六帖)
恋をのみますだの池の浮きぬなはくるにぞものの乱れとはなる(古今和歌六帖)
きのふけふ返すとみえて苗代のあぜ越す水もまづ にごりつつ(新後拾遺和歌集)
高ねには櫻も咲きぬ小山田や種まくほどになりぞしぬらし(夫木抄)
あしひきの山のさくらの色見てぞをちかた人もたねは蒔きける(夫木抄)
山川を苗代水にまかすれば田の面(も)にうきて花ぞながるる(風雅和歌集)
やま里の外面(とのも)の小田(をだ)のなはしろに岩まの水をせかぬ日ぞなき(金葉和歌集)
宵ごとにかはづ のあまた鳴く田には水こそまされ雨は降らねど(伊勢物語)
水(み)がくれてすだく蛙(かはづ)の声ながらまかせてけりな小田の苗代(風雅和歌集)
雨ふれば小田のますらをいとまあれや苗代みづを空にまかせて(新古今和歌集)
苗代の水かげ青みわたるなり早稲田(わさだ)の苗の生(お)ひいづるかも(夫木抄)
まだとらぬ早苗の末葉(すゑば)なびくなりすだく蛙の声のひびきに(夫木抄)