むらさきの糸縒りかくる藤の花この春雨にほころびにけり(堀河百首)
濡るるさへうれしかりけり春雨に色ます藤のしづ くと思へば(金葉和歌集)
うすく濃くみだれて咲ける藤の花ひとしき色はあらじとぞ思ふ(拾遺和歌集)
むらさきのふぢ咲くころの朝ぐもりつねより花の色ぞまされる(風雅和歌集)
ふぢのはな宮(みや)のうちにはむらさきの雲かとのみぞあやまたれける(拾遺和歌集)
ここのへに咲けるを見れば藤のはな濃きむらさきの雲ぞたちける(千載和歌集)
ゆく月日おもほえねども藤のはな見れば暮れぬる春ぞ知らるる(貫之集)
藤の花おもへばつらき色なれや咲くと見しまに春ぞ暮れぬる(風雅和歌集)
咲きそめていく日(か)もへぬを藤のはな春のものとや今日のみや見む(壬二集)