「実生(みおい)」の用例年は日本国語大辞典・第二版では1638年ですが、さかのぼる用例を見つけました。
たねまきしみおひの櫻さきしより外にうつらぬ花さかり哉(巻第三百九十四・花月百首)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、870ページ
「実生(みおい)」の用例年は日本国語大辞典・第二版では1638年ですが、さかのぼる用例を見つけました。
たねまきしみおひの櫻さきしより外にうつらぬ花さかり哉(巻第三百九十四・花月百首)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、870ページ
枕詞「山鳥の」という用語には「②山鳥の尾の意で、「尾」と同音を含む「尾上」や、類音を含む「おのづから」「おのれ」や、地名「すゑを」にかかる。」という語釈があります。日本国語大辞典・第二版用例よりも100年ほどさかのぼる用例があるので、以下に挙げます。
やまどりのをのへのはなをことならばかけしかがみにうつしとめばや
(29・為忠家後度百首、桜廿首・嶺上桜・13)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、272ページ
日本国語大辞典・第二版に「爪木樵男・妻気樵男(つまぎこるお)」という単語は立項されていませんが、歌語としては、わりと使われている用語です。語釈は「薪(たきぎ)を取ってくらす山人。」
以下、見つけた用例を古い順に挙げます。
をりえたる妻木こるをに物まうす彼峰なるは雲か桜か
(117・頼政集、66)
『新編国歌大観 第三巻 私家集編1 歌集』角川書店、1985年、516ページ
やどちかくつまぎこるをのつゑをみて山ぢの雪のふかさをぞしる
(46・出観集、588)
『新編国歌大観 第七巻 私家集編3 歌集』角川書店、1989年
山ふかみ跡たえはつる住居かなつまきこるおかかよふ計そ
(巻第三百八十二・正治二年院御百首、上、隆房、山家)
塙保己一編『続群書類従・第十四輯下(訂正三版)』続群書類従完成会、1983年、592ページ
鳥かへる谷のとぼそに雪ふかしつま木こるをの道やたえなん
(巻第八・冬、847、後鳥羽院)
岩佐美代子『風雅和歌集全注釈・上巻(笠間注釈叢刊34)』笠間書院、2002年、586ページ
山里は妻木こるおのをのれのみ通ひ馴たる岩のかけ道
(新続古今和歌集巻第十八・雑歌中・正三位義重・01866)国文学研究資料館HPより
「霞む」という単語には、「声や音などが小さくなってはっきりしないようになる。」という語釈があります。日本国語大辞典・第二版では、1500年代の用例を記載していますが、もっとさかのぼる用例があります。
山路わけ花をたづねて日は暮れぬ宿かし鳥の声もかすみて
『新訂山家集(岩波文庫)』佐佐木信綱校訂、岩波書店、1928年、34ページ
「春の情(なさけ)」という用語は、第2版では『風雅和歌集』(1346-49年頃)からの例を早い用例としてあげていますが、さらに、255年さかのぼる用例があります。
山里のはるのなさけやこれならん霞にしつむ鶯のこゑ
(巻第百八十九・若宮社歌合、三番左、藤原季経)
塙保己一編『群書類従・第十二輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1993年、271ページ