園長のつぶやき

こんにちは 長坂保育園の園長です。日々成長する子ども達を見ながら、日頃の思いを綴ります。

夏が来ると思い出す

2012-07-14 09:36:04 | 日記

園長です。

 今、高校野球の地区予選が行われています。昨日は、去年の夏、今年の春の選抜で準優勝した八戸の雄「光星学院」が初戦でかつての強豪「三沢高校」に大苦戦、延長の末、やっとのことで勝ちました。高校野球は「筋書きのないドラマ」と表現されます。どんなに強いチームでも必ず勝つ・・ということはありません。勝利の女神は気まぐれです。勝つチームもあれば負けるチームもあります。しかし最終的に勝ち残るのは1チームだけで、そのほかはすべて負けることになります。トーナメント勝負には「明日」はありません。この戦い、今日の戦いが全てです。だからこそ高校野球は根強いファンが多いのでしょう。私は負けたチームの涙の姿に感動します。3年間のすべての思いがそこにあるからです。いくら頑張っても勝てるとは限りません。9人の熱い思いと体力・技術の充実そして最後に勝利の女神が微笑んだチームが勝つのです。

 夏が来ると思い出す。私にも甲子園を目指して頑張っていた高校時代がありました。2年生の秋の大会が終わると残った部員はたったの6人。どう転んでもチームができません。2年生4人、1年生2人。秋の大会は他の部から助っ人を頼んで出場したくらいでした。長い冬を6人で過ごし、1年生が入学するのを待ってやっと試合が出来る1チームが出来ました。あのときの感動は忘れません。「これで野球ができる」と3年生4人は涙したのでした。それでも弱小チームのラベルははがれず、練習試合はほとんど負け・・・それでも目指すは「甲子園」なのでした。身の程知らずとはよく言ったものですが、当時は野球留学の子もいなく、市内の高校生のレベルはみんな同じようなものでした。違うのは学校の姿勢ぐらいかな。私の高校は当時創立10年を迎え、地元の進学校に追いつけ追い越せ(大学進学の数)の大合唱で、成績が下がると部活をやめさせる高校でした。私の成績は下がるところがないくらい下だったので、一度も「野球をやめろ」とは言われませんでした。今考えると・・少し屈辱的な思いがしますが・・・。

 最後の試合は、優勝候補一番手に挙げられた青森市の高校に11-3で負けました。私は4打席3三振、1キャッチャーフライと散々な成績で3年間を締めてしまいました。試合が終わった後、初めて応援に来てくれた父親から「ジュースでも飲むか」とやさしい言葉をかけられた瞬間、涙がとどめなく流れ出したことを覚えています。監督から3年生4人に「お前たちは北高の野球部を救った有志だ。胸を張れ。」と言われてまた涙が流れました。あの時の時間はゆっくりゆっくり流れたように思います。私は今年56歳になりました。38年経ってもあの時の、あの場所、あの空気、あの汗のにおい、じりじりと照りつける太陽のひかり、球場を揺るがすような応援・・・そしてあの涙している自分の姿をはっきり思い出すことができます。・・・一生懸命努力しても報われない方が多いのですが、みんなで一つの思いを胸に頑張ったことは今の自分に誇れるような気がします。あの時のメンバーは今でもたまに会って飲み会をしています。当時とはだいぶ変わってしまった容姿に、お互い指をさして笑い合っていますが、あの時の熱い思いがあるから交わせる言葉なのかもしれません。

 最近「いじめ」問題で高校2年生の自殺のことが大きく取り上げられていますが、私には仲間を自殺に追いやるような気持ちが理解できません。暮らしが豊かになり、他人のことより自分のこと、成績だけが人間の価値になってしまった現代の子供たちはこの先どんな大人になっていくのでしょうか・・。私たちが過ごした時代はもっと単純な時代だったと思います。勝ち組、負け組という言葉もなかった、頑張れば何とかなる・・・という時代はもはややってこないのでしょうか。

 今日は私の母校が来年廃校となる青森市の高校と対戦します。わが母校は今年50周年を迎えたそうです。できれば勝たせてあげたいのですが、相手も、本当の「最後の夏」です。複雑な気持ちでいっぱいですが、選手たちにはこの瞬間を大切にしてもらいたいと思います。勝っても負けても今日のことが30年、40年後に笑って話せることであってほしいと思います。頑張れ、全国の高校球児。目指せ甲子園。君たちの流した涙は美しい。作り上げろ「自分が主人公のドラマ」を。

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