園長です。
今年も3月11日がやってきました。テレビでは特集番組で繰り返しあの日の様子を流しています。人間は「忘れる」ことで新しい情報が増えていくそうですが、あの日のあの時間の出来事だけはフラッシュバックで鮮明によみがえってきます。1,000年に一度の地震は私たちに大きな試練を与えました。その中でも「原発」の処理は未だに五里霧中のなかです。「風化」という言葉をよく耳にしますが、原発の事故だけは風化しないで、これからも真剣に向き合ってほしいと思います。被災された福島の人々を思うと胸が痛くなりますが、負けないで生きてほしいと願っています。
さて、ここ数週間、頭から湯気が出そうな忙しさでした。保育の制度が変わるというのはこんなにも大変なことだと改めて実感しています。やはり拙速だったような気がします。1年くらいゆっくり制度を組み立て、周知徹底させてからでもよかったのではないでしょうか。これまで投げてきた保育制度を、今すぐに変えなければならない理由は「待機児童解消」のほかには思い当りませんが、それも2020年の東京オリンピックまで。それ以降は「人口減少社会」が到来し、日本全体が少子化、定員割れに突入します。その時のための制度とは到底思えない内容の今回の改正です。ここ2,3年で保育だけではなく、子供の世界が大きく変わることが予想されます。進化した時代に沿った、これから求められる保育とは何かをもう一度考えてみたいと思います。
ところで、わが園は今度の土曜日、14日が卒園式になっています。いつもより2週間早く行うのですが、これまで平日に行っていた中学校が土曜日の卒業式になったことで、すっかりかぶってしまいました。一家族がそれにあたってしまい、夫婦でどちらに参加するか悩んでいるようです。地域との連携を考えるといろいろ大変なものがありますが、わが園でも、来賓の在り方、行事の選択など今一度考えてみたいと思います。これから認定こども園になり、小学校との連携が大切になりますが、小学校では私たちが考えるほど連携はしたくないように感じます。教育委員会との兼ね合いが難しいところです。教育委員会では認定こども園になったからどうのこうのとは全く考えていないようです。あくまでも「義務教育」の中での教育委員会だということです。国はこのことを考えているのでしょうか。ただ、これ以上に仕事量が増えては大変なので、あまり関知してほしくない気もします。保育園から認定こども園へ移行する園にはもう少し、優しい対応をしてもらいたいものです。
保育業界では3月のことを「師走」というようです。決算、予算、実績報告、新年度準備、業界の各種会議など・・・考えるだけで胃が痛くなるようですが、みんな同じように悩んでいるのでしょうね。一体保育界はこの先どのように進んでいくのでしょうか。先が見えないというのは本当に不安です。今までの延長でなんとか過ごしていますが、来年の今頃は、左団扇になっているのか、ドツボにはまって身動きが取れなくなっているのか・・考えるだけで気が重くなります。保育士不足が深刻ですが、今の仕事量を減らし、もっと子供たちと遊ぶ時間を作らないと、保育士はもちろん、子供の育ち自体を保証できなくなります。保育士に給料を・・・園長に自由時間を・・・どの世界でも余裕のない仕事は良い結果をもたらしません。今こそ改革をすべき時ではないでしょうか。とにかく14日の「卒園式」を無事にすませることがとりあえずの目標です。残り2週間・・・体がもつかなあ。