朝ドラ『半分 青い』もあと1ヶ月で終わる。
毎朝、泣いたり笑ったりと相変わらずだが、
鈴愛と律をついつい応援している私。
まさに、制作者の思う壺である。
ところで、このドラマの多くは、岐阜が舞台になっている。
岐阜は、大好きな斎藤洋さんの『ルドルフとイッパイアッテナ』の
舞台でもある。
だから、好印象をもっていい。
なのに、もう相当昔になるが、
ここは、「ああ思い込みに続く思い込み」があった地で、
私の恥部になっている。
1年近く前、我が一家全員で船橋で会食をした。
その場で、岐阜へ家族旅行したことが話題になった。
「きっと忘れているだろう。」と、
期待していたのに、長男が、言い切った。
「あのことは、しっかりと覚えているよ。」
「あれは、反省した。ちょっとした勢い。忘れてほしい・・」
すかさず、明るく言い逃れを口にした。
長男の記憶は、ある1つのことだけだったが、
一番忘れてほしいものだった。
◆ 確か長男は小学4年生、二男は1年生だった。
暮れが近づき、正月をどう過ごそうか、
夕食後の話題になった。
その時、丁度テレビから、
五木ひろしの『長良川艶歌』が聞こえてきた。
思いつきも、はなはだしい。
「よーし、岐阜へ行こう。
鵜飼いを見たりして、織田信長の岐阜を見物しよう。」
父の突然の提案である。
家族は何も言えなかった。
早速、大晦日から正月にかけて2泊3日、
長良川沿いの温泉宿と新幹線の指定席を手配した。
後は、旅行ガイドをザッとめくってみた。
近くには、犬山城も、明治村も。
岐阜市内には、お城もあるようだし・・・。
現地へ行ってから、観光計画は考えればいい。
そんな緩い緩い旅行だった。
これが、『ああ思い込み』の始まりになった。
◆ 旅館に着いて、最初の思い込みが発覚した。
有名な長良川の鵜飼いである。
私は、季節を問わず、いつでも見物できると思っていた。
だから、
「鵜飼いは何時からですか。」
部屋に案内されてすぐ、仲居さんに尋ねた。
「お客さん、10月で終わってます。」
「エエッ、やってないの!」
岐阜まで出向いた大晦日。
温泉には入ったが、後は紅白歌合戦を見て終わってしまった。
私は、旅館にあった観光ガイドを次々と手にとり、
翌日の計画を練った。
◆ 元日、朝食を終え、若干時間をおいてから、
最初に、初詣を兼ねて、市内の正法寺と言うお寺へ行った。
一番の目的は、ここにある『岐阜大仏』だった。
昨夜、観光パンフレットで食い入るように見た。
『日本三大大仏』だと言う。
奈良の大仏、鎌倉の大仏、そして岐阜の大仏なのだ。
思いがけない大仏との出会いに胸躍った。
家内にも子ども達にも、
『三大大仏』への期待を口にした。
そして、大仏殿へ足を入れた。
確かに大きい仏像だった。
しかし、奈良や鎌倉の大仏とは、おもむきが全然違った。
一応、初詣なので、その大仏に合掌し、新年のご挨拶をした。
しかし、どこか釈然としない。
大仏の説明書きを見た。
別名『籠大仏(かごだいぶつ)』と言うらしい。
竹材を編んで形を造り、
粘土で固めた上から和紙を貼ったものだった。
だから、私の知る大仏のあの重厚さが、感じられないのだ。
これとて大きさは大仏。
しかし、私の期待感は小さく縮んだ。
あまりにも『日本三大大仏』への思い込みが過ぎたのだ。
お寺を出て、家族には言い訳も出来なかったぁ。
◆ その後、電車に乗り、名鉄犬山駅へ行った。
目的は、『日本モンキーセンター』だ。
観光パンフレットによると、
「世界屈指のサル類動物園」だと言う。
『鵜飼い見物』、『岐阜大仏』の失態を挽回したかった。
バスに乗り換えるには、少し時間があった。
駅構内を見わたした。
これから行くモンキーセンターの案内があった。
3人を引き連れ、それを見にいった。
「きっとそこでしか見ることができないサルが、
いっぱいいるのだろう。」
そんな思いで近づくと、こんな言葉があった。
『ジャンボゴリラが、みなさんを待ってます。』
横に、ゴリラの大きな足跡があった。
「エッ、ジャンボゴリラがいるの!」
足跡から、その大きさを想像した。
「これで、挽回できる。」
「どんな大きさのゴリラなんだろう。」
ワクワクした気持ちを隠しながら、
センターに着いてからは、檻にいるサルたちを見て回った。
鳥の声に似たサル、リスと変わらないようなサル、
色鮮やかな毛並みのサルなど、次々と珍しいサルを見た。
しかし、私の関心事は、ジャンボゴリラだ。
早く見たかった。
そのゴリラだけでなく、
2人の息子の驚きの表情が楽しみだった。
センターの方を見ると尋ねた。
「ジャンボゴリラはどこにいますか?」
そしてついに、案内掲示にあった場所に近づいた。
思い込みもはなはだしい。
それは、コンクリート製の大きな置物だった。
大きな台座に腰掛けた動かないジャンボゴリラが、
私たちを見下ろしていた。
てっきり、大きな檻に入った、
巨大なゴリラが動き回っていると思っていた。
駅の足跡が、ずっと頭にあった。
私の勝手な思い込みだった。
「そんなゴリラがいるはずないよ。」
息子達に諭され、私は肩を落とし、うな垂れるだけだった。
◆3日目、もう、早く岐阜を後にしたかった。
名古屋まで戻って、熱田神宮をお参りし、
その後、明治村へでも行ってから、帰宅しよう。
そうしようと決めた。
なんとこれが、今も長男が忘れていない、
最高の思い込みの始まりだった。
朝食後、早々宿を後にした。
岐阜駅から新幹線で、名古屋駅に行くことにした。
4人分の帰りの新幹線指定券を持っていた。
改札を通る時、駅員に訊いた。
「このキップで、名古屋駅で下車できますか。」
「はい、できますよ。」
ごく普通のやり取りだった。
ところが名古屋駅に着き、改札を出ようとした時だった。
途中下車なので、そのキップを見せるだけでいいと思っていた。
だが、改札口の駅員が言った。
「駅を出るんですか。キップを頂きます。」
「エッ、東京駅までのキップだよ。」
「でも、ここで改札を出るのでしたら、キップを貰います。」
改札口で、同じ問答をくり返した。
周りが混雑した。
「精算口で話してくだい。」
今度は、精算口で同じ問答をくり返すことになった。
駅員は言う。
「どうしても名古屋見物をしたいなら、
このキップはここまでです。
東京駅までは、新たにキップを購入してお帰りください。」
「そんな無茶な。」
私が言うと、
「キップを無駄にしたくないのなら、
このまま指定をとってある夕方の時間まで、
改札口内でお過ごし下さい。」
「それは無理でしょう。」
精算口でやり取りが続いた。
後ろに長い列ができた。
息子達も家内も、何度も何度も私の上着を引っ張った。
私は承服出来なかった。
とうとう別の部室に案内された。
岐阜駅では、名古屋駅まで行けると言われた。
まさか途中下車ができないとは知らなかった。
このままずっと改札口内で過ごすなんて、無駄なこと・・。
私は、言いがかりとも言える理屈を言い続けた。
その間、家内と息子達はそばで小さくなっていた。
小一時間以上も押し問答をしただろうか。
私も若干非を認めた。
確か、特例として岐阜と名古屋間の料金を追加払いし、
一時的に名古屋駅を出ることができた。
しかし、何とも後味が悪い。
夕方まで、名古屋でどう過ごしたか記憶がない。
途中下車なんで、いつでもどこでもできるもの、
そんな思い込みが、とんだ汚点を残してしまった。
恥ずかしい!
ベンチ2つだけの小公園 花壇は花盛り
※ 都合により、今後10月13日(土)までは隔週でブロクを更新します。
その後は、毎週の予定です。
毎朝、泣いたり笑ったりと相変わらずだが、
鈴愛と律をついつい応援している私。
まさに、制作者の思う壺である。
ところで、このドラマの多くは、岐阜が舞台になっている。
岐阜は、大好きな斎藤洋さんの『ルドルフとイッパイアッテナ』の
舞台でもある。
だから、好印象をもっていい。
なのに、もう相当昔になるが、
ここは、「ああ思い込みに続く思い込み」があった地で、
私の恥部になっている。
1年近く前、我が一家全員で船橋で会食をした。
その場で、岐阜へ家族旅行したことが話題になった。
「きっと忘れているだろう。」と、
期待していたのに、長男が、言い切った。
「あのことは、しっかりと覚えているよ。」
「あれは、反省した。ちょっとした勢い。忘れてほしい・・」
すかさず、明るく言い逃れを口にした。
長男の記憶は、ある1つのことだけだったが、
一番忘れてほしいものだった。
◆ 確か長男は小学4年生、二男は1年生だった。
暮れが近づき、正月をどう過ごそうか、
夕食後の話題になった。
その時、丁度テレビから、
五木ひろしの『長良川艶歌』が聞こえてきた。
思いつきも、はなはだしい。
「よーし、岐阜へ行こう。
鵜飼いを見たりして、織田信長の岐阜を見物しよう。」
父の突然の提案である。
家族は何も言えなかった。
早速、大晦日から正月にかけて2泊3日、
長良川沿いの温泉宿と新幹線の指定席を手配した。
後は、旅行ガイドをザッとめくってみた。
近くには、犬山城も、明治村も。
岐阜市内には、お城もあるようだし・・・。
現地へ行ってから、観光計画は考えればいい。
そんな緩い緩い旅行だった。
これが、『ああ思い込み』の始まりになった。
◆ 旅館に着いて、最初の思い込みが発覚した。
有名な長良川の鵜飼いである。
私は、季節を問わず、いつでも見物できると思っていた。
だから、
「鵜飼いは何時からですか。」
部屋に案内されてすぐ、仲居さんに尋ねた。
「お客さん、10月で終わってます。」
「エエッ、やってないの!」
岐阜まで出向いた大晦日。
温泉には入ったが、後は紅白歌合戦を見て終わってしまった。
私は、旅館にあった観光ガイドを次々と手にとり、
翌日の計画を練った。
◆ 元日、朝食を終え、若干時間をおいてから、
最初に、初詣を兼ねて、市内の正法寺と言うお寺へ行った。
一番の目的は、ここにある『岐阜大仏』だった。
昨夜、観光パンフレットで食い入るように見た。
『日本三大大仏』だと言う。
奈良の大仏、鎌倉の大仏、そして岐阜の大仏なのだ。
思いがけない大仏との出会いに胸躍った。
家内にも子ども達にも、
『三大大仏』への期待を口にした。
そして、大仏殿へ足を入れた。
確かに大きい仏像だった。
しかし、奈良や鎌倉の大仏とは、おもむきが全然違った。
一応、初詣なので、その大仏に合掌し、新年のご挨拶をした。
しかし、どこか釈然としない。
大仏の説明書きを見た。
別名『籠大仏(かごだいぶつ)』と言うらしい。
竹材を編んで形を造り、
粘土で固めた上から和紙を貼ったものだった。
だから、私の知る大仏のあの重厚さが、感じられないのだ。
これとて大きさは大仏。
しかし、私の期待感は小さく縮んだ。
あまりにも『日本三大大仏』への思い込みが過ぎたのだ。
お寺を出て、家族には言い訳も出来なかったぁ。
◆ その後、電車に乗り、名鉄犬山駅へ行った。
目的は、『日本モンキーセンター』だ。
観光パンフレットによると、
「世界屈指のサル類動物園」だと言う。
『鵜飼い見物』、『岐阜大仏』の失態を挽回したかった。
バスに乗り換えるには、少し時間があった。
駅構内を見わたした。
これから行くモンキーセンターの案内があった。
3人を引き連れ、それを見にいった。
「きっとそこでしか見ることができないサルが、
いっぱいいるのだろう。」
そんな思いで近づくと、こんな言葉があった。
『ジャンボゴリラが、みなさんを待ってます。』
横に、ゴリラの大きな足跡があった。
「エッ、ジャンボゴリラがいるの!」
足跡から、その大きさを想像した。
「これで、挽回できる。」
「どんな大きさのゴリラなんだろう。」
ワクワクした気持ちを隠しながら、
センターに着いてからは、檻にいるサルたちを見て回った。
鳥の声に似たサル、リスと変わらないようなサル、
色鮮やかな毛並みのサルなど、次々と珍しいサルを見た。
しかし、私の関心事は、ジャンボゴリラだ。
早く見たかった。
そのゴリラだけでなく、
2人の息子の驚きの表情が楽しみだった。
センターの方を見ると尋ねた。
「ジャンボゴリラはどこにいますか?」
そしてついに、案内掲示にあった場所に近づいた。
思い込みもはなはだしい。
それは、コンクリート製の大きな置物だった。
大きな台座に腰掛けた動かないジャンボゴリラが、
私たちを見下ろしていた。
てっきり、大きな檻に入った、
巨大なゴリラが動き回っていると思っていた。
駅の足跡が、ずっと頭にあった。
私の勝手な思い込みだった。
「そんなゴリラがいるはずないよ。」
息子達に諭され、私は肩を落とし、うな垂れるだけだった。
◆3日目、もう、早く岐阜を後にしたかった。
名古屋まで戻って、熱田神宮をお参りし、
その後、明治村へでも行ってから、帰宅しよう。
そうしようと決めた。
なんとこれが、今も長男が忘れていない、
最高の思い込みの始まりだった。
朝食後、早々宿を後にした。
岐阜駅から新幹線で、名古屋駅に行くことにした。
4人分の帰りの新幹線指定券を持っていた。
改札を通る時、駅員に訊いた。
「このキップで、名古屋駅で下車できますか。」
「はい、できますよ。」
ごく普通のやり取りだった。
ところが名古屋駅に着き、改札を出ようとした時だった。
途中下車なので、そのキップを見せるだけでいいと思っていた。
だが、改札口の駅員が言った。
「駅を出るんですか。キップを頂きます。」
「エッ、東京駅までのキップだよ。」
「でも、ここで改札を出るのでしたら、キップを貰います。」
改札口で、同じ問答をくり返した。
周りが混雑した。
「精算口で話してくだい。」
今度は、精算口で同じ問答をくり返すことになった。
駅員は言う。
「どうしても名古屋見物をしたいなら、
このキップはここまでです。
東京駅までは、新たにキップを購入してお帰りください。」
「そんな無茶な。」
私が言うと、
「キップを無駄にしたくないのなら、
このまま指定をとってある夕方の時間まで、
改札口内でお過ごし下さい。」
「それは無理でしょう。」
精算口でやり取りが続いた。
後ろに長い列ができた。
息子達も家内も、何度も何度も私の上着を引っ張った。
私は承服出来なかった。
とうとう別の部室に案内された。
岐阜駅では、名古屋駅まで行けると言われた。
まさか途中下車ができないとは知らなかった。
このままずっと改札口内で過ごすなんて、無駄なこと・・。
私は、言いがかりとも言える理屈を言い続けた。
その間、家内と息子達はそばで小さくなっていた。
小一時間以上も押し問答をしただろうか。
私も若干非を認めた。
確か、特例として岐阜と名古屋間の料金を追加払いし、
一時的に名古屋駅を出ることができた。
しかし、何とも後味が悪い。
夕方まで、名古屋でどう過ごしたか記憶がない。
途中下車なんで、いつでもどこでもできるもの、
そんな思い込みが、とんだ汚点を残してしまった。
恥ずかしい!
ベンチ2つだけの小公園 花壇は花盛り
※ 都合により、今後10月13日(土)までは隔週でブロクを更新します。
その後は、毎週の予定です。
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