コロナ禍の影響もあって、行動範囲が狭まった。このマイナス面をプラスに変えられないか。
朝の散歩の時にそんなことを考えていた。
折りしも、空は不穏な朝焼け、重苦しいオレンジ色が不気味だった。
ところがしばらく歩くと、西の空に虹が見えた。朝焼けの空に虹はあまり記憶がない。私は思わず足を止めていた。
散歩コースの小路をそれて、田んぼのあぜ道が虹に向かって伸びていた。
この地に居を構えて三十数年、まだ一度も足を踏み入れたことの無い農道だった。
私は虹に魅かれて、あぜ道を歩き始めた。
下草の柔らかい小路の感触が新鮮だった。用水路の底を舐めるように流れる水が知らないところからやってくる。こんなところに未知の世界があったのだ。
探検しよう。一瞬心がときめいた。
水路が風景を半分に割って、その上に虹が見えていた。玉ねぎ小屋は今、閑散期。もうそろそろ苗が植えられる時期だろう。玉ねぎは厳しい冬を苗のままで過ごすのだ。夏には黄色い玉ねぎたちがこの小屋につるされて風に揺られているはずだ。
あの向こうに何があるのだろう。探検心が膨らむまたとない風景だった。
そのまま水路を辿っていくと、目の前に再び玉ねぎ小屋が現れた。
とおせん坊をしているようで、小屋が威張って滑稽に見えた。
それは水路のせいだと後で納得したのだが。
辿ってきた水路がそこからしっかりと二筋に分かれていた、その光景が意外だったのだ。何か特別な意志を感じてしまう、絵心をくすぐる美しい風景だ。
追ってきた虹は、とおせん坊の玉ねぎ小屋の後ろに隠されている。
悪がきのイタズラ坊主にも思えた。
ほんの数分、日常の場所から離れるだけで、こんな風景に巡り合った。小さな、些細な発見だったが、面白いと思った。
ちょっとしたことだが、はじめての経験はこんなところにも転がっている。そしてはじめてはどんなことでも新鮮だ。
そんなことを思うと、なんだか楽しくなってきた。
イタズラ坊主の相手をしないで私は、玉ねぎ小屋をやり過ごして先に進んだ。
虹はちょうど二本の大きな木の間から見えていた。
未知の世界というのは、遠いところにある。そう思っていた自分に、思いがけないときめきと、新鮮な驚きがやってきた。
地元探検をしてみてもいいかもしれない。そんなことを思った超ミニ旅行だった。
この超ミニ探検旅行は案外面白い。楽しみが増えた気分で記事にしました。
ところで玉ねぎ小屋の前の分かれ道。私は左右どちらの道を進んだでしょうか?
写真を追っていくと私がどこに立っているのか、探偵のように推理できると、今気付きました。意識していないのに足取りの証拠が写り込んでいる・・・名探偵に挑戦しません^か^
路地裏探検と称して、小さな驚きや感動をシリーズでお届けします。
「般若心経を読み解く?」の記事も織り込みながら、心の内側と外側の旅を続けてみたいと思います。
短い虹 いいね
あいだに虹の見える大きな二本の樹とその右手に見える白い小屋が、とうせん坊の小屋の左に見えますよね。
実は最初の虹の遠景写真には、そのとうせん坊の小屋も、白い小屋も、二本の樹も写り込んでいて、虹との位置関係もよく分かります。あとから気付いたことなんですが。
まあ、たったそれだけ歩いたということなんですけど^ね^