太陽はいつしか西端に傾き、弱々しい日差しに変わっていた。潤んだ太陽の下には頭を平坦に切り落とされたような林がどこまでも続いていて、灰色に煙っていた。そして私の背後には千歳川が流れている。
私はとにかく日が暮れるまで歩いて行こうと決心していた。千歳川を遡りながら支笏湖に向かう国道には民家が思い出したように点在するだけで、夕暮れがふと心ぼそさを持ってきた。
もう民家も尽きるかと思われる頃にまた一軒見えてくる。そして道はまっすぐ通っていて、時折車がアクセルをべた踏みにしてすっ飛んで行く。
歩いているのは私一人で、他に人影はなかった。そんなとき空のタクシーがそっと私の近くで速度を落として私の気を惹こうとした。私はほっとしながら、わざと目をそらして歩き続ける。タクシーは怒ったようにスピードを上げて私を置き去りにした。
やがて夕暮れの薄靄が立ち込め、車の往来もまばらになった。西日が山端にかかり始めたころ、私はちょうど千歳川に架かった橋の所までやってきていた。それは千歳川と交差する最初の橋であった。
HPのしてんてん
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