前回、退縮後、「のしてんてん絵画」だけに残りの人生をかける。その力があるのかを確認するために描いた模写をお見せしました。
今回はその2枚、真作と模写を並べてみました。写真ではよくわかりませんが、左が真作(2000年頃)、右が模写(2013年)の作品です。
模写の採点は70点としましたが、それは技術面での衰えはないという意味であって、花の描写は真作にはるかに及びません。
同じものを描こうという行為は、それ自体がすでに心を硬直させ、心と自分の間に越せない壁を作る。
自分自身とつながる心とは、今この瞬間をあるがままに生きることにあるのに、模倣はその心を過去に縛り付けることに他ならない。
私のこの実験は、このことを身をもって実証したという意味で成功したと思っています。
私の師、松田豊の所属した具体美術協会の思想はまさにこのことを大きな命題にして世界に名を残した美術運動をおこしました。
「人のまねはするな」それが吉原治良率いる具体の合言葉だったのです。
「人のまねはするな」私はその合言葉に「自分のまねもするな」と言う言葉を付け加えたいと思います。
生きるとは常にその瞬間、真新しい命を燃やすことです。つまりそれは死ぬまでやったことのないものをする挑戦であり、行ったことのない地を行く冒険なのです。
恐れにひるんで、模倣に逃げる心を、注意深く見つめ、取り除いていきたいものです。
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