
神仏を信じようが信じまいが、自らの力を尽くさなければたちどころになぎ倒されてしまうだろう自然の猛威。降りしきる雪の中では、神仏など何の役にも立たないとこを開拓民の気概に沁みこませていったのではあるまいか。
それは何の知識も持たない私の、随分短絡的な思考であるかも知れないが、にもかかわらずその思いは私の感傷を満足させた。私はもう一度振り返って鳥居を見、その鳥居の間から見通す神社への登り道を目で追っていった。
神社からの道は細く、その路傍には雪に押しつぶされたトタン張りの小屋が、背骨を折られた動物のように天を仰いでいる。
道はやがて車道に交わり、そこを右に折れて私はホテルに帰ってきた。私はどうやらホテルを出て、右回りに大きなサークルを描いてもとに帰ってきたようだ。
そのホテルに至ろうとする前に、更に右に折れる道があって、私はそれが先ほどの公園に通じているのだろうと直感した。それを確かめるために、私はその道を再び丘を目指して登ってみた。
はたして、私の目前には広い通りと、その奥に黒い立体造形の佇立する風景が絵のように表れた。その入り口にかかるところに橋が架かっていて、その下を疎水が流れていた。
まるで近い春を歌うようなみな音を弾ませて。
千歳==了==



※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます