新型コロナウイルスの証人1～３月 （作品）

新型コロナウイルスの証人１～３月　（Ｆ１０号キャンバスに鉛筆）

 

２０２０年１月２２日～２月１６日、「のしてんてん五次元龍展」を開催いたしました。場所は池田市にある　画廊ぶらんしゅ　でした。

その様子は当ブログ記事１月～２月をご覧ください。

今思えばこの個展は、新型コロナウイルスの厄難と共に始まりました。

世界はいまだウイルスパンデミックの終わりが見えませんが、日本ではこの間、緊急事態宣言が発動され、5月25日に解除される経過をたどりました。きわどいところで医療崩壊は免れましたが、東京ではまだ第二波の予感が拡がっています。

この恐ろしいパンデミックの体験を残したいと思ったのは個展会場に通う電車の中でした。この時期、この空気を吸って生きている事実を絵に描いてみようと考えました。無力で何もできないが、私の中を通り抜ける感性だけは私にしか記録できない。それを描こうと思ったのです。

上の作品は、以下の経過の中で描いたものです。ある若者のトーク会場（ネット）に参加してその思いも共有しながら生まれた作品で、小品ですが個展終了後ほぼひと月で描きました。

その後現在までに連作を３枚加えて４枚組作品にしました。これを順次公開していきます。五回連載で最後に完成組作品を見て頂こうと思います。

 

（コロナと私の歴史）

●2020/01/09　中国が、湖北省武漢市で発生した原因不明のウイルス性肺炎を新型のコロナウイルスと報じました。　

これが発端でしたが、意識にも留めない小さな記事でした。サーズやマーズみたいなものかと思ったのです。どちらも日本には大した影響を及ぼさなかった記憶があります。

その数日後中国で最初の死者が出ると

●01/14　世界保健機関（ＷＨＯ）が新型と認定。

しかし日本はこのウイルスに対して無警戒でした。もちろん私もですが、中国の春節（１月２４日～１月３０日）の人民大移動が目前に迫っているのに、政府は全く対策をせず、簡単にウイルスの流入を許してしまいました。

●01/16　厚生労働省は、現地で感染者と接触した可能性がある日本人の感染確認を発表。しかし政府も国民も、まだまだ先に来る地獄を予測できなかったのでしょう。日本は世界に向かって門を開いたままでした。そして私は個展のための作品準備で、目の前の事しか見えていませんでした。

●01/22　そんな時期に私の個展が始まりました。泉南市から池田市まで、大阪を縦断する電車。定期券を使っての通勤？が02/16まで続いたのです。（時間帯は、朝９時～１１時、夜７時～９時）通勤時間帯は外れていましたが、途中関西国際空港の分岐点も通りますので旅行客は絶えません。その上、画廊のある池田市は伊丹空港の所在地。飛行機の発着を見ながらの通勤です。

●01/23　　中国武漢市は、同日午前から武漢を出発する航空便や列車を停止すると発表ました。春節（旧正月）に伴う一千万人民の移動を大幅に遮断し、新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込める異例の措置だと報じました。

しかし日本はそれを対岸の火事と考えていたのでしょうか。そのまま日本は中国の春節を受け入れてしまったのです。そこが一番大きな失敗だと私が知る限りの誰もが言っておりました。

●01/24～01/30　春節。画廊に通う電車の中は中国語があふれていました。たまに韓国語もありましたが、中国語の小さな子供を連れた家族旅行客が目立ちました。マスクをしている人もいましたが、ほとんどの旅行者は地図やスマホの操作で夢中でした。

写真は個展から帰りの電車の中の一こま。PM８時なのに乗車率１２０％はあったでしょう。立っている人はほとんど大きな荷物を持った旅行客。中国語と韓国語が飛び合っています。

４人掛けのボックスで旅行客に取り巻かれたこともあって、背中を丸めて通り過ぎるのを待っていたこともありました。

●01/31　そしてようやくＷＨＯが国際的な緊急事態宣言を発動しました。あの大移動の終わるのを待っていたかのようなタイミングに、意味ないじゃんと一人ツッコミ。

●02/05　厚生労働省はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客乗員約3700人を検疫、はじめて新型肺炎の集団感染の確認。

●02/13　国内で初の死者が出て、

●02/16　政府は初めて現在の状況と必要な対策を議論する専門家会議の第１回会合を首相官邸で開いた。第一回ですよ。そしてようやく「患者が増加する局面を想定した対策を今から取るべきだ」と国民に呼び掛けたのです。

これは個展終了日のことでした。私の４週間にわたる個展は、コロナ対策初動のもたつく間に始まり終わったのです。

 

●02/25　サッカーのＪリーグが開催の延期を決め、その後様々なイベントの中断が続きます。コロナによる厄難がついに現実のものとして国民の身辺に及んで来たのです。

●02/26　首相は「全国的なスポーツや文化イベントについて、今後２週間は中止や延期、規模縮小の対応を要請する」と表明。２週間て何なの？

●02/27　次いで首相は、唐突に３月２日から春休みに入るまで全国の小中学校、高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請すると表明。事前の説明もなく当然その脈絡がつかめず、指導者に不安を覚えました。戸惑う学校現場、生徒・保護者は数知れずだったでしょう。

国というものは、こういう人の手綱さばき一つで海にも山にも登るという実実を現実のものとして体験したと思いました。

●02/28　北海道知事が「緊急事態宣言」

　私は当ブログのコメンテーターの声に触発されてマスクをキャンバスにして絵を描き、コロナに敗けない心を大切にしようという思いを発信し始めました。マスクにお絵かき運動です。（当ブログ２月～５月、緊急事態宣言発動期間）

●03/01　安倍晋三首相、ジム利用など自粛要請

●03/05　国内感染者が１０００人を越え、ますます不安が広がってゆく中、安倍首相は、中国、韓国からの入国制限を強化すると表明。

エ？まだやってなかったの？このご時世、世界は感染者10万人超なのに・・・。この不満を庶民はどう吐き出していいのやら。

感染者が８万人を超えている中国は武漢封鎖でようやく安定の兆し。しかし逆に中国外での感染者の増加が増えてきているのです。明らかに感染の波が中国から世界に拡がったと、誰もが考えたでしょう。お願いだからしっかり国のかじ取りをしてください。

●03/11　選抜高校野球大会が中止。同日、ＷＨＯが「パンデミック」表明。

●03/13　新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が可決、成立。緊急事態宣言が可能になりました。すでに２カ月が経過していました。

この日、世界保健機関（ＷＨＯ）は「今や欧州がパンデミック（世界的大流行）の中心地となった」と述べた。テレビでコロナ感染を示す世界地図はほぼ真っ赤である。連日の同じような報道が知らないうちに精神をむしばんでいく。

●03/20　世界の死者１万人超、感染者は約24万５千人。

●03/24　東京五輪、21年夏に延期

●03/26　世界の死者２万人超、感染者も48万人以上。死者・感染者は一週間を待たず倍増。ようやく米対象の入国制限始まる。

●03/28　日本では感染者が１日で196人、感染加速し延2431人となった。

●03/30　コメディアンの志村けんさん、新型コロナウイルスによる肺炎のため死去　70歳。あまりにも衝撃的なニュースでした。

　

上はその時のマスクお絵かき運動。初めて似顔絵に挑戦した作品です。

自粛で個展活動ままならなくなってきたこのご時世。美術館・ギャラリがだめなら自分の顔を美術館にしようではないか。動くオープン美術館。

マスクの上に作品を描こう。そんな運動で描いた一枚です。せめてけんさんの笑いを心の支えにしてほしい。

皆様の証言もコメントに残して頂ければ幸いです。

 

 

 

最後まで読んでいただいた方に、仕切り直しの作品再掲です。ゆっくりご鑑賞ください。

作品「新型コロナウイルスの証人」はその後、４月、５月、６月と作成しております。

順次紹介します。

最後に作品は４枚組作品として完成させますのでご期待下さい。