私と芹里奈はそれから急速に近付いた。
趣味が似ていたので、映画や芝居に誘い合ってよく出かけるようになった。
大学時代に付き合っていた彼とのことはどうなったのか気にはなったが、
芹里奈はあまりそのことを話したがらなかった。
思い出したくないこともあるのだろう。私はそれで納得した。
今、目の前にいる芹里奈の笑顔だけで充分だった。私はその幸せをノートに綴り、
彼女をいかに愛しているかという事を飽きもせずに書き連ねた。
声を聞きたくなると夜中でも電話をかけた。愛くるしいくぐもった声が何度も電話線を往復する。それは素晴らしき日々であったと今も思う。
付き合いを始めて1年も経ったころ、
意を決して私は結婚を申し込んだ。
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