こうして詩句を連ねているうちに私の気持ちはいくらか楽になってきた。走り書きして、読み返してみれば同じことを繰り返すだけのつまらないものに思えたが、それでもそれは崩れそうな自分の気持ちを離れた目で見せてくれたのだ。
自分が主人公のドラマを見ているような気分と言ったらいいだろうか、そんな醒めた目で見て、私は幾分後半の詩句よりも前半の詩句の方がいいと思った。後半の詩句はどこか無理をしていて、自分の本当の気持ちではないように思えた。あるいはそれは、沈みゆく自分の気持ちを盛り上げようとする力が働いて、自分を飾り立てたのかも知れないと思い、私はその虚飾を自分に許した。
寒さが体の芯まで沁みとおり、私は何度もブレザーの胸元を引き締めて重ね、腕を組んで背中を丸めた。
バスはなかなかやって来なかった。
しかしやっと来たバスに乗り込むと、ホテルまでは一駅程の距離だった。バスは実にあっけなく私をホテルに運んでくれたのだ。
そこは初日に泊まった同じホテルであったが、私の気持ちは大きく違っていた。 今の私にはただ苦い胸の重さだけ肩を落として佇むしかなかった。部屋の中でどこにいても落ち着かなかった。私はまだ、自分の未練を持て余していて見えもしないのに窓から里依子の寮の辺りを眺めたり、あるいはそうした自分を恥じたりもした。
HPのしてんてん
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