のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

セリナの物語7

2007-08-16 | 小説 セリナ(短編)

雨の日はいつも私は自転車を置いて駅まで歩いた。
まとわりつくような雨に傘を差しながら、なぜかA子のことが頭に浮かんできた。
A子は会社の経理担当だった。私と同じバツ一で、同じ境遇を哀れんでなのか、私に好意を示してくれていた。
しかし私は結婚の失敗から立ち直れずに、その好意に答えるのが怖かったのだ。
いつも気付かないふりをして彼女の前を通りすぎた。
そのA子にさりげなく誘われてしまったのだ。

どう断るか。
そんなことを考えているうちに、私は地下道の前まで来ていた。

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