2012年のマーブルビーチ
手袋の話をしたら、5年前どんな記事を書いていたのか気になって当時の記事を探してみました。
バックナンバーで検索できる機能を使うと、2012年5月で簡単に出てきました。すっかり忘れていましたが、初日から一月あまりにわたって草引き日記をかいている過去の私に出遭逢いました。こんな記事を書いていたのかと当時を思い出しながら読んでみました。
自分でいうのもなんですが、初日から一週間の記事がなかなか面白い。もしかしたらこれから何かを始めようとしている人の後押しになるかもしれない。
そんなことを想ったものですから、その七日分の記事を転載します。
馬鹿らしいことを、ライフワークのように続けて行く。そんな心が出来ていく課程を少しばかり見ることが出来るように思えますので、よかったら読んでみてください。
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2012年5月25日
朝の散歩を始めた。
海岸に伸びる1.5キロの直線歩道
白い石を敷き詰めた浜辺
そこに雑草が点在して目立っている
毎日1本づつ草取りをしたらいつかきれいな浜辺に戻る。
そんなことをふと思った。
浜辺に下りて、白い石の隙間から生えている雑草を引き抜いてみたら心が決まった。
2012年5月26日
目覚めたのが5時
もう外は明るい。
少しずつランニングを入れながら、息が切れない程度に浜辺まで、最高の気分。
今日ははっきり目標がある。
白い浜辺にはびこる雑草を取る。
敷き詰められた握りこぶしほどの白い石。その隙間をぬって生えたススキの株が点在する。
それを散歩の途中に一株引き抜く。1日一株の雑草取り。
昨日はうまく行かなかったが、
今日はそのコツをつかんだ。私の体力がわずかに勝ってススキが抜ける
心の汚れがひとつ落とせた気分だ。
2012年5月27日
決心して3日目の朝、目が覚めたら3時前、
1時間ほど床にいて起きだす。
未明の空気が次第に光を持ち始める、その中を歩くのは最高。
雑草の浜を見て、景色の要にある草の株に向う。
株の間に挟まっている白い石をひとつずつ取り除き、株を両手で束ねて左右に揺らしながら引き抜く。雑草と体力が拮抗して、やがてブチブチと根の切れる音がして株が抜ける。
下が砂地だけに、大きなススキの株でも、そんな風に取り除けるのが分かった。
雑念だらけの心も
やがて真っ白な砂浜となるだろう。
一日一株のはずが、5株ひいた。
一抱えもありそうなオレンジの太陽が昇ってくる。
2012年5月28日
地平線に赤みを帯びたオレンジの太陽が
神秘と懐かしさと感じさせてくれる
浜まで2キロの道程。空気が静かだ。
白い浜辺に雑草がはびこっている。
歩きながら目立つ株を物色し、今日のターゲットを選ぶ。
遠目の黒い点が、近づくと一抱えほどの株になる。
ヨモギの株は一本づつひくことが出来るが時間がかかる。
丁寧に株を一掃して、余力で横のススキの株に手を伸ばす。
雑草を抱えて歩道に戻り、脇の草むらに捨てる。
毎日見る顔が通り過ぎる。
夜遊びの花火の燃えカスが散乱している。
2012年5月29日
三時に目覚めると、遠くの方で雷鳴が聞こえた。
外に出ると海のほうから稲妻が空を照らし出した。
浜まで行くとそれが激しくなって、大粒の雨が落ちてきた。
公園のトイレで雨宿りしているうちに空が白みはじめ、雨脚も遠のいた。
雨で地面が緩んだら抜きやすいだろうと、ススキの大株を選んだが、砂が粘土のようになって根にこびりつきかえって体力を使いすぎた。
雨で誰もいない浜辺、気を良くして1日で5日分の草引きをした。
明日はあそこ、
少しずつきれいになるのがうれしくなる。
2012年5月30日
5時05分起床
約30分で浜に着く。
草を一本ひいても、風景は何の変化も起こさない。
ばからしいという思いがないこともない。
面白さがなかったら続かない。
ススキの株の間に挟まっている石ころを取り除きながら、これは魔法を学ぶための修行だと思った。
丁寧に石を取り除く。おにぎりのような石ころは私を成長させてくれるエネルギーだ。
すっかり株がむき出しになると、両手で株を束ねて引っ張る。
株が抜けるたびに魔法を習得する。
さて何の魔法と問いかける。
・・・・つまらないものに最高の価値を与える魔法・・・
そうだ!!
私は一人で納得して、その瞬間幸せの中にいる自分に気付く。
2012年5月31日
7日続いた。
なにやら両脇が痛い。
今までにない運動をしているために身が入っているのだと気付く。
これを乗り越えると締まってくるのだろう。
体が喜んでいるのが分かる。
一週間続けて、楽しいことをいくつも発見した。
石ころを取り除くのさえ楽しい。
心を決めると
楽しさが生まれる。苦しいことさえ喜びに変る。
明日に残した雑草を
引きたくて、待ち遠しい。
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その後この草引き日記は一か月余り続いています。もし興味ありましたら、当ブログのバックナンバー2012年6月を選んで頂ければ読むことが出来ます。
おかげさまで今は、早朝草引きがいつも変わらぬ新鮮な思索の場であり祈りの場になっております。
今思えば、まさに・・・・つまらないものに最高の価値を与える魔法・・・であったと思えるのです。
何でもいい、つまらないことを続けてみると、そこに必ず自分との対話が生まれます。身近にあるものにたまらなく貴重な価値を見つけられます^よ^
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