「この花がどうしたんだ。」艦長はもこりんに聞いた。
「ほら、覚えがないでヤすか。スケール号が巨大化していく間、ずっと窓から外を見ていたでヤしょう。」
「それで?」
「そのとき、一瞬、確かにこの花を見たでヤす。」
「そう言われれば、そんな気もするだスなぁ」
ぐうすかも、なんとなく、そんな気がして同意した。
「気づかなかったがなあ。」
ぴょんたは首を傾げた。
「もこりんの言うことが本当なら、我々はこの辺りから出て来た事になる。」
「博士、神ひと様は死んでしまったのですか。」
「もしかしたら、この中に神ひと様が入っているのではないでヤすか。」
「ひえーっ、ここは神ひと様のお墓だスか。」
「やっぱりここはお墓なのですか、博士。神ひと様は死んでしまったのですか??」
ぴょんたは怖いものを見るように辺りを見渡した。島の周りは霧に包まれて何も見えなかった。霧がさらに深まっているような気がする。
やって来た岸辺がどの方向にあるのか、横たえられた石棺を目印にしなければ見当もつかなかった。
「博士、ここは本当に神ひと様のお墓なのでしょうか。それなら、スケール号は死体の中を飛んできたと言うことになりますよね。」
艦長は自分の思い付を、恐るおそる覗くような感じで尋ねた。
「分からない。しかし我々がここから出て来たというのなら、この中に神ひと様の体があることになる。」
「もし、神ひと様が死んでしまったのだとしたら、地球も死ぬのですか博士。」
「地球はどうなるのでヤすか。」
「地球はなくなるのだスか。そんなの嫌だスよ。」
ぐうすかは泣き出しそうになった。
「地球がなくなったら、私達はどうなるのです。やっぱり死ぬのですよね。」
ぴょんたの耳はくねくねに折れ曲がった。
「まあ待ちなさい。そうと決まった訳ではない。」
「でも、神ひと様に何かが起こったのだけは間違いないですよね。」
「神ひと様の身に何かの異変が起こったのかも知れない。しかしここにはそれを説き明かすものがない。すべては謎のままだ。何も分からない。」
博士も追い詰められて、投げやり的な言い回しをした。それが皆の心に不安をうえつけた。
「博士、この石の蓋を開けてみるだス。」
ぐうすかが勇気を出して言った。
その言葉が、行き詰った不安に力を与えた。本人もまわりのものもその変化に気付かなかったのだが。そこから展開が始まったのだ。
「しかし、それは、」
博士はぐうすかの思い付きに戸惑った。
「博士、やってみましょう。」
艦長がぐうすかに共鳴して、たたみかけた。
「しかし、危険な気がする。何が入っているのか分からないんだ。もっとよく調べてみなくては何とも言えない。」
分からないものに対する不安は、博士を慎重にさせるようだ。
「でも、やってみる価値はありますよ。」
艦長は博士に食い下がった。
「そうでヤす。中を見なければ、何もわからないのでヤすからね。」
「私も、手伝いますよ。」ぴょんたも加わった。
「よし、みんな力を貸すんだ。」
艦長は博士の返事を待たずに、皆に命令した。
石の蓋は重かったが、四人が力を合わせると、わずかに動いた。そこに腹を決めかねていた博士も加わって、石の蓋はごろごろと音を立てて動き出した。
するとその上で咲いていた花が、はらはらと大きな花びらを四方に散らせた。落ちた花びらは、まるで生き物のようにくねくねと動き、這い回った。そして一斉に湖面の方を目指して走り始めた。オレンジ色の花びらはそのまま島から湖の中に入り、魚のように泳ぎ去った。
花びらが散って、残った花芯が、ぐるぐると回転し始めた。辺りをオレンジ色に染めながら、花芯はふわふわと空を飛び出したのだ。
驚きを通り越して、誰もがただ茫然と、花の出来事を見つめていた。
首が折れ曲がるほど、もこりんが上を向いて二三歩足動いたとき、なにかにつまずいて石棺の横に尻餅をついた。
そのとき、手をついたもこりんの指が地面の白い土を払ったのだ。
そこに銀色に光るプレートがあった。
「博士、こ、これは何だスか。」
「どうした。」
「何だスか。」
「何ですか。」
「何があったのだ。」
皆がぐうすかの周りに集まった。ぐうすかは注意深く、プレートの上の土を払った。それは長方形の銀色に輝く金属板だった。そこには二行の文字らしきものがが刻まれていた。
「何か文字のようだスな。」
「見たこともない文字でヤす。」
「これは、何ということだ。」
博士はプレートを二本の指で撫でながらつぶやいた。それは博士の最上級の驚きを表しているのだった。
「どうしたのですか、博士。」
「信じられない事だ、どうしてこんな事があるのだ!?この金属は間違いなくスケールメタルだ。私が発明したものだ。」
「ゴロニャーン」
スケール号が博士のわきから身を寄せて、そのプレートに鼻を近づけ、喉を鳴らして頬ずりをした。
「これは、スケール号の船体をつくっている金属と同じものだ。間違いない。見ろ、スケール号も反応している。分かるんだ。」
「でもどうしてそれがここに?」
「スケールメタルは私が発明したものだ。自在に伸び縮みする金属はこの宇宙に二つとない物質なのだ。考えられない。何かの間違いなのか。」
博士は、艦長の質問も耳に入らないらしい。
「ゴロニャーン」
スケール号が横から博士の足に顔をこすり付けた。博士の腕に抱えあげられると、銀色の猫はキラリと光を放った。それはまさに、プレートと同じ光だった。
「スケール号確かめられるか。」
艦長がスケール号に話しかけた。
「ゴロニャーン」
スケール号は博士の腕から飛び降り、プレートにもう一度鼻を近づけ、艦長を見た。
「どうだスケール号。」
「艦長、スケール号の背中にプレートを置いてみるんだ」
「どうするんです?」
艦長は聞いてみたが、博士が答える前にプレートをスケール号の背中に乗せた。なんとなく博士の考えがわかったのだ。
艦長がネズミの大きさを想像するとスケール号が瞬間にネズミの大きさになった。同時に背中置いたパネルも同じように縮んだのだ。一様に驚きの声があがる。
間違いなくこれは、博士の言うスケールメタルに違いなかった。
「あっ、でも博士、チュウスケに引っ付けられた爆弾も同じでヤしたよ。」
もこりんが大声を上げた。スケール号の背中に取り付けられた素粒子爆弾を思い出したのだ。
「そうだス。あの爆弾も、スケール号がどんな大きさになっても同じように大きさをかえただスね。」
「それでは、ここもチュウスケと関係があるのでしょうか。・・・もしや、神ひと様はチュウスケに連れていかれたのではないでしょうか。艦長。」
ぴょんたがとげに触るような言い方をした。お蔭で一気に不安の空気が膨れ上がる。何もかも分からないことだらけ、それが不安を一層大きなものにしていく。
「一体どうなっているのだろう。・・・・・スケール号、ここに書かれた文字を翻訳してくれないか。」
行き詰った艦長の目に、プレートに刻まれた文字が止まったのだ。文字ならスケール号が翻訳してくれるだろう。そう思ってのことだった。
猫の大きさに戻ったスケール号の背中からプレートを取り上げて、艦長はそれを鼻先に持って行った。
スケール号は、プレートに刻まれた文字の上をペロペロとなめた。同時にスケール号の目が光り、白い石棺の壁に文字が映し出された。
ここにありて、
はるか彼方にありしもの
石棺にくっきりと文字が浮かび上がった。
つづく
はるか彼方にありしもの」
心ではないでしょうか
宇宙同根多種多様万物一体一心同体の
☆宇宙心☆であると同時に
万物すべて
それぞれの己(個)の
☆心☆
宇宙心+万物すべての己(個)の心=☆心☆
の
☆心☆
であると思います♪
また、われわれ万物、
それぞれの己(個)を形成している
遺伝子なども、
「ここにありて、
はるか彼方にありしもの」
です^ね^♪
いつもありがとうございます。
お心遣い感謝申し上げます☆
真鹿子さんにあるのを感じます。
心ですよね。
何かが伝わるとしたら、何がどう動いてどう伝わるのでしょうか。
考えるとおもしろくなります。
思いが電波のように伝わるのか
思いが新しい思いを生むのか
いずれにせよ
万物は、ここにありて、はるかかなたにある
一つの空間の中に
漂っているのでしょう^か^ね^
万物の心の波動は、
宇宙空間を飛び交っているのでしょう^ね^
宇宙空間には、
万物の無限大数の心波動が飛び交っているように感じられます。
奇跡的な確率で、心波動の周波数が同調するような現象が起こった場合、
不立文字!宇宙以心伝心現象は可能となるのでしょうね☆
不可思議がいっぱいでアン^す^♪
そう思い定めると、見えるのですが、
空は全宇宙のすべてを一瞬の中に納めているエネルギーなのですね。
波長は同族のしるし。距離や大きさや、時間に左右されないでつながるのだと思うにです。
そして波長の違いこそ、スケールなのです。
時間とは全く違ったスケールの概念の秘密がここにあるのです。
のしてんてん博士の受け売りです^が^