
私は芹里奈の写真を握ったまま国道の地下道に向って行った。
そんなバカな・・・
こんなことがどうして・・・
驚きと不安と恐れが胃の辺りでかき回され、血液が凍りついたように全身鳥肌立っている。
体がこわばり冷や汗にまみれたが、足だけは前に進んでいく。事実を確かめなければ納まらない気持ちが私を地下道に導かずにはおかなかったのだ。
深夜の国道は通過する自動車もまばらだった。地下道を歩く人などさらにいるはずはなかった。
生きているのは自分の他にはいないような錯覚を覚え、時々自動車の走行音が聞こえるとほっとする。しかしその音が遠のくと恐怖はさらに深さを加えるのだ。
それでも私は地下道に足を踏み入れた。
もし芹里奈なら、私はどうしても会わねばならない。
私は激しくそう自分に言い聞かせていた。
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