大学のキャンパスとは思えない長く細い道だったが、やがてその道を横切る道に出会った。一人が歩けば一杯の黒い道が私の左右に通り、この交差点をさらに先に進めば、背の高い木立が一群の影を作っていた。
私はそれを見て、咄嗟にポプラ並木に違いないと思った。するともうどうしてもそこまで行かなければならないと思うのだ。
「関係者以外の者の立ち入りを禁ずる」という立て札が道の前に立てられていたが、私は構わずその先に進んで行った。
私の歩いてきた道は、結局ポプラの並木路に通じていた。そこに林立するポプラの木は両腕で抱えても二人がかりだろうと思われるほど大きかった。そしてそれはまっすぐ天に向かってそびえている。その天は暗く、星の光さえなかった。
それでもわずかばかりの外灯と雪明りのためにポプラ並木は漆黒の樹形を見せているのだ。
並木は4メートルほどの間隔で両側に立ち並び、道にそって見通す奥の空間が道の上からほのかに白く細長い柱のように立ちあがって見えた。
太い幹の後ろから何者かが飛び出してきそうな不気味な気分に襲われたが、もとより誰もいるはずはなかった。
私は首が折れるほど傾けて梢を見上げた。道がそのまま天に昇ったように、細長い空が燃えていた。
私は見上げ、見通し、振り返り、忙しく首を回しながらその100mばかりの並木路を通りぬけた。
道はそこからまだ西に向かって続いている。私はこの北大の広さにただあきれ果てそれ以上先に進むのをあきらめた。
HPのしてんてん
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