
物知り顔でカウンターにチケットを示すと、意外な返事が返ってきた。
「これは二階改札に入っていただきまして、25番ゲートで搭乗手続きをして下さい。」
その声はとても上品な響きがして、二十歳代の明眸な係員によく合っていた。
しかし私はそれどころではなく、二つしかない空港の知識の片方をいとも簡単に覆されたことにうろたえた。
カウンター越しに受けた案内をああそうですかと答えたものの、説明された内容を、ことさら肝心な所を、そこから歩み去って後、どうしても思い出すことが出来なかった。
私は目の前にある広い階段を不安を抱えて上っていった。その2階ロビーにはどこを見渡しても25番ゲートらしき入り口は見当たらなかった。広いロビーに立ってどう見回しても、他の番号をつけられた入り口さえ見つけられず、ただ一箇所中央に何の表示もない入り口が開いているばかりだった。
私はそこに入っていくことに戸惑いを覚え、なす術もなくさまようしかなかった。



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