のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

初体験 4

2009-05-24 | 小説 忍路(おしょろ)

 やがてどうすることも出来ず、私は勇気を奮って2階ロビーにある案内のカウンターに近づいた。私が随分上ずった調子で聞いたのだろう、係員はにこやかにではあったが、二度同じことを繰り返して説明した。
 中央の改札でチィケットを見せて入場すること。
 入場すればもう出られないこと。
 改札を入って25番ゲートに行き、そこで搭乗手続きをすること。

 ありがとうと言ってカウンターを離れた私が知りえたのはそれだけであった。まだ時間は充分にあった。説明を受けた中央改札はすぐ向こうに見えていた。私は少落ち着きを取り戻した。

 横合いにトイレがあった。スマートなアルファーベット表示の下に男女を表す白いプレートが貼られている。すべてが不案内の中でそのことだけがはっきりと理解できて、なんだか外国で邦人と遭遇したときのような安堵と懐かしさを覚えた。


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