(7)-1
「博士、ここが本当にのぞみ赤ちゃんの体の中なのでヤすか・・・」
もこりんがスケール号の窓から外を見ています。
「美しいダすなあ、あれが銀河ダすかね。色鉛筆の中にいるみたいダすなぁ。」
もこりんも枕を抱えたまま、眠るのも忘れています。
「ここがのぞみ赤ちゃんの中だなんて信じられませんね。」
ぴょんたもうっとりしています。
「あの銀河は間違いなくのぞみ赤ちゃんの中にある宇宙の姿なのだよ。光っているのはみな原子と呼ばれるものなのだ。」
博士が白く光る河を指さしながら言いました。
宇宙空間に色とりどりの光が無数に集まっていてそれが白い光の河に見えているのです。
「体がこんな宇宙でできているなんて不思議ダすな。」
「博士、原子というのは太陽なんでヤすか。」
「そうだね。でも大きさが違うのだ。みんなが知っている太陽の大きさは、あの原子の太陽に比べると何倍大きいかわかるかな?」
博士は皆を見まわして言いました。
ぴょんたが真っ先に手を上げました。
「博士、きっと一万倍はあると思います。」
「ハハハ、それではのぞみ赤ちゃんの大きさにもならないぞ。」
「きっと十万倍だと思うダす。」
「そうだね、実は君たちの知っている言葉ではとても言い表せないんだよ。」
「博士、それはずるいでヤすよ。」
「ごめんごめん。でも覚えておいで。ぴょんたが言った一万というのは1の次に0を四つつけた数字なのは分かるね。ぐうすかの言った十万というのは0が5つだ。」
「博士、分かったでヤス。」
「何だねもこりん。」
「だからぁ、10倍ごとに0が一つ増えていくんでヤすね。」
「おお、大正解だ!!すごいぞ、もこりん。十だったら0が一つ。百だったら二つだね。」
もこりんは大喜びです。
「それで答えなのだがね、聞きたいかい?」
「聞きたいでヤす。」
「もちろん聞きたいダすよ。」
「教えてください、博士。」
「いいかい、君たちの知っている太陽の大きさはね、1の次に0が二十二個も付く大きさなのだよ。
もこりん、あの原子の星を二十二回、十倍してやっと太陽の大きさになるということだ。わかるかな?」
「何が何だか、想像つかないでヤす。」
「親子ダすなぁ・・・むにゃむにゃ」
ぐうすかはもう眠ってしまっています。どうやらぐうすかの頭はむつかしい話を睡眠薬と勘違するのかもしれません。
でもぐうすかは博士の話を夢の中で聞いています。現実と同じ夢を見ているのです。不思議ですね。
「スケール号がそんなところに飛んでいけるのはすごいって、今思いました。博士。」
ぴょんたがまじめな顔をして言いました。
「そうだね。スケール号がなかったら、のぞみ赤ちゃんの身体の宇宙をこんなふうに眺めることなんてできないからね。」
「すごいでヤす!スケール号。」
「ゴロにゃーンにゃん」
スケール号が嬉しそうに返事をしました。
「食事の用意ができたでヤすよ。」
白いコック帽をかぶったもこりんが大声を上げました。
もこりんはスケール号のコックさんです。食卓の上には白いお皿とコップが並んでいます。
お皿の上にはパンが一つとチーズが乗っていました。
コップにはミルクが入っています。
そして特別メニューがほ乳瓶に入ったミルクでした。
もちろん艦長用の食事です。
「あれ、今日はパンだけダすか。」
食いしん坊のぐうすかが、ちょっと不満そうです。
「まあ、それは食べてからのお楽しみでヤす。」
コックのもこりんがニヤニヤしています。
「何か仕掛けがあるのかな。」
ぴょんたがパンをひっくり返してみましたが普通のパンです。
「みんな今日はありがとう。艦長の世話も増えたが、よくやってくれたね。これからが大変だが、今のうちにしっかり食事をしておこう。」
それというのも、スケール号がのぞみ赤ちゃんの額から、皮膚を通り、細胞の隙間をすり抜けて、骨の迷路に悩まされ、
狭い場所を潜り抜けたとたんにギャングのような細胞に襲われ、緑のアメーバーに喰われそうになったのです。
息つく間もありませんでした。
博士の指示で艦長がスケール号を操り、ようやくアメーバーから逃げ出せたと思うと、チカチカ光る枝が無数に広がる森の中に迷い込みました。
右へ、左へ、枝から枝へ行ったり来たりしながら、それでもどんどん奥に向かって進んで、やっとの思いで赤い丘の上にたどり着きました。
それで終わりかと思ったら博士が言いました。
「さあみんな、やっと入り口にやって来たぞ。」
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(ちょっと一休み)
龍の絵が進行中
求道をテーマにした画面となります。
上段の白いキャンバスの中央には誕生をイメージする空間を描き、
左肩の白いキャンバスには死をテーマにした空間を描く予定です。
スケール号ともども
応援よろしくお願いいたします。
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