里依子はもっと気安く自分の悩みと付き合っていくべきだと私は思った。けれどもそのことをどう伝えていいかわからず、くるくると頭の中で言葉を探しては貧相な自分の人生しか見えてこないことに苛立ちを覚えるのだった。
人は生きていること自体が素晴らしいのであって、悩みはその喜びを知らしめるためにある。
どこで聞いたのかも分からない受け売りの言葉を繰り返すしかない私は馬鹿だとも思った。そんな言葉は実際に悩む里依子にとっては何のかかわりもないことであって、必要なのは現実の心の支えなのだ。そんな思いが会話の節々から顔を覗かせて貧しい私を悲しげに見ている。
だが一方では、こんな話をしてくれる里依子を嬉しく思うのだった。彼女のそんな姿は、私を信頼してくれている証であって、私はただ黙って彼女を抱きしめ明日の日が昇るまで静かに温めてやることが出来るのだ。
深く自分を語り、やがてそれも尽きようかと思われた頃、里依子はポツリとこんなことを言った。
HPのしてんてん
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