里依子は札幌までの切符を買った。
私は不審に思って、そのことを里依子に訊いた。札幌は小樽の手前の駅なのだ。
「昨夜電話をしたら札幌まで迎えが来ることになったんです。だから先に小樽まで行ってください。」
それは彼女の親戚の家からの出迎えのことらしかった。小樽まで一緒にという昨日の約束が、その日のうちに反故になっていたのだ。
「そうですか・・・」私はそう応えたものの淋しい気持ちの湧き上がってくるのをどうしようもなかった。
この機会に身内の者に会ってくださいと言ってくれればどんなにうれしいことだろう。そんなことを考えたり、せめて小樽まで一緒にいてくれてもいいのではないかと思ったりして、私は少し里依子に対して強引な気持ちになった。
昨夜ベットの中で夢のような願望の浮かび上がった計画を里依子にしてみたいと思ったのだ。
HPのしてんてん
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