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もこりんの話が終わると、なんだか寝ているおばあさんの顔が本当の魔女のように見えてくるから不思議だ。 「本当に魔女だスか。」ぐうすかがささやくように言った。
「するとピピはこの魔女に捕らえられているのですか。」
「このおばあさんが魔女だなんてことはないよ。」博士が言った。
「でも、確かにピピはこのおばあさんの中に入って行ったでヤす。普通のおばあさんでは考えられないでヤす。」
「普通でないのは確かだ。このおばあさんに何かが起こっているのかもしれん。」
そう言えば、おばあさんの寝顔はなんだかとっても苦しそうに見える。魔女らしくないと言えば魔女らしくないようにも見える。
一体このおばあさんは何者なのか。
そしてピピはどうなるのか。
捕らえられた子供達はどうなるのか。
艦長の心は不気味さよりも不安の方が強かった。
屋根裏のスケール号を見守るように、黒いネズミがうずくまったまま息をひそめている。
しかしそれに気づいている者はいなかった。
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