昨日、何かの媒体で見つけて気になっていた「長谷検校記念 くまもと全国邦楽コンクール」とやらを覗いてみようと熊本市民会館(僕はこの名でしか呼ばない)に行ってみた。すぐに僕の認識不足も甚だしいことに気がついた。イベント名に「くまもと」が付いているので、地元の手だれの奏者たちが集まって全国大会の地区予選でもやるのかな、くらいの気持だった。とんでもない!日本の邦楽界で既に第一線で活躍している人も全国各地から参加してくるほどの凄いレベルの大会だったのだ。参加者の力量の高さは素人の僕にでもよ~くわかった。そもそも長谷検校(ながたにけんぎょう)なる人物、名前だけはどこかで聞いた覚えがあったが、どういう人物なのか知らなかった。なんでも熊本出身で幕末から明治・大正時代に活躍し、九州系地歌を全国に普及させた、邦楽界では伝説的な人らしい。この人をリスペクトして熊本でこのコンクールが開かれているというわけだ。地歌とは上方で生まれた座敷音楽で、三味線を伴奏とする歌曲のことをいうのだそうだ。このコンクールは「箏曲の部」、「尺八・笛音楽の部」、「三味線音楽の部」、「琵琶楽の部」、「三曲等合奏の部」の五つの部門が行われ、全体のナンバー1が選ばれる。昨日は「箏曲の部」の佐藤亜美さん(東京)が最優秀賞に選ばれた。ただ、見ていて僕が気になったのは、こんな全国レベルの大会にもかかわらず観客が少ないことだ。なんだかもったいない気がする。基本的には邦楽そのものに対する市民の関心の低さがあると思うが、イベントのプロデュースのしかたにも問題があるような気がした。
実行委員長の幸山熊本市長から表彰を受ける最優秀賞の佐藤亜美さん
実行委員長の幸山熊本市長から表彰を受ける最優秀賞の佐藤亜美さん