アメリカ議会で25時間も演説して、トランプ政権を批判した民主党のコーリー・ブッカー上院議員は、戦前のアメリカ映画「スミス都へ行く」に感銘したに違いない。
コーリー・ブッカー上院議員の演説をYouTube動画で視聴したら、最後までしっかりした様子だったが、ネット検索したら元アメリカンフットボールの選手だったとか。

主人公のスミスは、子供に人気のある田舎者の善良なボーイスカウトの団長だが、ひょんなことからダム利権汚職グループの傀儡議員として指名されて、上院議員になる。
ところがスミスは純粋すぎるほどの理想主義者で、直情径行タイプの熱血漢だった。
汚職を知って加担できないと拒否したスミスは、濡れ衣をきせられ罷免議決されるが、最後の手段として議決を妨害するための25時間におよぶ大演説をして、民主主義とはなにかを訴えつづける。

高校3年の春に深夜放送で視聴して、海千山千の汚職グループに、徒手空拳で糾弾しつづける姿に涙がとまらなかった。

主役は「アメリカの良心」と謳われ、善良なアメリカ人を演じ続けた、若き日のジェームス・ステュチアート。

映画では25時間の演説の最後には声はしゃがれになり、ヨレヨレとなって失神する。
監督はヒューマンコメディの巨匠、フランク・キャプラで、二人とも反共思想をもつ保守派として50年代に吹き荒れた「アカ狩り」に協力したが、ステュチワート自身は演じた役柄と同様に、スキャンダルのない善良で良識的な人物だったようだ。
ブッカー氏の25時間の演説を売名行為と批判する人がいたら、「自由の国」なんだからやってみればいい。
ただし、わたしは政治家をヒーロー視せず冷静に客観視することにしている。救世主と熱狂される政治家がでてくるのは危険信号と歴史に学んだからだが、コーリーブッカー上院議員の今後を見守りたい。
現実は映画のようにハッピーエンドで一件落着とはいかないだろうが、民主主義のなんたるかを問い直す機会になればいい。