温石(onjyaku)とは、温めた石を使った平安時代頃からある懐炉である。
または患部に当てる温熱治療法でもある。
具体的な使用法は、小穴を開けた石を囲炉裏の灰の中に埋め、石の内部まで温まった頃合いに小穴に火箸を差し入れて引き出し、ボロ布に包んで携帯したらしいが、小穴に通した針金で輪を作って取り出しやすくしていたとの説もある。
なんでも加賀の前田公が参勤交代の途上で糸魚川宿に到着した際に腹痛を訴え、地元の人の勧めで温石を腹部に当てた処たちどころに快癒して、その効能に感動した前田公が温石を将軍家に献上したという文献記録があるのだ。
江戸時代の糸魚川では温石が特産品であったという事だが、鉱物が豊富なジオパーク糸魚川ならではである。
ところが専門家に聞いて周っても、どんな鉱物が温石に使われていたのか不明で、現物が残っていないのだという。
それがついに温石の現物を発見した。
根知区の「塩の道資料館」で、塩を担いで信州まで運んでいた歩荷(ぼっか)の携行品として、蛇紋岩製の温石が展示されていたのだ。
小穴に植物繊維で作った紐が通されていたが、灰に入れて紐が炭化したり、燃えたりしないのかが疑問ではある???
蛇紋岩なら糸魚川の海岸や河川にゴロゴロ転がっているわ・・・。
いざという時、覚えておきたい知識ですな。
ただネット検索すると温石の実験と称して、焚火に石を直接放り込んでいる人がいたが、石が割れたり弾けたりする危険があるし、取り出し難かろう。
灰の中で間接的に温めるほういが本式だし、石の内部まで熱が浸透して温かさが持続すると思う。
また温熱療法は、頭の異常と盲腸には厳禁だ。これは私の学ぶ整体協会の常識!