縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

温石はサバイバルに使える!・・・ジオパーク糸魚川の隠れた特産品

2016年01月23日 07時44分02秒 | サバイバル

温石(onjyaku)とは、温めた石を使った平安時代頃からある懐炉である。

または患部に当てる温熱治療法でもある。

具体的な使用法は、小穴を開けた石を囲炉裏の灰の中に埋め、石の内部まで温まった頃合いに小穴に火箸を差し入れて引き出し、ボロ布に包んで携帯したらしいが、小穴に通した針金で輪を作って取り出しやすくしていたとの説もある。

なんでも加賀の前田公が参勤交代の途上で糸魚川宿に到着した際に腹痛を訴え、地元の人の勧めで温石を腹部に当てた処たちどころに快癒して、その効能に感動した前田公が温石を将軍家に献上したという文献記録があるのだ。

江戸時代の糸魚川では温石が特産品であったという事だが、鉱物が豊富なジオパーク糸魚川ならではである。

ところが専門家に聞いて周っても、どんな鉱物が温石に使われていたのか不明で、現物が残っていないのだという。

それがついに温石の現物を発見した。

根知区の「塩の道資料館」で、塩を担いで信州まで運んでいた歩荷(ぼっか)の携行品として、蛇紋岩製の温石が展示されていたのだ。

小穴に植物繊維で作った紐が通されていたが、灰に入れて紐が炭化したり、燃えたりしないのかが疑問ではある???

 

蛇紋岩なら糸魚川の海岸や河川にゴロゴロ転がっているわ・・・。

いざという時、覚えておきたい知識ですな。

ただネット検索すると温石の実験と称して、焚火に石を直接放り込んでいる人がいたが、石が割れたり弾けたりする危険があるし、取り出し難かろう。

灰の中で間接的に温めるほういが本式だし、石の内部まで熱が浸透して温かさが持続すると思う。

また温熱療法は、頭の異常と盲腸には厳禁だ。これは私の学ぶ整体協会の常識!

 


ホンモノのサバイバル用品・・・吉井本家の火打ち鎌

2015年07月18日 15時44分14秒 | サバイバル

7月24日から広島で開催される夏休みイベントに講師として招待されている。

私は火起こしと民族楽器作り体験会の講師だ。

火起こしは縄文式の摩擦式発火法だが、会場が屋外であるために当日が風や雨であったらお手上げになる。

そこで風や湿気に影響され難い火打石による発火法講座も準備している。

以前から関根秀樹師匠から、火打ち鎌(西日本では火打ち金)なら江戸時代からのブランド品の「吉井本家」が最高であると聞いていたので、取り寄せてみて驚いた。

実用本位に作られた吉井本家の火打ち鎌は、これまで使っていた火打ち鎌がオモチャに見えるほど着火性能が良かった。

左から百均の金鋸製の火打ち鎌、京都の火打ち金、吉井本家。名誉の為に京都の火打ち金は、銘の入ってない裏側(笑)・・・武士の情けである

 

これまで私が使っていた火打ち鎌は、神社で売っている勾玉形の火打ち鎌、ラオスの少数民族から買った金属ヤスリで作った火打ち鎌、百均の金鋸で作った火打ち鎌、そして京都の老舗金物屋で買った銘入りの立派な火打ち金だが、吉井本家に比べたら全てがオモチャ(笑)

特に京都で買った銘入りの火打ち金は、吉井本家より高価だったし、鏨で斜め線が交差した模様の入った凝った作り。

ホンモノは、見てくれよりは質実剛健で実用本位で勝負って訳ですな。

これぞホンモノのサバイバル用品だ。

 


ホームセンターで買えるサバイバル用手袋

2015年02月25日 09時37分23秒 | サバイバル

信州の戸隠神社は雪に埋もれていた。

奥ノ院までは、固く締め固まった雪の参道を一時間近く歩いて到着。

奥ノ院で、偶然にも糸魚川の知人と出会って話しが弾む。

彼は登山が趣味で、「これ、いいっすよう!除雪や寒い時の登山に最強の手袋です。」と、手にはめていた手袋を見せてくれた。

ホームセンターで五百円ほどで売っている、ゴムコーティングされた作業用の手袋だ。

なるほど・・・確かにいい。

 俺も内部にライニングされた冬用ゴム手袋は除雪の時に使っているが、ブカブカで細かい作業がし難いのだ。

ライニングも薄いから、結構掌が冷たい。

掌にフィットした指と掌だけにゴムコーティングされた薄手の手袋も愛用しているが、作業しやすい代わりに薄くて寒いし、甲の部分が布地なので雪が降った中での作業だと凍えて使い物にならない。

 

その点、この手袋はぴったり掌にフィットして、甲の部分までゴムコーティングされている。

しかも厚めのアクリルのパイルが内部全体に張ってあるから、結構温かい。

これならタイヤ交換の時も使えるくらいにフィット性がいい。

高価なアウトドアブランドの手袋を使っていた事もあったが、ごついので細かい作業に向かないし、かたっぽだけ無くした事もある。

五百円で買える手袋なら、家に三台ある車に置いておいたり、仕事場に置いておけるぞ・・・こりゃいい。

いざという時のサバイバルグッズの手袋には、皮軍手を常備していたが、こいつも仲間に入れておこう。

 

ホームセンターには、こんなのも売っていた。

冗談グッズやコスプレグッズとしてなら受けるよねえ(笑)

 


列車ホテルへようこそ!・・・サバイバルには強いが寒さには弱い男

2014年12月15日 22時08分40秒 | サバイバル

 

「列車ホテル」という鉄道用語があるらしい。

鉄道マニアに友人に聞いたら知らなかったくらい滅多に使われない用語のようだが、俺は体験してしまったのだ。

滅多に乗らない鉄道での旅の帰り、新潟は大雪。

俺が乗車したのは糸魚川駅の一つ手前の直江津駅・・・時間にして1時間弱の距離である。

大雪警報が出たが国道は混雑もしていなかったのでタカを括っていたら、JR線は直江津~糸魚川間で落雷が原因で電気系統が故障、特急列車が途中で立ち往生して復旧の見込みが立たないとのこと。

復旧に何時間かかるかわからないので、特急列車に乗車して待機することになった。

糸魚川に帰るには、もうバスもない時間である。

二時間待機した深夜になってから、「本日、落雷が原因の故障個所の復旧の見込みが立ちませんので、復旧まで列車ホテルをご利用下さい。」とのアナウンス。

列車ホテルとは初めて聞く鉄道用語だが、要するに復旧するまで列車内で寝ていて下さいという意味らしい。

こんな時の日本人は聞き分けがいい。

乗客たちは、籠城に備えて週刊誌や飲み物を買い込んで、思い思いに寝る態勢に入った。

俺が普段持ち歩いているバックには、耳栓・アイマスク・歯ブラシ・本・サバイバルナイフ・ヘッドランプ・火打石などを常備してある。

ズボンの尻ポケットにはハンカチではなく日本手拭が入っている。

ハンカチより手拭いのほうが多用途に使え、旅先で温泉に入る事になった時も海岸でヒスイを見付けた時も包んで持ち帰ったりと大活躍するのだ。

列車ホテルが決定したら、早速歯を磨いて熟睡態勢に入ったが、寒くて真夜中に起きてしまった。

他の人はスヤスヤ寝ているみたい・・・俺は好奇心が強くて色んな所に旅に行くけど、最近は寒い所は苦手なのだと自覚するようになった。

停電で運休といっても、幸いな事に俺が泊まった列車ホテルは直江津駅構内だったので電気は使えて暖房もそれなりだったが、立ち往生していた列車内は暖房が使えたのだろうか?

列車ホテルといっても毛布の貸し出しがあるわけでもなく、缶入りのデニッシュ(菓子パン)が配られただけである。

 

ニュース映像で観る、災害で運休した列車内や飛行機内で待機する人々・・・自分が同じ境遇になるとは

ちょっと大人になった気分(笑)

 

 

 


震災の日に想う・・・原始の火に学ぶ生活実感

2014年03月09日 20時49分24秒 | サバイバル






今年も3月11日がやってきた。
東日本大震災が起こった日であり、原発が暴走し始めた日でもある。
毎年この日は、「原子の火から原始の火へ」という古代の摩擦式発火法の体験会をしていたが、今年は会場の問題と俺が忙し過ぎて休止。
そのかわりに7月27日に「縄文の火をつくろう!」という体験会が予定されている。

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体験会でのキリモミ式発火法。

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体験会で火打石をおっかなびっくり試す少女・・・かわいい!
火打ち石はヒスイ、火打ち金は100均の金鋸で作った自家製。



一昔前は自分で火をお越すことは日常生活の中で前の事だった。
その前の時代は、着るものも家族の誰かが縫ったり、あるいは繊維を作る段階から自家製であった。

現代はお金さえあれば衣食住に何の苦労もない時代。
今や一人で焚火を起こすことのできる日本人が国民の何割いるのだろう?
マッチすら擦ったことのない日本人も増えてきているのだ。

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初めて摩擦式の発火法に成功した人は、誰でも突然に炎がぼうと立つのでこんな反応をする。
自分で作った炎・・・誰だって感動する。

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父親の起こした炎に驚く少年。「うわーっ!お父さん凄~い!!」って歓声を挙げていた。


出産や婚礼、葬式もお金で他人に頼む時代になって、日本人から生活実感が希薄になってきている。
便利な時代は結構だけど、今のままでは将来どうなるのか?
知人の高校教諭から、蝶々結びもできない高校生もいると聞いている。
 

一昔前の自分で工夫して身体を使って生活を作る・・・こんな視座を真剣に見直す時代だと思うのだが。







 


一家に一本は用意したいサバイバル用品・・・シートベルト

2014年02月19日 20時55分01秒 | サバイバル


山梨県が記録的な大雪で激甚災害指定となって、我らが泉田新潟県知事が素早く除雪車派遣をしたとフェイスブックで高評価されている。


イザという時に頼りになる知事だ。


知人には大雪で車が出せずに、食料品の買い物どころか灯油が尽きて暖房に困っているという人もいた。


備えあれば憂いなし・・・今回はお奨めのサバイバルグッズの紹介。


以前にも紹介したけど、それは廃車になった車から取ったシートベルトだ。


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スタックした車の牽引に使えるくらい丈夫で、俺は普段から愛車に輪っかにした状態で四~五本は積んでいる。


シートベルトは軽くて柔軟だから、軽トラの運転席裏の狭い空間に収納できるくらいに収納性は抜群だし、工夫次第で重量物の移動や命綱と多用途に使える。


サバイバルグッズというと、キャンプ用品などが紹介される事が多いが、本当のサバイバル状態では「壊れず・多用途・どこにでもある」道具が威力を発揮すると思う。


例えばこんな使い方はいかが?


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モデルは五歳児の母のM嬢(推定年齢三〇代半ば・小柄)。
ポリタンに満タンの20キロの水や灯油を運ぶには、男でも大変だ。
でもポリタンにクラブヒッチでシートベルトを結わえて、額で持上げれば女性でも移動が楽になる。


前傾気味になれば額から腰骨に掛けて重量を分散できるので、腕で持つより格段に楽なので、俺は体験会でも紹介している。
雪の上を滑らせてもいい。


この方式は、アイヌ民族の背負子(ニエシケ)と背負い縄(タラ)を参考に考案した。
背負い紐を肩に担ぐ和式の背負子だと手が不自由になることと、もし山道で熊に出会ってしまった時でも、額を上げれば簡単に背負子を捨てて逃げられるという理由で、アイヌ民族はこの方式の背負子なのだということ。
出典先・・・「アイヌの民具」 萱野茂著より


また昔に観たフランス映画にも、アイヌ民族と同様に、ジプシー女が平べったい紐を額に固定して大量の薪を運ぶ場面があった。



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ポリタンへの固定は、輪っかにしたシートベルトを取っ手に通して、再び輪っかをくぐらせるだけのクラブヒッチ。
ポリタンがちょうど腰に乗る位置に、輪っかを調整しておくのがコツ。
両手は左右の輪っかを持つか、M嬢のように
荷物を抑える事。



例えば自重180キロもある丸木舟の人力移動には、前後2ヶ所で二重にしたシートベルトに単管パイプを差せば、男4人で担いでの移動も可能だ。


本来、このような重量物移動には、スリングという平べったい専用具を使うが、高価なのと重量物移動以外には用途が無いのが難点。


その点、シートベルトも平べったい形状だが、スリングより薄くて柔軟なので移動したい重量物にピッタリと馴染んでくれるので有難い。


これを応用すれば担架や負ぶい紐を作って怪我人の移動にも使えるが、ロープだと馴染みが悪いので滑って危険なこともある。

 

それに柔かくて色んな形状に馴染む特性は、人命救助や命綱として、身体に食い込みにくいという特性でもあり、威力を発揮する・・・と思う(笑)


スクラップ屋さんに行けば只で分けて貰えるが、それなりのお礼はしたい。


通常の車から取れるのは長さ2.3m程度の長さしかないので、俺は用途によって一重継ぎや舫結びなどで繋いだりしている。


シートベルトを多用途に使うために覚えておくと便利なロープワークは、簡単な順にクラブヒッチ・本結び・八の字結び・一重継ぎ・二重継ぎ・舫結び・・・。


一家に一本は用意したいサバイバル用品。
車には積んでおきたいエマージェンシーツール。
しかも廃物利用でエコロジー、そして只で入手可能という点が素晴らしい。


追記
残念なことに、このブログで紹介しているアイデアを無断でパクる人が過去にいました。

アイデアをシェアして頂く分には構いませんが、他のブログや雑誌でこのアイデアを紹介したい場合は、エチケットとしてご一報くださるようお願い致します。









スコップは順手で持つベシ!・・・スコップ動法

2014年02月15日 09時25分44秒 | サバイバル

今年の糸魚川市平野部は小雪。


だから雪かきらしい雪かきはしていない。


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我が家では親父は軽いプラスチック製スコップを使っているが、俺は孔開きスコップを愛用している。塗装されているので、雪も土もくっつき難いし、孔開きだと粘性土でも大丈夫。


プラスチック製の中で一番使えるのはポリカーボネード製スコップだけど、高価なことと締め固まった重い雪だと役に立たないが、軽い新雪なら一番使い勝手はいい。


アルミ製も軽いけど雪がくっつくのでシリコンスプレーなんか吹きかけるといいが、やっぱり新潟の雪は重いからアルミ製だと軽すぎて、雪を割ったり差し込んだりする時に苦労する。

 

鉄製のスコップも錆びると雪がくっついてしまが、イチオシは全国津々浦々の植木屋や土方が愛用するのは「金象印」の塗装された鉄スコップ。

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金象印のスコップは柄が鉄パイプなので、テコにも使えるから、重いことを除けば丈夫でオールラウンドに使える頼れるヤツ。


いざという時のサバイバルのためにも、一家に一本は金象印のスコップは置いておきたいもんだ。



去年の冬に石川県加賀市の「百笑の郷」という市民団体から縄文体験会を頼まれたが、俺は整体協会の動法教授資格者ということもあって、ついでに雪かきの指導もしてくれと頼まれた。



動法とは、分りやすく言えば昔の日本人の身体の扱い方で、整体操法では必須の技術である。


宮本武蔵みたいな武芸者、農家、古典芸能など、全て動法の原理による身体扱いをしていたとして、我々はその研究をしているのだ。


動法は一言で言えば、筋肉に頼らない骨の動きであり、その動きは腰と腹に要を置く感覚的な身体扱い。


体験会当日の朝になってから急に動法的雪かきを指導してくれと頼まれたのだが、慌てずに雪かきの指導に臨めた。



動法の原理は色々なことに応用が利くのだ。


受講者は子供とその父兄だけど、俺の指導を聞いていたスタッフの地元のお年寄り達が「長年雪かきしているけど、こんな楽なのは初めてだ!」って驚いてた。


指導内容はいたって簡単。


スコップを持つ時に、普通は柄を持つ前の手を逆手で持つ。

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一般的に逆手でスコップを持つ写真モデルは、除雪歴60年のFさん。


逆手で持つと、両腕がバラバラになってもろに筋肉だけの動きになって疲れるのが難点だ。


ところが前の手を逆手から順手にすると、背中と両腕が繋がり、腕の筋肉の負担が少なくなり両腕に統一感が生まれる。


その代わりに腕が逆手の時より自由に動かなくなるが、その分を下半身の操作で補うようにすればいいのだ。


主役が腕ではなくなるので、腕の局部的な疲労が無くなる訳だ。



コツは両肘を左右に張って、脇の下に空間を作ること。


スコップの操作は、腕ではなく下半身を主役にした全身で行うことの2点。


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順手で持つとこうなるが、Fさんは高齢者で足腰が弱っているために膝を曲げて体を沈めることができないので、両肘が左右に張れていない。
これで歩幅の調整や膝の曲げ具合、股関節の動かし方の工夫で両肘が張れればずっと楽になる。


スコップの微妙な操作が必要な時は、腕が自由に扱える逆手に戻せばいい。


スコップ扱いのプロ・・・植木屋や土方はこうスコップを使う。


初歩的な動法だけど、随分と雪かきが楽になるハズ。