糸魚川市能生地区は漁師町として有名だが、海岸線から五キロほど奥地に入った能生川に掛かる桂橋から上流は、「能生谷」と呼ばれる農村地帯である。
私は能生谷で手作りされている菅笠がお気に入りで、海の遊びや自然農法の時に愛用している。
能生町の農協で売られており、立派な手作りなので恐る恐る値段を聞いたら、確か二千円ほどで拍子抜けした事を記憶している。
ホームセンターで買ったベトナム製の菅笠が、一年で骨が折れて補修しては使っていた事と大違いで長持ちだし、なにより使っていて快適なのだ。
アウトドアでの活動で、帽子やタオルを頭に巻くなど色々と試行錯誤して辿り着いたのが、この菅笠。
帽子と違って、傘と頭の間に風が流れる感じが心地よい・・・熱がこもらないのだ。
老人達は雨の時の農作業や冬の除雪の時も使っているが、濡れてしまうと痛みが早いのでビニールを被せている人もいる。
円形の台座は五百円くらいのオプションで、顎紐は購入者が工夫して付ける。お袋が快適だからと木綿を撚って紐を作ってくれた。
私の場合は、汗止めの意味で日本手拭を巻いてから、菅笠をかぶっている。
しかし、この菅笠を作れる人は高齢化が進んで数人もいないようだ。
こんなに便利なものが無くなってしまうのが残念。
近い将来の内に菅笠も、安かろうの東南アジア製品に取って代わられる運命か。
せめてこの快適さと、失われつつある地域文化を記録しておきたい。
欲しい人は、能生町のJAに急げ!