除雪の前にミカンを雪に埋めて冷やしておくのはささやかな楽しみ。
小休憩の時に雪からミカンを掘り出して「ミカン食うか?」と仲間に差し出せば、誰もが相好を崩す。
カラカラに乾いた喉に染みる果汁の甘露さは、除雪労務者(笑)へのご褒美みたいなもの。
雪の中に埋めたミカンが行方不明になった笑い話や、缶ビールを放り投げておいて掘り出す時まで頑張るのだと励みにする人もいるなどと、たわいのない話題に花が咲く。
昔ながらの宿場町や町屋と同じく、高田の雁木通りの民家は平入家屋(玄関側に軒の雨樋がある家)
雁木があることと、屋根が雪が滑りやすいように2寸~3寸勾配のトタン横葺きであること、屋根雪降ろしのためのハシゴが下屋に固定されている民家があちこちにあることが高田ならではで、残しておいて欲しい雪国の風景。
除雪ミカンも、労苦のなかにも楽しみを見出す雪国の知恵。