シーカヤックイベント後日談・・・
イベントでメーカーから貸与されたカヤックは、折り畳み式のフォールディングカヤックだった。
当日は凪ぎだからよかったが、夏でも暗礁に白波がたち、防波堤にあたって砕けた波頭が防波堤を超えることがある磯が出艇地。初心者には危険すぎると変更を求めていたのだが却下されたので、最低限の安全対策としてヘルメット着用を厳守してもらった。案の定、乗り込んですぐに転覆した子供もいたようだ。写真はボランティアのIさん撮影。
転覆した艇を漕いでいたのが初心者とはいえ、左にばかり回っていたのはなぜか?
ツーリング艇より幅が広く転覆しにくいレジャー艇が、凪の海で転覆するもんかね?と疑問だった。
左に横転した艇を元に戻して乗り込んで漕いだら、ボトムの剛性が頼りなくなにか変だ。
ビルジ(アカ・船内に溜まった水)が動くからか?と掌で排水したが、本当なら排水用のビルジポンプを常備しておくべき。
カヤックを貸与したメーカーのホームページから借用したビルジポンプ。狭いカヤックのコックピット内ではバケツ排水ではおぼつかず、手動でポンピングするだけで大量の排水ができるので、沖に出る時の必須アイテム。
よく見たら左側の縦フレームと、横方向の船郭フレームを繋ぐプラスチックジョイントが外れており、センターもずれていた。
だから私が漕いでも左に逸れていってしまう。赤い丸がジョイント外れの部分。
最初は転覆の衝撃でフレームが外れたのかと思ったが、後日に市民ボランティアが組立てたと聞いて、すべてのことが繋がった。
おそらく組立ての際にジョイントを最後までパチンと押し込んでいなかったので、早い段階でフレームが外れて左側の剛性不足、そして左周りと転覆の要因になったのではないだろうか。
これは初心者にありがちなミスで、ある程度の経験者なら漕いですぐに異変に気付いて岸に戻ってチェックするだろうが、初めてフォールディングカヤックに乗る初心者は異変に気付きようもなく、また今回のイベントのように上級者たちが先に行ってしまって取り残されたなら、余計に焦って転覆に繋がったのではないだろうか。
使用邸とは別だが、国産カヌーの老舗メーカー「フジタカヌー」さんのホームページから借用したフォールディングカヤックのフレーム構造。赤い丸で囲んだジョイントが外れていた。
市民ボランティアに組み立てをさせたなら、貸与したメーカーは適切に組み上がっているかをチェックすべきだが、ちゃんとチェックしたのだろうか?
もしチェックしていなかったら運営サイドの安全管理の認識不足といえ、今後は役割分担を明確にしてチェック体制を厳にすべきだろう。
凪の海なら、沖に出ても大丈夫なスキルを持っているなら、そして組立てが完璧であるなら、安定性と積載性に優れるフォールディングカヤックは安全で楽しい乗り物。そのどれか一つでも欠けたら、安全ではなくなるから沖にでてはいけない。
今回のイベントでは、そのうちの二つまで安全でない条件が揃っていたことになり、沖に出しては駄目なのだ。
総括として、イベントのコンセプトや指揮命令系統、責任の所在が明確でないまま見切り発車してしまった印象はぬぐえず、行政とメーカー双方は真摯に取組むべき課題。
個人の場合ならすべて自己責任だから、ライフジャケットとビルジポンプに加えて、万が一の用心に防水ケースに入れたスマホは必須。
カヌークラブに入って習うもよし、独学なら最初は波のない遠浅の水面でスキルアップしていくのもよし。
真っ直ぐ漕げて、好きな方向に進めるようになったら、ちょと背伸びした冒険を重ねてスキルアップしていけばいい。
自信がついたなら日帰りツーリング。
折り畳んで収納ケースに入れれば、バスや電車で帰ってこれるし、置き場所にも困らないのがフォールディングカヤックのいい所。
参加した初心者から海は怖い、シーカヤックは危険と思われては何のためのイベントかわからなくなってしまう。
だからこそ考え得るすべての安全対策が求められるのだ。
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