どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ゴリラでたまご

2016年01月12日 | 絵本(日本)
ゴリラでたまご  

          ゴリラでたまご/作:内田 麟太郎 絵:日隈 みさき/WAVE出版/2013年初版

 

 煙に巻かれるというのはこんなことでしょうか。

 ライオンのおじいさんが、坂道で大きなたまごをみつけます。
 「あなたは、なんの たまごなの?」
 たまごがいうには「たまたまたまごになっているゴリラ」。
 本物のゴリラがやってきますが、やっぱりたまごにしかみえません。
 
 たまたまサイが突進してきます。
 たまごがいうには「あたい、ウサギだよ」

 空から棒がふってきて、たまごにぶつかり「なによ。やぶからぼうに ぶつかってきて!」
 棒は「これはこれは、おじょうさん。わたしは、やぶからぼうではありません。空からぼうです」。

 たまごが三つになったり、たまごがカエルとともに、そらにかえったりと語呂を楽しめるのですが・・。

 たまたま手に取ったのが、たまごの話でした。
 ほんとはなんのたまごだったのかはわからずじまい。

 なにがなんでもわかる必要はないのですが・・・・。            


ふりかえりおじさん

2016年01月10日 | 絵本(日本)
ふりかえりおじさん  

           ふりかえりおじさん/作:安西 水丸/復刊ドットコム/2015年

 はらっぱの丘の上でいつも出会うふりかえりおじさん。

 ふりかえるとニコニコうれしいかお
 シュンシュンこまったかお
 プンプンおこったかお
 メソメソかなしいかお
 モジモジはずかしそうなかお

 お天気のようなおじさんのかおで、背景がおじさんのかおと一緒です。

 見返り美人ならぬふりかえりおじさん。
 いつも猫をだいているのですが、猫のかおもおじさんと一緒。

 何者かきになるおじさんです。                


うりこひめとあまんじゃく

2016年01月09日 | 絵本(昔話・日本)

  
    うりこひめとあまんじゃく/松谷みよ子・文 土橋とし子・絵/講談社/1997年

 日本の昔話はよく知っているつもりでも、じつはよくわかっていないというのもしばしば。

 松谷みよ子さんの「うりこひめとあまんじゃく」を読みました。

 昔話の冒頭には、子どもにめぐまれなった夫婦というのがよくでてきますが、この話も同様で、ある日、ばあさまが川で洗濯をしていると、うまそうな瓜がながれてきます。この瓜から生まれた女の子。うりこひめとなずけられます。

 かぐや姫は竹のなかから、桃太郎は桃の中からうまれますから、いろんなものからうまれる物語があってもおかしくありません。

 はたを織るの上手で、うつくしい娘にそだったうりこひめ。
 ひとわん食べさせれば ひとわんだけ ふたわんたべさせれば ふたわんだけとすぐに成長します。

 やがて、うりこひめは、長者のところへよめ入りすることになりますが、じいさまとばさまがよめいりの支度をしに、町に買い物にいったとき、一人留守番をしていたうりこひめが、あまんじゃくに連れ去られ、あまんじゃくがかわりによめいりのかごにのっていると、カラスがとんできて、あまんじゃくの正体をあばきます。

 あまんじゃかくが、うりこひめを連れ出すあたりは「赤ずきん」をおもわせます。

 あまのじゃくは、桃をたべるためうりこひめを連れ出しますが、自分だけ食べて、うりこひめには青い実や虫くの桃を木からなげます。
 この木にうりこひめをくくりつけ、自分はうりこひめにばけて、じさまとばさまをまちます。

 じさまとばさま、あまんじゃくのやりとりもおもしろい。


 テンポよく話がすすむので、語るなら、松谷バージョンが適当のようです。

 松谷さんのは、瓜が川に流れてくるのですが、畑の瓜というのになっているものもあります。


今昔物語

2016年01月08日 | 昔話あれこれ

              今昔ものがたり/杉浦明平/岩波少年文庫/1995年

 

 何回か聞いたことのある「旅人馬」は、宿に泊まったお金持ちの若者が馬に変えられて、この若者を貧乏な若者が救うというお話ですが、このもとは「今昔物語」にあるというので、岩波文庫の「今昔ものがたり」を読んでみた。


 今から900年前に蒐集、編集されたという今昔物語。

 「今は昔」ではじまる千を超える短い話のうち、文庫本に収録されているのは40話だけだけなので、なんともいえないが、慣れ親しんだ昔話につながるものは見出すことができませんでした。

 今昔物語は当時の社会状況を反映していて、なじみがない衛門府、近衛府といった役所のなまえがでてきたり、武士が力を持ち始めた状況もうかがえます。また泥棒が出てくる話も多く、当時の状況を知ることができます。

 当時の役所の給料は米で、このコメが不作で、一向に給料が払われないので、実力行動にでた職員。
 しかし、ないものは払えない。
 そこで、実力行動を阻止しようと考えたのが、酒をのませて、下痢をするように仕向けるというのが「すわりこみ撃退法」。こんな話は語り継がれてもおかしくなさそう。

 「おくびょうものの強がり」では、自分の影におびえる夫婦がでてきて、こんなのも面白そうな話。

 強盗が死んだふりをして、寺の釣り鐘を盗む「釣り鐘どろぼう」という話は時代を問わずありそうである。                       


ぶくぶくチョッキンとこやさん

2016年01月07日 | 紙芝居

     ぶくぶくチョッキンとこやさん/原案・絵・長島克夫 文・東川洋子/教育画劇

 

 本日開店したカニのとこやさん。
 きつねもこうまもおらんうーたんもあたまがぴっかぴっか。

 カニのとこやさん、髪だけではありません。
 こりすのしっぽもていれ。

 そこにやってきたのが、あばれんぼうのライオン。
 順番も無視します。

 カニさんは、髭もたてがみもすっかり、きってしまいます。
 たてがみのないライオンはちっとも力がでません。しかし、あたますっきり きぶんそうかい らんぼうもしなくなって、はじめてともだちが、できます。


 ほのぼのとした紙芝居。演出ノートがいきています。

 絵本のように、どんな紙芝居があって、どんな内容も知ることができるといいのですが・・・。           


ひとまねこざる

2016年01月06日 | 絵本(外国)
ひとまねこざる  

      ひとまねこざる/作・絵:H.A.レイ 訳:光吉 夏弥/岩波書店/1998年

 

 ある日、しりたがりやのこざるのジョージが動物園を逃げ出し、その日はゾウさんの小屋に隠れ、朝になるとバスの屋根に飛び乗ってまちにでます。

 いい匂いにさそわれてレストランの厨房でスパゲッテイを食べていると、コックさんに見つかってしまいます。
 やさしいコックさんはたくさんのお皿をあらわせますが、その手際の良さに感心。
 コックさんはジョージをビルのエレベーター係に紹介し、高層ビルの窓ふきをすることになります。

 ジョージが窓ふきをしていると、ペンキ屋さんが働いている部屋を見つけ、ペンキ屋さんがお昼を食べに出たところで、その部屋で入り込み、ペンキ屋さんのマネをはじめます。


 さる年というので、おさるさんの絵本をかりてきました。
 アメリカで1947年に出版され、日本では1954年に初版がでていますから半世紀以上がたっています。
 子どもにも好評で、世代をこえて読み継がれているようです。

 部屋をペイントする場面で、部屋一面をジャングルにかえてしまうのですが、なんとも楽しい部屋になっています。
 怒ったペンキ屋さんや部屋に住んでいるおくさんたちが、ジョージを追いかけますが、ジョージは、このあと映画に出て有名になりますから、この部屋の価値は高くなったのでは・・・?。

 本文はすべてひらがなで、子どもにも読めるように工夫されていますが、文章が長く小型本なので読み聞かせにはどうでしょうか。            


お父さんのラッパばなし

2016年01月04日 | 創作(日本)
お父さんのラッパばなし  

    お父さんのラッパばなし/作:瀬田 貞二 絵:堀内 誠一/福音館書店/2009年

 

 お父さんが、中学一年のお姉ちゃん,小学五年のお兄ちゃん、幼稚園に通っているもとちゃんにしたお話が14話のっています。

 いずれも10分以内で話せそうで、どちらかといえば、少人数に語るのがよさそうです。

 お父さんが船のかまたきになって、船が沈没したり、超高層ビルの窓ふきになって百階の窓からおちそうになったり、靴屋の弟子になったり、バグダットで、催眠術をつかった泥棒を捕まえたりと、地球をぐるっとまわった楽しい冒険話です。

 本当かなと思いながら、お父さんのラッパばなしにハラハラ、ドキドキ耳をかたむける子どもの様子が浮かんできます。          


瘤とり娘、犬と猫の恩返し・・ベトナム

2016年01月03日 | 昔話(東南アジア)

     瘤とり娘/ベトナムの昔話/加茂徳治・深見久美子・編訳/文芸社/2003年初版


瘤とり娘
 
 ベトナム版瘤とり爺さんですが、でてくるのは娘です。

 日本版とほぼ同じで、鬼がにぎやかに歌ったり踊っているところで歌いはじめた娘。

 面白いから明日もこいといわれて、気が向いたらとこたえると、お前の大事なものをあずかっておくと、鬼は、娘の瘤をとってしまいます。

 この話をきいた、やはり瘤のある長者の娘が、鬼のところにでかけていきますが・・・。


犬と猫の恩返し

 日本の「犬と猫とうろこ玉」と似ています。
 日本版も比較的長いお話ですが、ベトナム版も話が次から次へと展開します。

 冒頭では船で働く貧しい若者が、前払いでもらったお金で、殺されそうになった犬、猫を助けるところからはじまります。
 
 類話には、驚かなくなってきていますが、それにしても、遠い国に同じパターンの話がありますね~。    


月夜のみみずく

2016年01月02日 | 絵本(外国)
月夜のみみずく  

    月夜のみみずく/作:ヨーレン 絵:ショーエンヘール 訳:工藤 直子/偕成社/1989年初版

 

 冬の夜ふけ、みんながねしずまったころ、わたしは、おとうさんとみみずく探しに出かけます。
 夜ですが月のあかりと雪の真っ白さが夜をかんじさせません。
 静寂な森の中、
 氷の手がせなかをぴたぴたなで、鼻やほっぺたのさきが、つめたいようなあついいような不思議な感じ。
 みみずくにあうためには勇気だっているんだと、おとうさんと何もいわずに雪を踏みしめます。

 やがてであえたみみずく。

 月が まぶしく かがやく夜に なんだか わくわくするものが しずかに つばさをひるがえし、ひかりのなかをとんでいきます。

 にいさんたちがであい、自分も胸が高鳴った瞬間、そしてこどもに見せたい冬のみみずく。

 おとうさんと一緒にでかけた時間の重さが伝わってくるのですが・・・。

 詩なので素直にうけとめたいのですが、どんな家族だったのでしょうか。家ではどんな会話が交わされていたのでしょうか。

 真っ白な余白が絶秒に配置されています。     


兵士のハーモニカ

2016年01月01日 | 創作(外国)

     兵士のハーモニカ/ロダーリ童話集/関口英子・訳/岩波少年文庫/2012年


 何年も家から遠く離れ、千の危険をくぐりぬけ、百の死を目のあたりにした兵士が、ポケットに穴が開いていることにきずかず、せっかくの給料までなくして、がっかりして戦場から帰る途中にであったのは、一人の老人。
 お金を恵んでくれといわれ、お互いにポケットをひっくり返して、ポケットからでてきたものを半分ずつ分けることになります。
 老人のポケットからはハーモニカ、兵士のポケットからは銀貨が一枚転げ落ちます。わけがわからない兵士は、そのお金で居酒屋にいき、飲んで食べることに。食事の残りの金を老人にやることにすると老人はハーモニカをくれます。

 兵士が途中でであったのは山賊。山賊は兵士が金をもっていないのをみてとって、やってきた乗合馬車にねらいをつけます。山賊が馬車に武器をつきつけ、わめいているときに兵士がハーモニカを吹くと、急に山賊の態度がかわり、馬車の乗客にやさしくなります。

 兵士が生まれ故郷の村に着くと、こんどは二人の男がナイフをふりまわし大喧嘩。あっしにはかかわりないと木枯らし紋次郎ばり(古いなあ~)に兵士がハーモニカを吹くと二人の男は急にだきあって永遠の友情を誓い合います。

 そう、このハーモニカは魔法のハーモニカで、たとえその一瞬まえまで兄弟を殺してやりたいほど、いかりくるっている人でも、音色を聞けば、たちまち友好的になれるハーモニカだったのです。
 このハーモニカは<平和つむぎ機>だと発見した兵士は心の底から嬉しくなります。
 兵士は、ほかの村の人たちも、ハーモニカでやさしい気持ちにしてあげるんだと旅にでます。

 やがて都会についた兵士はテレビ局の番組に出演することになります。テレビでハーモニカの音色を奏でれば、対立や、暴力を町中いや世界中から消すことができそうだと兵士はいさんでテレビ局にのりこみますが・・・・。

 どんな結末を予想するでしょうか。

 人が死に、争いが絶えない今ですから・・・・。

 兵士はハーモニカを排水溝に落とてしまい、吹くことができなかったのです。

 しかしそれから長い年月、兵士はハーモニカを探し続けます。

 自分の力でこの世の中をよりよくできると知っている者は、つかれたなどという権利はないのです。あきらめることもできません。そうあなたもわたしも・・・。


 きな臭い世の中で、作者の強烈なメッセージが新鮮です。
            
                  by 穏やかな元日の朝に・・・。