温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

小浜温泉 脇浜共同浴場「おたっしゃん湯」

2015年11月25日 | 長崎県
 
前回に引き続き長崎県島原半島の小浜温泉をめぐります。今回訪れますのは鄙び系の共同浴場が好きな温泉ファンから熱く支持されている脇浜共同浴場「おたっしゃん湯」です。こちらの浴場は既に多くの温泉ファンによって語り尽くされていますので、詳しくはググって他のサイトをご覧いただくとして、今回の記事では、私が実際に訪問してちょっと気になった部分を中心に、数枚の画像とそれに対する簡単なキャプションとプラスα程度の簡単な内容に留めさせていただきます。橘湾に沿って南北に細長く伸びる温泉街の南端に位置しており、宿より民家が多いエリアの通りを歩いていると、路地の角に浴場の場所を示す看板が立っていました。


 
路地からアプローチの坂道を上がった小高い丘の上に、長年の歴史がたっぷり染み込んだいかにも古そうな木造の湯屋がどっしりと構えており、単に古いだけでなく、その前で茂る藤棚と松が一幅の絵のような美しい情景を作り出していました。昭和12年の建物なんだとか。



三和土の玄関を入るとすぐに番台があり、戦前にタイムスリップしたかのような佇まいに思わずウットリ。番台には座椅子付きのコタツがセッティングされており、普段はここに店番のお年寄りが座っていらっしゃるのですが、訪問時はご不在だったので、コタツのテーブルの上に湯銭を置いておきました(お風呂から上がると、おじいさんが店番に戻っていらっしゃいました)。


 
昔ながらの板の間の脱衣室には茣蓙が敷かれてます。古いマッサージチェアが昭和の良い味わいを醸し出していますね。漢数字でナンバリングされている木戸のロッカーは、まるで戦前の銭湯を舞台にした映画のセットみたいですが、これはセットではなく、正真正銘、本物の銭湯の什器であります。


 
かつて実使用されていた札類もいまだに掲示されつづけられており、いにしえの面影を今に伝えていました。例えば、「大人金三銭」と書かれた「入浴券発売所」や「懐中物ご用心下さい」という注意喚起、そして「本鉱泉医治効用」などなど。個人的に心が惹かれたのは、昭和十二年の日付が書かれた「浴客心得」であり、箇条書きの表現が面白いので、ここに書き写してみますと…
一、泥酔者、保護者ナキ白痴瘋癩者幼者及老衰者ヲ入浴セシメサル事
一、放歌、若クハ喧嘩シ又ハ浴槽内ニアリテ身体ヲ洗ヒ若クハ石鹸糠洗粉其ノ他浴場ヲ不潔ナラシムルモノヲ使用スル事ヲ得ス
一、手拭、櫛、及刷毛ノ類ヲ貸与セサル事
一、唾壷以外ノ喀痰及男女混浴禁止
一、前各号ノ外、浴客ノ注意スヘキ事項
などといったように、現代でも通用する事項もあれば、いま使うといろんな方面から後ろ指をさされそうな表現も随所にみられます。また表現方法のみならず、刷毛の類を貸し借りするような文化があったことにも驚きますし、ましてや唾壺(痰壷)なんて現代日本では見ることができませんよね。現在の日本から失われた庶民生活のワンシーンが垣間見れるこの手のものを、敢えて残してくださっている関係者の方々に感謝です。


 
浴室も「THE 昭和」といった趣きたっぷり。湯気抜きのある高い天井からヨレヨレの電線が一本垂れさがり、その先に裸電球が一つぶら下がっていました。もしかして夜間はこの裸電球だけで広い浴場内を照らすのかな?
床に敷かれているのは切り出された石材で、排水と滑り止めを兼ねた浅い溝が彫られていますが、長年使い込まれたことにより表面や角が丸くなっており、また長年にわたって温泉の成分がこびり続けてきたため、表面は赤茶色に染まっていました。

こうした裸電球や床の石材をはじめとして、木造の室内は古くて鄙びて昭和の情緒に満ち溢れていると表現して完結したいところですが、現役でいまでも人々から愛され続けているお風呂だからか、たしかに造りは古いものの、決して鄙びてわびしいような斜陽感はなく、想像していたよりタイムスリップ感が少ないことにむしろ驚きを覚えました。お年寄りでも日々活動的で忙しく動き回っている人は、実年齢よりもはるかに若く見えることがありますが、ここのような公共性の高い建物も同じように、客が頻繁に出入りして日々愛用され続けていると、建物としての若さを保ち続けることができるのかもしれません。

浴室奥にある洗い場には、水とお湯の蛇口の組み合わせが4組並んでいる他、昭らかに後から追加としたという感じで、カランの間にシャワーが2基取り付けられていました。またこの洗い場の右手に冷水が貯められている小さな槽が据え付けられていました。夏の暑い日に水浴びをするのにもってこいです。



浴室の中央に据えられた浴槽は目測で3m×3.5m、真ん中で二つに仕切られており、それぞれ4~5人サイズで、槽内には淡いエメラルドグリーンのタイルが張られています。前後を分ける仕切りの上には浴槽にお湯を供給するために樋が置かれており、ここに熱い温泉が落とされると同時に適度な加水も行われているのですが、この樋の先っちょが微妙に奥側の槽へ向いているために、奥側の槽はべらぼうに熱く、手前側の槽は入りやすい湯加減になっていました。奥の槽の熱さは半端じゃなく、私は手を突っ込むだけで尻込みしてしまいましたが、さすが地元の方は慣れていらっしゃるのか、常連のお爺さんは平気な顔をして肩までしっかり浸かっていらっしゃいました。

お湯は無色透明ですが、カルシウムの影響か若干白く靄が掛かったような微濁を呈しています。明瞭な塩味の他、茹ですぎた茹で玉子の卵黄のような匂いがほのかに感じられました。味・匂いともに薄かったのですが、これは加水の影響なのか、はたまたそもそも味などが薄い源泉なのか…。でも食塩泉らしいツルスベ浴感はしっかりしており、湯上りはなかなか汗が引きませんでした。

平日の昼間だというのに、常に7~8人のお客さんが出たり入ったりを繰り返しており、いかに地元の方々から愛されているか、そして憩いの場として重要な役割を果たしているかを実感することができました。お客さんのほとんどはご高齢の方なのですが、お客さんよりこの湯屋の方がはるかに年配であり、もしかしたらこの温泉のお湯を産湯にした方もいらっしゃるかもしれませんね。時代を超えて人々から愛されつづけている素敵な浴場でした。


ナトリウム-塩化物温泉 51℃ 溶存物質11367mg/kg 成分総計11370mg/kg
Na+:3289mg(73.65mval%), Ca++:252.6mg(6.49mval%), Mg++:405.8mg(17.17mval%),
Cl-:6194mg(90.56mval%), Br-:20.07mg, I-:0.357mg, SO4--:807.9mg(8.72mval%), HCO3-:68.65mg,
H2SiO3:123.0mg,
(昭和33年10月27日)

長崎県雲仙市小浜町南本町7  地図
0957-74-3402

8:00~21:00
150円
備品類なし

私の好み:★★+0.5
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小浜温泉 蒸気家

2015年11月23日 | 長崎県
今回から久々に九州の温泉を長期にわたり連続して取り上げてまいります。まずは長崎県島原半島の小浜温泉から。

 
 
1軒目は雲仙市小浜支所前の「蒸気家」を訪うことにしました。かつては「田中荘」という屋号でしたが、昨年(2014年)にリニューアルして現在の屋号を名乗るようになり、その新しい屋号が示すように、建物横の源泉施設では真っ白い湯気がもうもうと立ち上がっていました。このように街のあちこちから湯気が立ち上がっているのは、小浜温泉ならではの光景です。
現在は素泊まり格安宿としての営業スタイルをとっており、別府・鉄輪温泉の自炊宿でおなじみの温泉蒸し釜があるので自炊も可能ですが、お食事付きの宿泊も可能であり、お客さんの多様なニーズに対応できるようです。リニューアルされたお宿だけあり、館内はこざっぱりとして落ち着いた雰囲気です。日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。


 
ロビー左手から館内奥へ進んだ突き当たりが男女別の浴場。館内にはこのほか家族風呂もあるのですが、私が日帰り入浴客なので、今回は男湯のみの利用です。訪問した時間はちょうど清掃が終わったばかりで、脱衣室はとても綺麗。室内に洗面台が2台並び、出入り口付近にロッカーが設置されているほか、扇風機やシーリングファンなどもあって、湯上がり後のクールダウン対策も問題ありません。


 
浴室に入ると、臭素臭のような僅かな刺激を伴う硫化水素臭が香ってきました。この日の一番風呂だったためか、床は乾燥しており、桶や腰掛けなど備品類もきれいに整頓されていました。床は市松模様のタイル貼りで、側壁下部には暖色系の石材が用いられ、全体的にオフホワイトやクリーム等の色調でまとめられた室内はぬくもりのある佇まいです。洗い場は二手に分かれており、計5基のシャワー付きカランが取り付けられています(なおカランから出てくるお湯は真湯です)。


 
洗い場の隣には木箱のような小さな2室は温泉蒸気を利用したスチームサウナで、大きさは1室につき1人。白い腰掛けが置かれており、内部は湯気で白く煙っていて、実際に入ってみますとかなり熱く、しっかりと蒸されました。


 
全面タイル貼りの浴槽は鏡餅を半分にしたような形状をしており、最大幅で3.5m×6m、13~4人は同時に入れそうな容量があり、一番端っこには寝湯ができるよう、背もたれと枕が設けられていました。また、浴槽上の壁には松や帆船、そして雲仙の普賢岳と思しき山がタイルによって描かれており、寝湯関係のタイルの貼り方や、壁のタイル絵の意匠などに昭和らしい古風な美意識が感じられます。


 
浴槽を別の角度からも撮ってみました。窓下の槽内には塩ビ管(VP管)が埋められており、そこから気泡がブクブクと上がっていました。泡風呂発生装置も稼働しているみたいです。湯船のお湯はほぼ無色透明で、(私の体感で)42℃前後の入りやすい湯加減となっており、浴槽のお湯は浴槽縁の切り欠けから静々と少しずつオーバーフローし、その流路はベージュ色に染まって、細かいうろこ状の石灰華の模様が形成されていました。


 
浴槽の片隅に小さく囲まれている湯枡が源泉投入口。壁から突き出ているバルブ付きの塩ビ管は太いのですが、そこから吐出されるお湯は80℃弱の熱湯なので、投入量は思いっきり絞られています(それゆえ上述のようにオーバーフロー量も少ないわけです)。なお湯使いに関する案内は見当たりませんでしたが、おそらく掛け流しかそれに準じた湯使いかと思われます。
この小さな湯溜まりからお湯を掬って、息をふーふー吹きかけながら少しずつ口にしてみますと、上述のような軽い刺激を伴う硫化水素臭が香ってくるほか、はっきりとした塩味があり、ほんのりと苦汁味や石灰のような味も混在していました。湯中では食塩泉らしいツルスベ浴感が得られ、湯船に浸かりながら腕でお湯を掻くと、しっとりとしたトロミも感じられました。一方、温泉成分の影響なのか、湯船のお湯を使って石鹸等を泡立てようとしても、なかなか泡立たず、それゆえ真湯のシャワー使用は欠かせないかと思われます。さすが食塩泉だけあって湯上りの温まりは実にパワフルで、いつまでも湯冷めせず、むしろ汗がなかなか止まらないほどでした。


温泉分析書見当たらず(おそらく食塩泉)

諫早駅などから島原鉄道バスの小浜方面行き、あるいは長崎駅前から長崎県営バスの雲仙行特急バスで小浜バスターミナル下車すぐ
長崎県雲仙市小浜町北本町14-7  地図
0957-74-2101
ホームページ

日帰り入浴9:00~21:00
400円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
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雲仙温泉 小地獄温泉館

2011年06月07日 | 長崎県

幾度も温泉巡りをしていると、変に通ぶって、地元に根ざした鄙びた施設こそが素晴らしく温泉の真髄だ、なんていう固定概念に拘泥しちゃって、ひどい場合には観光客向けの施設には見向きもしなくなる傾向すらありますが、鄙びていようが洗練されていようが、地元民向けであろうがあからさまな観光施設であろうが、良いものは良いと客観的に評価できないと、せっかく足を運んで遠くまで来ているのに、目の前にあるおいしい思いをみすみす見逃すことになりかねないわけです。

雲仙温泉の「小地獄温泉館」は国民宿舎「青雲荘」の附帯施設で観光客向けの日帰り温泉入浴施設。当地を紹介するガイドブックには必ず紹介されている観光客向け温泉施設の典型ですので、上述のような半可通丸出しのくだらない先入観に支配されつつある私は、当初訪れるつもりは無かったのですが、まぁ時間があるから寄ってみるべ、と特に期待もせずに入ってみたのでありました。

「八角堂?を二棟ならべた木造の湯屋がいかにも観光客に迎合していやがる」と私は外観を見ただけで早くも鼻息荒く、絶対に見下してやるぞという下衆な怪気炎を上げながら中へ突入。脱衣所は案の定中高年の観光客ばかりで、「やっぱり温泉素人ばかりじゃねぇか」といかにも温泉のすべてを知り尽くしたかのような不遜な態度で室内を見回しながら、いざ浴室へ。

 
そこには石造りの浴槽が大小ふたつ並んでおり、見事なまでにきれいな乳白色濁りのお湯が張られていました。大きい方の浴槽には湯口からお湯が直接注がれており、湯温は42~3℃くらい、一方小さな方はそれより若干ぬるめです。おそらく加水されているかと思いますが、お湯はしっかり掛け流し。浴槽傍の壁には、硫化水素中毒を防ぐ目的なのか、換気用のルーバーが取り付けられています。木造の湯屋と白いお湯とのコントラストが何とも言えないいい雰囲気です。そうです、いいお風呂なんですよ。
あれれ、さっきまで意気軒昂に虚勢を張っていた私はどこへ行ってしまったのかしら…。


ぬる湯槽の隣には打たせ湯もあり、ミルクのような硫黄のお湯を頭からかぶることができます。雲仙温泉郷の中でも小地獄は最大の湧出量(1日約440トン)を誇るだけあり、贅沢な湯使いは立派です。
火山性の硫黄泉ですが質感は結構マイルドで、口に含むと酸味が遅く舌に伝わり、頬をすぼめる収斂もゆっくりやってきます。硫黄臭もほんのりとしており、お湯を掬って周囲深く嗅いでようやくわかる程度のものでした。単純硫黄泉なので成分が少ないということもあるでしょうし、加水によって薄まっていることも当たりが優しい原因でしょう。でも無駄に濃くて刺激が強いお湯よりは、マイルドな方が誰でも支障なく入れるのですから、のんびり入浴するには向いているお湯と言えそうです。

安い鍍金はすぐにはがれるんですね。半可通な温泉ファンの私は、さっきまでの意地っ張りを捨て、お風呂の雰囲気とお湯の質感の良さに率直に白旗を上げざるを得ませんでした。施設としては鄙びているわけでもなければ洗練されているわけでもなく、特に面白い設備もないのですが、浴場としてはちゃんとよくまとまっており、そもそも掛け流しの乳白色硫黄泉に入れるのに文句を言う理由なんていないでしょう。自らの無知蒙昧を恥じるきっかけになった浴場でありました。


単純硫黄温泉(硫化水素型) 90℃ 溶存物質0.228g/kg

長崎県雲仙市小浜町雲仙500-1
0957-73-3273(青雲荘)
ホームページ

9:00~21:00
400円
ロッカー・石鹸・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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雲仙温泉 湯の里共同浴場

2011年06月07日 | 長崎県
 
「湯の里」というわかりやすく微笑ましい名前が冠されたこの浴場は、雲仙温泉に3軒ほどある共同浴場の中では最も古い共同浴場らしく、温泉街からちょっと奥まったわかりにくい場所に立地している地元のためのお風呂。その立地ゆえに私は辿りつくまで迷ってしまいました。切妻の正面は玄関が男女別に分かれていて、いかにも銭湯らしい佇まいです。

建物前には5ナンバーの車が2~3台ほど停められる駐車スペースがあるので、そこへレンタカーを突っ込んでいざ中へ。100円という素敵な料金を券売機で支払い、その券を番台に座っているおばちゃんに手渡します。やはりいかにも銭湯らしい板の間の脱衣所は、外観から受ける印象を覆し意外にも広い空間。


浴室内にはちょっと深めの小判型浴槽が据えられていました。塩ビの湯口からドボドボと源泉が投入されています。弱く白濁したお湯からは、活発な火山活動の息吹を感じさせる硫黄臭と焦げたゴムのような匂い、そして口腔を収斂させる酸っぱいレモン味と塩味が感じられました。
他の温泉ファンの方のレポートを拝見していると、しばしば「ぬるかった」という記述が見られますが、運が良かったのか訪問時は絶妙な湯加減でして、思わず長湯しちゃいました。また典型的な硫酸のお湯ですが、溶けている成分がそんなに濃くないためか他の明礬・緑礬泉によくある刺激は程々に抑えられ、優しい質感が得られました。
シンプルな造りだからこそお湯の質感に真正面から向き合えるお風呂。白濁の硫黄泉に100円で入れるなんて、当地の方が本当に羨ましい限りです。


酸性・含鉄(Ⅱ・Ⅲ)・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉 44.0℃ pH2.3 自噴(量不明) 溶存物質1.470g/kg 成分総計1.616g/kg

長崎県雲仙市小浜町雲仙303  地図
0957-73-2576

9:00~23:00
100円
備品類なし

私の好み:★★★

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小浜温泉 海上露天風呂 波の湯「茜」

2009年12月24日 | 長崎県


前回紹介した「浜の湯」が地元民向きの浴場ならば、今回取り上げる「茜」は完全に観光客向けの施設です。温泉街の中心に近い海岸縁、国道57号と251号が分岐する「雲仙西登山口」交差点を海の方向へ曲がり、すぐに突き当たる防波堤のところに設けられています。

駐車場に建つ「番台」と書かれた小屋で料金を支払い、専用入口から防波堤を下りて浴場へ向かいます。階段下りて左が女湯、右が男湯です。造りは至って質素で、コンクリート打ちっぱなしの脱衣所、そして露天の浴槽があるのみ。長方形の浴槽もコンクリート製ですが縁は木材で、浴室の壁もウッド調の壁材が貼られ、簡素な造りながらぬくもりのある雰囲気を生み出しています。お風呂はまさに波打ち際にあり、時折テトラポットに当たった波飛沫が湯船に飛び込んでくるほど海面と近く、手を伸ばせば海水に届きそうな感じ。訪問時は潮が満ちていたのか、湯面と海水面がほぼ同じ高さに見え、まるで海の中に入って湯浴みをしているかのような気分が味わえました。海とお風呂との仕切りも、無粋な柵ではなくて、眺望の邪魔にならないようなワイヤーを用いているところも好印象です。

お湯は「浜の湯」同様で、無色透明無臭でニガリの味を含んだやさしい塩味です。観光客向けのお風呂なので、湯温は小浜の地元民向け外湯のような熱いお湯ではなく、万人受けする丁度良い湯加減になっていました。なお排水をそのまま海へ流している関係上、環境保護のため石鹸類は使えません。茜という名前が示すように、このお風呂は西の海を臨んでいるため、晴れた日には夕陽が拝めます。橘湾に沈む夕陽はさぞかし綺麗なことでしょう。



 
あちらこちらから湯煙がのぼる小浜の温泉街


ナトリウム-塩化物泉

長崎県雲仙市小浜町マリーナ20 地図
0957-74-5656
紹介ページ(観光協会サイト内)

7:00~19:00 無休(波浪時などは休業)
300円

私の好み:★★
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