温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

四万温泉(山口) 三木屋旅館

2019年11月24日 | 群馬県

前回記事の四万温泉・新湯地区から、四万川をちょっと下った山口地区へと移ってまいりました。
今回、山口地区の日帰り入浴で伺ったのは、大正元年創業の老舗「三木屋旅館」です。歴史あるお宿ですが、現代的な建物からは気品が伝わってきます。



玄関前のつくばいには、ぬるい温泉が落とされていました。建物へ入る前から温泉のお湯に出逢えると、何となく嬉しくなっちゃうのは私だけでしょうか。



午後3時半頃に訪って日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。



帳場で湯銭を支払いますと、お宿の方がフェイスタオルを私に下さると同時に、お風呂まで案内してくださいました。階段で2階へ上がり、絨毯敷きの廊下を歩いてゆくと、すぐ右手に浴場棟へつながる渡り廊下が分岐します。お風呂は内湯と露天があり、お宿の方は露天をすすめてくれたのですが・・・



まずは内湯「不老の湯」に入らせていただくことにしました。階段を上がった先に暖簾が掛かっており、左が女湯、右が男湯です。



綺麗ながらも必要最小限の設備に留めている脱衣室を抜けて内湯へ。
木材と石材の組み合わせにより落ち着いた雰囲気の内湯には、総木造の浴槽が設けられており、大きさは私の目測で1.2m×3.6mほど。この浴槽からは木のぬくもりや優しさとともに、老舗宿らしい重厚感が伝わってきます。
洗い場にはシャワー付きカランが計4基取り付けられ、カランからはボイラーの沸かし湯が出てきます。



お湯は木枠の湯口から静かに注がれており、湯船を満たしたお湯は窓側の縁からしっかり溢れ出ていました。お湯の投入量が絶妙な塩梅に調整されているため、とても快適な湯加減が維持されていました。静かで落ち着ける上品なお風呂です。



内湯に満足した私は、一旦着替えて再び廊下へ戻り、今度は露天風呂へ向かいました。専用の勝手口から宿の裏手に出て外履きに履き替えます。そして目の前の階段を上がると、まず目に入ってくるのがこのあたりの集落のお墓。意外なものの登場に少々面食らいましたが、気持ちを取り直してお墓の前を右に折れて階段を更に上がると、その先に露天の湯小屋がありました。扉を開けて中に入ります。手前が女湯、奥(左)が男湯です。



露天の上屋は木造で、開放的かつゆとりのある造り。
斜面の高台に位置し、山口集落を見下ろすようなロケーションです。露天風呂があるスペースは板敷きになっていて、あたかも能の舞台のようです。屋根にすっかり覆われているものの、圧迫感は無く、むしろ谷に向かって開放的なので、屋根の存在はあまり気になりません。
浴槽の大きさは1.2m×2.4mといったところでしょうか。縁には木材、内部には石板が採用されており、市緑豊かな周囲の環境と、静かで落ち着いたお風呂の雰囲気に大変よく合っています。訪問時はお湯の投入量が絞り気味だったのですが、おそらく源泉温度が熱いため投入量で湯加減を調整していたのかもしれません。とはいえ、私が湯船に入るとしっかり溢れ出ていきました(その代わり湯嵩の回復には時間を要しました)。
なおこの露天風呂にも洗い場にあり、シャワー付きが2つ並んでいます。余談ですが、シャワーのお湯を出すと、裏手からボイラーの動作音が聞こえてきました。



上述のように周囲を見下ろす場所に位置しているため見晴らしがよく、目下を横切るバス通り(旧メインストリート)や集落、四万川、そして対岸の山の緑を一望できます。空が広くて緑がとっても綺麗です。山の木々の上を鳥たちが囀りながら飛び交っており、小鳥の声を音楽にしながら大変のんびりと湯浴みすることができました。なお対岸には国道のバイパスが走っており、その橋からこちらが見えてしまうのですが、基本的にこの辺りは車で通過しちゃいますから、道路からこちらに気づく人は少ないでしょう。

内湯・露天とも温泉は完全掛け流し。夏季には加水されるそうですが、少なくとも私の訪問時は湯量調整により湯加減をコントロールしていており、加水は無かったように思われるので、源泉の持ち味を大切にするべく、余程熱くならない限りは加水をできるだけ避けているのかもしれません。源泉名は内湯の浴室名にもなっている不老の湯源泉。無色澄明で綺麗に澄んでおり、湯面からは木材のような香ばしい香りと石膏の匂い、そして味が感じられます。いずれもそれほど強くありませんが、意識して感じ取ればしっかり確認できるかと思います。入浴して間もなくはスルスベの滑らかな浴感ですが、肩まで入って全身がお湯に包まれると、硫酸塩泉らしい引っかかるような浴感も得られます。トロミがあり肌にしっとりと馴染んでくれるとても良いお湯です。私は露天で時間を忘れて、ぼんやりといつまでも入り続けてしまいました。群馬県民にはお馴染みの上毛かるたの読み札で「よ」は「世のちり洗う 四万温泉」と詠われていますが、このお風呂に浸かっていると、まさに私の心の中に溜まっていた塵や滓がオーバーフローとともに流さ去ってゆくようでした。
今回は日帰りでしたが、次回は宿泊してゆっくり湯浴みしたいものです。


不老の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 51.9℃ pH7.4 蒸発残留物1.45g/kg 成分総計1.43g/kg
Na+:276mg, Ca++:167mg,
Cl-:455mg, SO4--:280mg, HCO3-:79.4mg,
H2SiO3:104mg, HBO2:31.2mg,
(平成13年3月26日)
夏季のみ加水あり(他季節は加水なし)、加温・循環・消毒なし

群馬県吾妻郡中之条町四万甲3894
0279-64-2324
ホームページ

日帰り入浴15:00~
1000円
ドライヤー・ロッカーの備え付けなし

私の好み:★★★
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四万温泉 河原の湯共同浴場

2019年11月19日 | 群馬県

前回に続いて上州・四万温泉を訪ねます。前回の日向見地区から来た道を戻って、四万温泉で最も温泉街らしい街並みが形成されている新湯地区へとやってまいりました。今回取り上げるのは共同浴場「河原の湯」です。前回記事でも触れましたが、拙ブログではなぜか四万温泉を取り上げる機会がほとんど無かったのですが、私自身は何度も訪れており、この河原の湯にも複数回入っております。
河原の湯をご存知ない方にご説明しますと、上画像の中央に写っている大きな温泉ホテルの真下で二つの川が合流していますが、この合流地点に何やら小さな倉庫小屋みたいな構造物があるのをお分かりいただけますでしょうか。



もう少し近づいてみましょう。道路から下った川の際に曲線を描く小さな建物がありますね。これが共同浴場「河原の湯」です。なお浴場の上は小さな公園になっています。



実際に階段を下りて湯屋の入口前に立ち、川に向かって写真を撮ったのが上の画像です。まさに河原に設けられた浴場なんですね。ちょっとでも川が増水すると浸水するのではないかと心配したくなるようなロケーションですが、でも四万温泉バス停(終点)の至近にあり、また四万温泉のシンボル的存在でもある積善館から近いので、当地に複数ある共同浴場の中では、最も訪問観光客の目に触れやすい場所と言えるかもしれません。

では早速中へ入りましょう。
外観から想像できるように建物はとてもコンパクト。男女別に分かれたドアを開けると、その中の脱衣室はかなり狭く2~3人が限界でしょうか。男湯の場合、中に入るとすぐ右に寸志箱が取り付けてあり、左側に棚などが設けられています。寸志制の無人浴場ですから、利用する場合は予め小銭(百円玉を数枚)を用意しておきましょう。



更衣室の奥にあるドアを開け、ステップをちょっと下って浴室へ。
浴室も決して広くないのですが、天井はちょっぴり高く、その高さが温泉地の共同浴場としても矜持を誇示しているようでした。



周囲の石積みに紛れてわかりにくいのですが、浴室の奥には「昭和十三年 寿之湯」と書かれた石碑が立っていました。この浴場の旧称なのかな?



男湯の場合、室内の右手(女湯側)が洗い場で、水道の蛇口が2つ設けられています。シャワー等は無いので、お湯は桶で湯船から直接汲むことになります。なお洗い場の床には緑色凝灰岩が採用されているのですが、湯船のお湯の溢れ出しが流れるところは赤茶色に染まっているため、元の素材の色がわからなくなっていました。



浴槽の大きさは(目測で)2m×1.5m。キャパは2~3人でしょうか。浴室と同様にコンパクトな浴槽ですが、むしろこの小ささがお湯の良さを際立たせています。と申しますのも、隅っこの湯口から注がれるお湯は、浴槽の容量に対してはるかに多く、ドバドバ注がれるお湯により惜しげもなく大量にオーバーフローしているのです。

そんな湯船に私が入ると、お湯は室内に音を轟かせながらザバーっと豪快に溢れ、肩まで体を沈めて目線が湯面に近づくと、その刹那にオーバーフローするお湯が縁の高さをはるかに越え、まるで湯面全体が数センチ盛り上がっいているように見えました。そして、浴槽の縁が完全に視界から消えたのでした。お湯が表面張力の限界を超えて一気に床へざばっと溢れ出す瞬間は、ちょっとした贅沢感、豪快感、そして多幸感を楽しめます。湯水の如くとはまさにこのお風呂の事を言うのでしょう。その一方で慎ましやかな庶民的生活を送っている私は、お湯を贅沢に溢れ出させることに対する罪悪感を覚えてしまい、自分の吝嗇さというか、性根に染みついている自分の貧乏根性が、つくづく嫌になってしまいました。



私のことはさておき、湯口に置かれたコップで飲泉してみますと、金気や石膏の味と匂いが感じられました。どちらかと言えば金気の方が主張が強かったかな。お湯は無色透明で濁っていないのですが、むしろ大量投入ゆえに濁る暇なく溢れ出てゆくと表現すべきでしょう。
湯口のお湯そのままですとちょっと熱めの湯加減なので、好みによって加水することも可能ですが、源泉のお湯をストレートな状態で入りたかった私は、いっさい加水をせずにちょっと熱いままで入浴させていただきました。湯船に入り初めはスルスルスベスベの滑らか浴感が体を包むのですが、間もなく引っかかる感じも得られ、やがて肌全体にお湯がしっとりとなじんでいくます。実に良いお湯です。

川岸の狭い空間にへばりつくように建てられている浴場だからか、換気の状態があまり良いわけではなく、私が訪問した時はちょっとしたミストサウナ状態だったのですが、それもあってか、体の芯まで非常によくあたたまり、お風呂から上がった後もしばらく汗が引きませんでした。改めて良いお湯であると再認識した次第です。
なおこのお風呂は15:00ちょうどに締められ、清掃作業が入りますので、ご利用の際はくれぐれもご注意を。


河原の湯
ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 63.6℃ pH6.5 湧出量測定せず(自然湧出) 溶存物質2.04g/kg 成分総計2.07g/kg
Na+:467mg(68.95mval%), Ca++:150mg(25.48mval%),
Cl-:695mg(67.13mval%), Br-:4.5mg, SO4--:420mg(29.93mval%),
H2SiO3:142mg, HBO2:49.8mg, CO2:30.8mg,
(平成19年9月12日)

群馬県吾妻郡中之条町大字四万
四万温泉協会(中之条町観光協会内)公式サイト

定休日9:00~15:00 無休
寸志(無人)
ロッカー・石鹸類・ドライヤーなし

私の好み:★★★

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四万温泉(日向見) 中生館

2019年11月13日 | 群馬県
拙ブログでは全国の温泉を広くあまねく取り上げているつもりですが、なぜか有名温泉地にもかかわらず手薄になっている場所があります。群馬県の四万温泉はその代表例。特段恨みがあるわけでも敬遠しているわけでもないのですが、なぜか10年前に1軒(御夢想の湯)しか取り上げてきませんでした。そこで今日から連続して四万温泉を取り上げてまいります。2019年の初夏に四万を訪れ、日帰り入浴を楽しんでまいりました。



四万川の渓谷に沿って南北に広がる四万温泉は、日向見、ゆずり葉、新湯、山口、温泉口という5つの地区に分かれており、最も奥に位置する日向見地区は四万温泉発祥の地とされています。まずはこの日向見へ向かい、10年前に拙ブログで取り上げた共同浴場「御夢想の湯」の隣にある温泉旅館「中生館」を訪ねます。



扁額は立派なのですが・・・



正直なところ地味な外観であるため、宿名が書かれた看板に気づかなければ、この建物が旅館であるとわかる方は多くないかもしれません。玄関を開けて日帰り入浴をお願いしますと、対応してくださった女性スタッフの方は、建物の控えめな存在感と同化するかのように慎ましやかな佇まい。一旦中に入って、様子を確認した上で私の入浴を受け入れてくださいました。



その女性の方がお風呂の入口まで案内してくださいました。お風呂へ向かう途中の廊下には、爽やかな色合いのタイルが貼られた共用洗面台が設置されており、昭和のレトロな面影を色濃く残しています。



また、その洗面台の前にはアメニティ類やフェイスタオル、そして飲料水のサービスなどが用意されていましたが、これらは宿泊者用かと思われますので、日帰り入浴の私は持参したタオルを使用しました。


館内にあるお風呂は4つ。いずれも共用洗面台の奥にあるステップをちょっと下った先にあり、手前側が内風呂「槙の湯」、ステップ下の右側に内風呂「薬師の湯」、正面にある脱衣所の向こう側に露天風呂「月見の湯」、そして沢の対岸にある混浴露天風呂「かじかの湯」といったラインナップです。日中は「槙の湯」が女湯、「薬師の湯」が男湯という設定になっていますが、夜7~9時の間は男女暖簾替えとなるので、宿泊すると両方入れます。とはいえ、日帰り入浴利用の私は男湯にしか入れませんので、今回の記事で取り上げるのは「薬師の湯」と「月見の湯」です。



源泉名と同じ名前を冠する浴室「薬師の湯」は、まさに山の湯小屋といった風情。木造の上屋は川に向かって下る片傾斜の屋根で、足元には石が敷かれています。窓の外からは直下を流れる沢の音が聞こえ、山の緑も実に美しい。なお室内にシャワー等の設備はありません。昭和から時が止まっているかのような佇まいですが、それゆえ実に趣き深く、じっくりお湯と対峙するに相応しい静謐の空間です。



浴槽は2つに分かれており、両方とも2人サイズですが、ひとつは浅めで、他方は一般的深さ。その2つの間に湯口があり、双方に対して温泉をトポトポと投入しています。湯口の周りには羊の頭のような白い析出がビッシリと付着しており、温泉成分の多さがビジュアル的に伝わってきます。

綺麗に澄み切った無色透明のお湯は完全掛け流しで、それゆえちょっと熱く感じる湯加減かもしれず、また硫酸塩泉なので、お湯に入った瞬間、脛などにピリっと軽い刺激を覚えるかもしれませんが、でも一旦肩まで浸かって体をお湯に慣らすと、この上なく良い湯加減に感じること間違いありません。とても素晴らしいお湯です。



続いて、露天風呂へ向かいましょう。
露天の脱衣室には温泉を詠んだ俳句がたくさん貼られていました。句を嗜む方は、湯浴みしていると気持ち良くなって、自ずと句が思い浮かぶのでしょうか。俳句の才が皆無な私には全く思い及ばない世界です。



内湯同様、露天風呂の浴槽も石造りですが、内湯と違って2分されておらず、その代わり中央にテーブルみたいな大きな岩が沈められています。おそらくこの岩に腰を掛けたり凭れ掛かったりするのでしょうけど、その大きさが入浴スペースをつぶしているため、実際に肩まで浸かれる部分は狭く、露天に入れる人数はせいぜい2~3人程度でしょうか。
内湯よりも若干ぬるいので、どちらかといえば長湯向き。沢を吹き抜ける風を体に感じながら入るお風呂は格別の気持ち良さがあるでしょうね。


さて、この露天風呂にはサンダルが並べられています。
これを履いて塀を出て、階段を下り・・・



いまにも落ちそうなボロい橋で沢を渡たると、対岸でお湯を湛えているのがお宿ご自慢の露天風呂「かじかの湯」です。この「かじかの湯」は混浴であり、水着やバスタオルの着用が認められています(バスタオルは借りられます)。通年利用できるわけではなく、5月中旬~10月中旬まで入浴可能とのこと。お宿のホームページによれば7~9月の夏季が特におすすめなんだそうですが、沢沿いという環境ですから、ブヨやアブがちょっと心配です・・・。でも私が訪れた日は雨が降っていた上、梅雨寒だったため、あたりを飛び回る虫は皆無で、とっても快適な湯浴みが楽しめました。なお浴槽の脇には簡素な脱衣用の衝立と籠がありますから、ここで着替えることもできますね。



沢岸の岩盤上に石を積んで重ねて作った浴槽2つ並んでいますが、奥(上流側)はぬるいので、実質的に入れるのは手前側だけでした。大きさは2人サイズ。湯口からトポトポとお湯が落とされており、完全掛け流しの綺麗なお湯で、湯加減も絶妙。お湯に浸かるとお世辞抜きで夢心地でした。



沢の岸にひっそりと佇む秘湯然とした素晴らしいロケーション。
目の前を流れる沢は大変綺麗で、イワナの魚影もはっきりと見えました。山の緑も美しく、心まで洗われます。

さて、こちらのお風呂に引かれている源泉は薬師の湯源泉。無色澄明で、ほんのりとした石膏臭や弱芒硝味、そしてしっかりとした石膏味や硬水らしい味(重くて硬く、砂ではないが鉱石を連想させるような味)が感じられます。湯中ではキシキシと引っかかる浴感が得られますが、しっとり且つとろとろとしており、実に上質なフォーリングを有するお湯です。そして適温にもかかわらず硫酸塩のパワーが如何なく発揮されることにより非常によく温まります。完全放流式の極上湯です。

設備がとても古く渋い佇まいであるため、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、少なくとも私は大変気に入りました。今度は泊って時間を気にせずゆっくり湯浴みしたいものです。


薬師の湯
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 48.2℃ pH8.9 9.6L/min(自然湧出) 溶存物質1.13g/kg 成分総計1.13g/kg
Na+:113mg(29.95mval%), Ca++:229mg(69.31mval%),
Cl-:47.1mg(8.64mval%), SO4--:662mg(89.95mval%), CO3--:10.2mg
H2SiO3:67.4mg,
(平成13年3月28日)
加温加水循環消毒なし

群馬県吾妻郡中之条町大字四万乙4374
0279-64-2336
ホームページ

日帰り入浴10:00~14:00
500円
シャンプー類あり・ロッカー及びドライヤー見当たらず

私の好み:★★★
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水上(うのせ)温泉 ゆの宿 上越館

2019年04月20日 | 群馬県

旅館で日帰り入浴を楽しんだ後、「また来たいな」と思ったら当たり。「宿泊したいな」だったらなお良し。そして、大切な人を思い浮かべて「あの人に教えてあげたいな」だったら大当たり。私は勝手にそんな基準を設けながら、各地のお風呂を巡っています。今回取り上げる水上(うのせ)温泉の「ゆの宿 上越館」は私にとって「大当たり」でした。国道から路地に逸れた先にある、一見すると民家と見まがうような建物が、今回訪問したそのお宿です。


 
暖簾を潜り、玄関で日帰り入浴をお願いしますと、大変丁寧に対応してくださいました。とはいえ、私は予約無し&アポ無しで伺ってしまったため、まずは館内に上がってラウンジで待機し、お宿の方にお風呂の様子を確認していただきます。

お風呂は内湯と露天の2種類あり、日帰り入浴の場合は受付時(あるいは予約時)にどちらかを選択します。訪問時は偶然にも両方空いていましたが、雪見風呂を愉しみたかったので露天を利用させていただくことにしました。



露天風呂はお宿の本館からちょっと離れたところにあります。歩いて1分ちょっとでしょうか。お宿が運営するビストロ兼甘味処の「梅の蜜」が目印。その角を右に曲がって川へ向かうと・・・



路地の突き当たりに露天風呂の脱衣小屋がポツンと建っていました。扉は施錠されていますので、本館で手渡された鍵で開けます。


 
当然ながら小屋の中には誰もいませんが、暖房が効いてポカポカしていました。予めスタッフの方が準備してくださったのでしょうね。小洒落た室内には脱衣籠や傘のほか、シャワーキャップや化粧水・タオル等のアメニティが用意されていました。用意されている数から推測するに、基本的にこの露天は2人利用を前提にしているようです。



脱衣小屋の引き戸を開けた瞬間、思わず「うわーっ」と歓喜の声を上げてしまいました。目の前を流れる利根川とその対岸に広がる白銀の山稜によって、開放的且つ美麗な景色が展開されていたのです。お風呂には小屋の庇が伸びているので、ちょっとした小雨や雪ななら凌げそう。また左右には目隠しの簾が掛かっていますが、川側は完全にオープン。お風呂に浸かりながら関東平野の母のような存在である利根川のせせらぎを独り占めできちゃうんですね。



四角い浴槽はおおよそ1.8m~2m弱といった大きさ。2人入るとちょうど良いサイズですね。浴槽の縁には木材が、浴槽内は力責凝灰岩の石材が用いられており、見た目にやさしい色使いと、実際に触れて心地良い感触をもたらしています。また浴槽の周囲には碁石のような石が敷き詰められており、和の雰囲気が利根川の景観と実によく調和しています。
なお露天風呂に洗い場はありません。しっかり体を洗いたい方は内湯へどうぞ。



石積みから突き出ている筧より注がれるお湯は単純泉。無色透明で無味無臭ですが、湯船に入るととても優しく体を包んでくれ、湯船の中でお湯を掻いてみるとうっとりするほど柔らかいのです。キリリとした硫酸塩泉が多い北毛エリアで、このようなアッサリ系の単純泉は珍しいかと思いますが、単純という言葉を使いたくないほどジェントリーな浴感であり、また湯加減も絶妙。まさに微睡の湯です。
湯使いは完全掛け流しであり、夏季などは熱交換によって温度調整しているそうです。なお、訪問時の筧には竹筒が被さっており、その筒によって浴槽内でお湯が出るようになっていました。また湯船には保温マットが浮かべられていました。これらは冬季の露天風呂が冷めないようにするための措置かと思われます。



川の対岸には上越線の線路が敷かれています。私が入浴していると、偶然にも長岡方面に向かって上越線の普通列車(E129系)が走り去って行きました。



それにしても良い風呂だぁ。雪見風呂の雰囲気が素晴らしい。
でも私が下手に言葉を書き連ねると、却ってその魅力が伝わらないかもしれません。素晴らしいロケーションが生み出す景色のみならずお湯も最高。その上お風呂も綺麗。

貸切の露天風呂に入っただけでお宿の良し悪しを語るわけにはいきませんが、でもスタッフの方の接客や露天風呂の様子だけでも十分にお宿の良さが伝わってきました。一度宿泊してみたいなぁ。


湯檜曽温泉(薬師の湯)
単純温泉 53.3℃ pH8.2 湧出量測定せず(動力揚湯) 溶存物質0.42g/kg 成分総計0.43g/kg 
Na+:74.3mg(58.85mval%), Ca++:42.8mg(38.89mval%),
Cl-:106mg(54.41mval%), SO4--:96.5mg(36.63mval%),
H2SiO3:67.7mg,
(平成26年10月14日)
加温加水循環消毒なし
(5~10月頃は熱交換により温度を下げています)

群馬県利根郡みなかみ町大穴794
0278-72-2216
ホームページ

日帰り入浴 時間不明(利用の可否も含め、お宿へお問い合わせください)
内湯1300円、露天1500円(いずれも貸切)
ドライヤーあり

私の好み:★★★

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湯宿温泉 太陽館

2019年04月16日 | 群馬県

前回記事の猿ヶ京から三国街道をちょっと下って、私が好きな湯宿温泉へとやってまいりました。個人的な話で恐縮ですが、いままで温泉街にある外湯は全て入ったことがあり、大抵のお宿にもお邪魔しているにもかかわらず、なぜか国道から最も目立つ場所にある「太陽館」だけは一度も訪れたことがありませんでした。わかりやすい場所にあるため「いつでも行けるから後回しでも大丈夫」なんて思っていたのかもしれません。好物の食べ物を目にしたら、真っ先に食らいつく人と、楽しみを後にとっておく人の2パターンに分かれますが、後者に属する私はいろんなものを後回しにするため、横取りされたり、そのものが無くなっちゃったりして、ちっとも楽しみを享受することができない情けない性格です。そんな自分の毎日に反省を促す意味でも、猿ヶ京を訪れた日にこちらにも立ち寄って、後回しの連鎖を断ち切ることにしたのです。

日帰り入浴を歓迎する電光掲示が立っている駐車場に車を停めて、日帰り入浴をお願いしたいと伺ってみたところ、お宿の方は快く受け入れてくださいました。



お風呂は階段を上がった2階の奥です。建造から相当の年月が経っている建物自体は、正直なところちょっとお疲れ気味のようですが、館内は明るくリニューアルされており、お風呂までの廊下を歩くだけでも経年を払拭しようとするお宿の努力が伝わってきます。内湯は24時間入浴可能ですが男女入れ替え制。宿泊すれば両方のお風呂に入ることができるでしょう。


 
お風呂入り口の前には「長寿の水」なるものがあり、山の清水がチョロチョロ落とされています。湯上がりに飲んで水分補給に役立てると良いですね。



大浴場は内湯のみ。暖色系のタイルでまとめられており、山に向かって大きな窓が設けられています。その窓の下に据えられている大きな浴槽は、縁が木で内部のステップは石板タイル、そして底は水色のタイル貼りです。目測で奥行2メートル弱ほど、幅は2.5メートルほどでしょうか。深めの造りなので、肩までしっかり湯に浸かれ、入り応えも十分です。


 
手前側の左右には洗い場が設けられ、シャワー付き混合水栓が計6基並んでいます。なおカランから出てくるお湯は真湯です。浴槽に近いシャワーでシャンプーしていたら、グラインダーで削ったような縁の切り欠けから、浴槽のオーバーフローがグレーチングに向かってしっかり流れていました。



浴槽には柱が出っ張っており、そこに取り付けられている木枠の湯口から温泉が投入されていました。画像にも写っているように、湯口まわりには白い析出がびっしりこびりついています。こちらのお宿に引かれているお湯は湯宿の主要源泉である窪湯源泉です。無色透明なお湯からは、芒硝や石膏の味が感じられるほか、木材をちょっとあぶったような香ばしい匂いも得られます。また塩味もちょっぴり含まれていました。湯中ではしっかり引っかかる浴感が得られます。
なお湯使いは放流式ですが、温度調整のため加水を実施しているとのこと。とはいえ私が入ったときにはちょっと熱めの湯加減でした。加水量をなるべく抑えようとしているのかもしれませんね。


 
ちなみに、大浴場がある2階から更に階段を上がって3階に向かうと、貸切露天風呂が2つ並んでいます。布袋、そして観音の名を冠する2つの露天は、いずれも三国街道や川に向かって視界が開けており、シャワーが2基設置されていて、大浴場と同じ窪湯源泉の熱いお湯が、桧風呂にチョロチョロと注がれていました(私が訪ねた冬の某日は、湯船に保温マットが被せられていました)。明るく綺麗で女性受けしそうなお風呂です。なお、この両露天風呂はシンメトリな構造をしており、お風呂の先に設えられているお庭の仏様以外に特にこれといった違いはありませんから、わざわざ両方入ることはないのかもしれません。どちらか片方をゆっくり利用すれば十分に寛げるでしょう。

石畳の細い路地に昔日の宿場風情が残る湯宿温泉は、温泉県である群馬県の中でもあまり目立たない存在ですが、かえってそれが燻し銀の良さを生み出し、本物の旅好きに受け入れられる雰囲気を醸成しています。今回もそんな長所を実感しました。特にこちらのお宿は当地でも日帰り入浴の受け入れ時間帯が長いので、当地を往来する旅人にとって重宝すると言えるでしょう。かけ流しのお風呂に入って心身を癒された私ですが、お風呂が良いことはもちろん、いままで後回しにしてきたお宿にお邪魔できたことで、余計に安堵感が得られたのでした。


窪湯
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉 59.1℃ pH8.0 蒸発残留物1.372g/kg 成分総計1.31g/kg
Na+:227mg, Ca++:156mg,
Cl-:120mg, SO4--:693mg,
H2SiO3:60.6mg, CO2:14.1mg,
(平成5年8月6日)
加水あり(源泉温度が高いため)
加温・循環・消毒なし

群馬県利根郡みなかみ町湯宿温泉2384
0278-64-0211
ホームページ

日帰り入浴11:00~21:00
600円(公式サイトに割引クーポンあり)
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5




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