温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

マレーシア ヌグリ・スンビラン州 ウェットワールド アイルパナス ペダス リゾート

2014年07月19日 | マレーシア
 

マレーシアで温泉を巡るに際し、事前にネットでできるだけ多くの情報を仕入れようと画策したのですが、日本語による情報が少ない上、英語表記の情報も頼りないものが多く、マレー語ならばそれなりに情報があるようなのですが、残念ながら私は全く理解できないので役に立たず、辛うじて入手できた僅かながらのネタを頼りに現地で行動しながら藁にもすがる思いで訪れたのが、スレンバン郊外の国道1号線沿いにある「ウェットワールド アイルパナス ペダス リゾート(Wet World Air Panas Pedas Resort)」です。"Air Panas"はマレー語で温泉を意味するらしく、その言葉が施設名に含まれているというだけでここを目指したのですが、エントランスゲートの雰囲気といい、その周りにるメリーゴーランドや木馬などの類といい、明らかにファミリー向けのレジャー施設であり、私のようにオッサン一人が温泉を目当てにするような場所ではありません。


 
平日のオープン時間直後(13:30頃)に伺ったのですが、施設内にはお客さんの姿が全く見えず、スタッフもまだ清掃の真っ最中でして、上述の外観のこともあって、俺みたいなオッサン一人客が入って大丈夫なのか、ますます不安に陥りましたが、受付に座っていたマレー系のお姉ちゃんがとびっきりの笑顔で対応してくれたのでちょっと救われ、とにかく入場してみることにしました。こちらでは入場の際、料金と引き換えに手首に紙のバンドが巻かれ、これが入場券代わりになります。

プールがメインのレジャー施設ですから、ゲートの右には水着や浮き輪など水遊び用具を販売する売店があり、ゲート正面には子供向けの遊具がいくつか並んでいました。また奥の方からは孔雀の啼き声も聞こえてきましたので、どうやらミニ動物園のようなものもあるようです。


 
遊具類の先はこの施設のメインであるプールゾーンとなっているのですが、その手前には「ドレスコード」の看板が立っており、一般的にドレスコードという語句が意味するフォーマルなスタイルとは真逆な、Tシャツや水着などが描かれている点はちょっとユニーク。


 
南国らしい木々の緑の中を流れるプールが設けられているのですが、画像を見てもわかるようにプールの水が泥の色に濁っており、日本の透明なプールに慣れている私としては衛生面が気になってしまいました。当地のプールってこんなもんなのでしょうか。


 
流れるプールの上を橋で越えると人工的ビーチが広がっています。休日は子どもたちの歓声が飛び交うのでしょうけど、この時は人っ子一人おらず、清掃中のスタッフが動かす高圧洗浄機の動作音ばかりが辺りに響いていました。ご覧のように周囲の緑は綺麗ですし、施設もちゃんと整備されているのですが、流れるプール同様にここの水もぼんやり濁っています。やっぱりこちらのプールの水って、澄み切ってはいないのかな…。あるいは客がいないから水を張り替えていないのかな。オッサン一人でプール遊びに興じるのは虚しいので、プールゾーンは見学だけに留め、本来の目的である温泉へと向かいました。


 
上述にてゲートの右手に売店があると述べましたが、その売店の更に右の方へ進むと、お目当ての温泉ゾーンとなります。看板には英語で"SPA POOL"そしてマレー語で"KOLAM AIR PANAS"と表記されていますが、"KOLAM AIR PANAS"は「温水プール」という意味なんだとか。


 
「利用前にはシャワーを浴びて」「10分以上はお湯に浸からないで」「妊婦や高血圧の人は利用不適」といった注意書きが列挙された掲示の右側には水のシャワーがあるのですが、たった一つしか無いんですよね。私はすぐ傍のトイレで水着に着替えた後、この水シャワーを浴びて汗を流しましたが、この他にもシャワーがあるのかな?


 
温泉というより正にプールと表現すべきブルーの槽は2つに分割されており、一方は熱く、他方はやや熱めとなっていました。この日は両方共に熱めだったんですが、いつも熱いのかな…。プールの傍らには分析表が掲示されており、これによればナトリウム(Sodium)48.3, カルシウム21.2, ケイ素(Silicon)63.0, カリウム(Potassium)3.5、とのこと。単位などは書かれていませんが、おそらく1リットル当たりのデータ(多分mg)なのでしょう。陽イオンばかりで陰イオンが記載されておらず、表示されているデータ以上のことはわかりませんが、リストアップされているイオンを全部合計しても136.52でありますから、陰イオンの量もたかが知れており、成分総計もかなり薄そうです。ということは、日本の温泉法で言うところの単純温泉に分類されるものと思われます。


 
2分されているプールのうち、ゲート側から見て奥側の槽がかなり熱く、温度計で測ったところ45.6℃でした。いや、プールサイドから測ったらこの温度であったと表現すべきでして、投入口がある奥の底面からは更に高温のお湯が吐出されており、熱すぎて近づける状況ではありませんでした。だいいち、当地は赤道から200km程度しか離れていない熱帯のど真ん中であり、頭上では灼熱の太陽がギラギラ照りつけているにもかかわらず、温泉プールには日光を遮るものが何一つないため、とても高温の温泉に入る気にもなれませんし、入ったところで体は忽ち参ってしまうでしょう。


 
一方、上述の熱い奥側槽からのお湯を受けているゲート側の槽は43.6℃でして、奥側の槽よりは入りやすい温度になっていましたので、今回私はこちらだけ入浴することにしました。プールはちょっと深い造りとなっており、槽内のステップに腰掛けるとちょうど良い感じで湯浴みできました。とはいえ、入りやすいといっても空から灼熱光線が容赦なく刺さってくる猛暑の中で、43~4℃のお湯に入るのはとてもツラくて修行のようでもあり、数分で体が苦しくなって軽く吐き気を催してしまいました。プールサイドの注意書きには「10分以上はお湯に浸からないで」と書かれていましたが、とてもじゃないけど10分なんて無理無理。

お湯は無色透明無味無臭、pH7.8ですからほぼ中性、癖のないアッサリとしたお湯ですが、浴感にもこれといった特徴に乏しく、掴みどころの無いタイプのお湯でした。お湯は熱い奥側槽の底面より供給されて、手前側の槽へと流れ、そして槽内で吸引排湯されていますが(一部はプールサイドから漏水)、どのような湯使いになっているかはわかりません。尤も、客がいないのに、こんな熱いお湯をわざわざボイラーで沸かして供給することもないでしょうから、源泉のお湯を掛け流しているか、それに近い湯使いなのかもしれず、実際にお湯からは循環湯にありがちな鈍りや湯疲れは伝わって来ず、特徴が無いながらもシャキッとしていたように感じられました。

温泉を目当てに訪れると期待はずれになりそうですが、子供はプール、大人は温泉と使い分けができるので、世代を問わずに楽しめる施設なのかもしれません。




Lot 603, Mukim Pedas, 71400 Pedas Negeri Sembilan
ホームページ

平日13:00~19:00、週末10:00~19:00、火曜定休(学校休校日や祝日は除く)
通常料金10RM(大人)、学校休校日および祝日12RM(大人)
ロッカーあり

私の好み:★+0.5
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マレーシア マラッカ州 ガデク温泉 Gadek Hot Spring 

2014年07月18日 | マレーシア

拙ブログでは本年5月にタイ北部の温泉を取り上げましたが、タイの温泉分布を北部から南部へ見てゆくと、やがてマレー半島へつながって国境を越え、半島の中央に聳える脊梁の西側を中心にしてほぼ直線状に分布が収束してゆくのがわかります。ということは、マレーシア(マレー半島)でも温泉巡りが楽しめるわけです。しかしながら、なぜかタイと違って情報が少なく、ネット上で検索できたとしても私が全くわからないマレー語表記であるために、事前の調査では難儀したのですが、それでも何とか数ヶ所の情報を入手することができたので、今春(2014年春)の某日に空路でマレーシアの首都クアラルンプール(以下KL)に降り立ち、空港でレンタカーを借りて、KLから日帰り圏内にある温泉を1泊2日で巡ってまいりました。

まずはじめは、KLIA(クアラルンプール国際空港)から高速道路"E2"を南下して1時間15分ほど(約110km)、マラッカ北部の田舎町アローガジャ(Alor Gajah)にある温泉入浴施設「ガデク温泉」です。施設のゲートには"AIR PANAS GADEK"と記されていますが、AIR PANAS(アイル・パナス)とはマレー語で熱い水を意味し、転じて温泉の意味も含まれるんだそうでして、"AIR PANAS GADEK"とは即ちガデク温泉と直訳することができます。なおこちらは入浴専門の公園でして、宿泊はできません。


 
幹線道路沿いに位置していて沿道には看板が立っており、鳥居のような大きなゲートがそびえ立っているので、それらを目印にドライブしていたら迷うこと無く辿り着けました。敷地内には広い無料駐車場も完備されています。なお受付は高いゲートの左側にあるので、このゲートは潜りません。


 
(上画像の右(下)側はクリックで拡大)
駐車場にはこの温泉についての説明文が彫られた石碑が立っています。マレーシアではどの施設でも大抵は3ヶ国語表記(マレー語・英語・中国語)となっていますが、この石碑ではその3言語の他、なぜか
日本語表記もあるんです。とはいえ、海外で目にする日本語によくある話ですが、「てにをは」を中心にして文法がメチャクチャで、頭をちょっと回転させないと読解できません。私なりに碑文を読んでみますと・・・
この天然温泉はマラッカ州アローガジャ・ガデクのガヌン村にあり、以前から当地には温泉の水脈や湧出池が存在しており、その湧出温度は56℃で湧出量は毎秒5.4リットル、温泉中には硫化水素も存在している。この界隈は1980年代にレクリエーションを目的として観光開発され、硫黄を含んだ温泉は多くの効能を有する。
とのこと。毎秒5.4Lということは、日本の温泉分析表で用いられる毎分で換算すると324L/minということになりますね。ここでは結構な量の温泉が自噴しているようです。


 
こちらがレセプションです。私が声をかけると、右手に持った携帯をポチポチして友達とショートメッセージをやりとりしていると思しきマレー人のおねえちゃんが、やる気無さそうに対応し、紙幣を差し出したら「お釣りがない」と無愛想に返答したので、仕方なくジュースなどを一緒に買ってお釣りの必要が無いよう金額を合わせました。私は3度ほどマレーシアを訪れており、こうした接客が一般的なマレー流であることを承知していたので別段腹をたてることはありませんでしたが、初めての方ですとイライラするかもしれませんね。マレーシアに限らず、アジアでもヨーロッパでも、お釣りの用意を最低限にとどめる(もしくはほとんど用意していない)お店に多く出くわしますので、出かける際には予め紙幣を小銭に崩しておくことをおすすめします。


 
受付の前には水やお菓子などが売られており、これらを買って私は帳尻合わせしました。ここには自販機も冷蔵庫もありませんが、冷たいジュースが飲みたい場合は、床に置いてあるクーラーボックスから自分で希望のドリンクを取り出しましょう。内部には子供向けのUFOキャッチャーもあります。



受付の並びにはマッサージチェアが数台置かれた棟があるのですが、マッサージチェア以外には何もなく、ガランとしています。マレーシアって、高速道路のSAでもオープンエアー状態のマッサージチェアが置かれていますが、そんなにこの国のみなさんはこの手のものが好きなんでしょうか。


 
有料ゾーンのゲートを入ってすぐ左手前方には源泉の池があって、その周囲はフェンスで囲まれているのですが・・・


 
それもそのはず、池の温度は50.6℃もあるのですから、何も知らずにここへ入ったらエラいことになりますね。なお水素イオン濃度はpH8.4でしたので、弱アルカリ性といったところでしょう。池の底のあちこちからプクプクと泡を上げながら温泉が湧出しており、池のお湯はとてもクリアな状態でした。


 
源泉の池の向こう側には男女別のトイレ兼個室風呂の棟があり、ご当地らしくマレー語・漢字・英語の3ヶ国語で性別が表記されていました。


 
内部は中央の廊下を挟んで、手前側に個室風呂の部屋が並び、奥の方にはマレー式のトイレが設けられています。私が訪れた時の個室風呂はいずれも空っぽで、試しにコックを開けてみても、お湯は全く出てきませんでした。でも槽内は部分的に濡れていたので、受付に頼めば元栓を開けてくれるのかもしれません。なおこの温泉施設では水着着用が必須ですから、私はトイレ内で水着に着替えました。


 
この温泉公園はファミリーの利用を想定しているらしく、先程のUFOキャッチャーの他、このような
温泉プールが2つ、そして滑り台やシーソーなどの子供用遊具などが備わっています。でも・・・


 
2つあるプールはいずれも水が淀んでおり、熱帯の強い日差しを受けてプール内では藻が育ち、藻類によって水が緑色に変色していました。こんな汚いプールで子供を泳がしたくありませんよね。


 
敷地内には八角形の浴槽が一つ、そしてそれを軸とするように棺桶のような一人用浴槽が3つ扇状に設けられてる他・・・


 
八角形の浴槽とはちょっと離れた場所にも棺桶形の一人用浴槽が4つ平行に並んでいます。いずれもタイル貼りで、頭上には日除け用の黒いネットが張られています。なにしろ赤道から約250kmしか離れていない場所ですから、この日除けネットが無いと容赦なく強い陽射しに晒されるので、とてもじゃありませんが温泉に浸かる気は起きません。


 
各槽ともお湯は槽内の底部より供給されています。画像を見てもわかるように浴槽は全体的に斜めに造られており、一応槽内にオーバーフロー管があるのですが、それでは排水が間に合わず、槽の低い方へ向かって結構な量のお湯が間断なく溢れ出ていました。完全放流式の湯使いでしょう。
湧出地の池では無色透明の澄んだお湯でしたが、この浴槽に供給される段階ではぼんやり霞んでいます。温泉が源泉からストックされているうちに濁ってしまうのか、はたまた源泉池に浮遊する不純物が紛れ込んでしまうのか、その辺りはよくわかりません。なお駐車場の碑文には温泉に硫化水素が存在するという旨が記されていましたが、この浴槽に於いては無味無臭で、これといった特徴は感じ取れませんでした。


 
能書きはともかく、私も棺桶形の一人用浴槽に入ってみました。ココナツの樹の下で湯浴みするだなんて、いかにも熱帯らしく、日本じゃなかなか体験できませんよね。しかも周囲には何もなく、とても静かで長閑なロケーションですから、自然豊かな環境の中でのんびりとした時間を過ごすことができました。私の入った槽は42.2℃でしたが、各槽とも大体同じような湯加減でした。湯船は一人で入るとジャストフィットする大きさで、深さ・幅・長さともゆとりがあって良い感じです。弱アルカリ性であるためか、入浴中はアルカリ性単純温泉にありがちなツルスベ浴感が、弱いながらも得られました。

ここを利用するお客さんは、私のように水着に着替えて入浴する人、着衣のまま手桶でお湯を汲んで沐浴する人(湯船には浸からない)など様々ですが、殆どの方は手桶を持参していらっしゃいました。暑い当地では全身浴よりもお湯を浴びて沐浴するのが一般的なのでしょう。私もはじめのうちは肩までしっかり湯船に浸かっていたのですが、やがて常夏の暑さの中で湯浴みすることに体が参ってしまい、長湯することができずに湯船から出ざるを得ませんでした。でも露天風呂の傍にある東屋の下で大の字になって寝っ転がると、周囲の畑を吹き抜けてくるそよ風が火照った体をクールダウンしてくれ、実に爽快なのです。その気持ち良さが気に入り、東屋下でのクールダウンと湯船での入浴というサイクルを何度も繰り返してしまいました。
なお窓口には"DIBUKA 24 JAM"と記されていたのですが、これを訳すると「24時間オープン」となりますから、つまり24時間営業なんですね。夜中に入浴する人なんているのかな?




Jalan Gadek Air Panas, 78000 Alor Gajah, Melaka,
06-5549-584
ホームページ

24時間営業
大人5リンギット

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする