年末の記事は鹿児島県霧島市の温泉が続いていましたが、新年はちょっと趣向を変えて、愛知県の有名な温泉を取り上げてみます。その名も「みそぎ湯」。本年の一発目はこの温泉にスポットライトを当てることにより、新年を迎える禊とさせていただきます(なんてね…)。
数年前に郡司氏が「怪湯」として紹介して以来、温泉ファンの間で俄然注目を浴びるようになったこの「みそぎの湯」は、シュール・不思議・奇怪・B級などと言った切り口により、いわば変わり種の温泉として各人のサイトで取り上げられており、「みそぎ湯」あるいは「永和温泉」でググるだけでも、かなりの数がヒットします。
かく言う私もこの温泉の魅力に取り憑かれてしまった人間の一人でして、いままで4回も訪問しているのですが、うち3回はお風呂の様子を撮影するとデジカメがその日のうちに紛失するという奇奇怪怪な現象に遭遇しており、このため当ブログでは取り上げることができませんでした。好奇の目で捉えようとする信心不足の私をこの温泉で祀られている神様仏様が懲らしめたのでしょうか。そんな苦難を繰り返し、先日ようやく数枚撮影してデジカメも紛失することなく帰ってこられたので、結果として他ファンの後追いになってしまいますが、私なりにサクサクっと紹介してみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/b2/fe07f2114161fb3d05afddc722588eeb.jpg)
最寄駅は関西本線の永和駅。名古屋~三重間の鉄道輸送は並行して走る近鉄が圧倒的なシェアを握っており、JRも近年少しずつ頑張って挽回しているものの、依然として近鉄の後塵を拝しています。この永和駅もローカル線そのものの長閑な雰囲気で、駅の周りにはびっくりするほど何もありません。名古屋からわずか数駅で街並みが都市から広大な田園地帯へと変わるんですから、名古屋が「大いなる田舎」と称されるのもわかる気がします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/50/18e7875b48480704c15f70c16ebefe64.jpg)
周囲は濃尾平野のゼロメートル地帯で、駅前の児童公園に立っている標識によれば、いま立っている場所は海面下なんですね。小学生のころに学んだ「輪中」を思い出します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/9f/f92aa646bfd5f48beeb6cdb8577d23f6.jpg)
駅前に建つ古びた仕舞屋は元々煙草屋さんだったらしく、タイルのカウンター跡には右書きで「コバタ」と記されていました。こんなレトロな面影もローカル線風情を余計に強くさせています。
永和駅から弥富寄りの踏切を渡って道なりに進み、途中で東名阪を潜る箇所にある十字路で歩道橋を使って一本すぐ右側の路地(現道の旧道)に入り、そこをひたすら真っ直ぐ歩けば、迷うことなく到着できるでしょう。駅から徒歩20分程度で、目指す吉野屋さんに到着です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/c4/0c523cf139333390edbbd48b6e8a6fbf.jpg)
吉野屋さんは衣類品、特に制服関係を主に扱っている商品のようですが、失礼ながら店内はちょっと雑然としており、一見すると何屋さんだかいまひとつわからないかもしれません。でも決して牛丼屋ではありません。
店の奥へ声をかけると、ラーメン好き好き小池さんを20~30歳ほど老けさせたようなビン底メガネのご主人が出てきて、案内して下さいます。語尾が「~だで」といったような尾張弁が強くて、方言に慣れていない関東人の私は聞き取りに難渋しますが、お喋り好きでお人よしのご主人はいろんなことを話して下さいます。初回訪問時に神奈川県から来ましたと申し上げると、あなたのように全国から温泉ファンがやってくるんだ、と仰って郡司氏の他、熊○氏やべ○こ女史など同業の諸先輩方の名前を次々に列挙していました。御主人も私のような訪問者の扱いに慣れているようで、説明する口調は立て板に水でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6e/bb/2e3122b9b78d08761c8439e33e9bd924.jpg)
ご主人はまず隣の不動堂の前に立ち、ご本尊である不動様についての説明です。御主人は修験道の一流派を謳っている「成田山 霊観不動教会」を主宰しており、お店の屋号である「吉野屋」は吉野山に由来しているんだそうでして、開祖であるご主人のお父様が奈良県の大峰山へ修業したことが、その吉野という名称につながっているわけですね。
不動は3体祀られているのですが、ここで思わず目を惹かれてしまうのが、右側に建っている白装束をまとったマネキン人形であります。この温泉を取り上げるサイトは皆さんこのマネキンに注目し、温泉入浴と並んでこのマネキンを見たいがためにここを訪れる方も多いのではないかと思います。
この画像を撮影した日は運悪くマネキンさんが奥の部屋へと隠れていたため、残念ながらその姿をお見せできないのですが、名鉄百貨店のナナちゃん人形を髣髴とさせる長身痩躯のスラッとしたマネキンに、白装束を着せて信仰の対象とさせている様は、「探偵ナイトスクープ」や「ナニコレ珍百景」で取り上げるべき摩訶不思議な光景で、レポートしに来た桂小枝が絶叫する様が容易に想像できちゃいます。でも、某日訪問した際、御主人がとても熱心に像の前で祈っている姿を拝見してしまい、その姿を見て以来どんなものであっても信仰の対象を好奇の目で見ちゃいけないと自戒しました。
一通り説明を拝聴した後は、お堂に置かれた賽銭入れへ200円を納め、湯屋へと向かいます。なお訪問2回目以降は「お風呂入らせてください」と声かけてお金を納めるだけでOKでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/de/e45618c670f215cd77b2ad8477ac21c8.jpg)
お堂の周りに立っている幟には温泉マーク。
これにより、ここに温泉があることが確認できますね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/c0/15fb433f5d4c074965d7b10ab9dba9ab.jpg)
湯屋は不動堂の裏手にあるので、脇の狭い通路から入って奥へと進んでいきます。小さい犬が放し飼いされており、外来者は必ず吠えられる洗礼を受けるんだそうです。廊下に小便器がむき出しで設置されていることにびっくり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/2a/ade5d7df2b5db7db778bb091c821cd44.jpg)
建物はアクリル波板を多用した掘っ立て小屋。プロが仕事をした気配が無いので、おそらくDIYで建てられたんでしょうね。2つあるドアのうち男湯は左側。
脱衣室も棚しかない必要最低限の設備です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/ea/338a3b9d9889e2e71d30fc8e27bb1eac.jpg)
白装束のマネキンとならんで気を惹く文体の張り紙が多いのもここの特徴。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/08/5c9d7837c1f5e97510cd039d8f4295ca.jpg)
ブレーカーの注意書きには「神様」と書かれています。神様? たしかにご主人も奥さんもこちらの不動様を総称して「神様」と仰っていました。こちらは仏教系かと思っていたのですが、たしかにお堂には神社の円鏡が祀られていますし、そもそも修験道は典型的な神仏混淆ですから、「神様」で良いんでしょうね。下手に能書きを垂れていると、自らの無知蒙昧が露呈して藪蛇になってしまいそうなので、文化論はこの辺りでやめておきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/11/dac5f9fbc23510707678b82d5c2200eb.jpg)
こちらは「神様」一覧。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/95/d83fd201f3a7959698d9e51ce6249138.jpg)
浴槽は3つ。男湯の場合は右側から段々に低くなっており、この段の高さの順に上段が最も熱いのですが、それでも42℃くらい。段々に流れ落ちてきたお湯は最下段からザブザブとオーバーフローしています。洗い場は狭くて一人使うのがやっと。浴槽に人が入ると洗い場は大洪水状態となり、桶がプカプカ浮かんで流れてしまいます。カランなんてものはありませんから、桶で直接湯船からお湯を汲むことになります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/62/cb3c0b9f16b444b7028e08e1df3f76e5.jpg)
各浴槽とも1~2人サイズ。いや、上段と下段は1人しか入れないかな。しかも下段は浅くて、どちらかといえば入浴用ではなく掛け湯用の槽なんでしょうね。モルタル造の質素なもので、場所柄、金魚の養魚場を連想させてくれます(界隈は日本随一の金魚生産地)。湯口は上段と中段にあり、上段では浴槽の縁の真ん中から直接噴き出し、中段ではホースから注ぎこまれていますが、別のホースで加水されているので、その分上段より温度が下がっているわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/6e/2b0eca3aa98f8ef228b85f340c4c7c0f.jpg)
上段の湯口には「湯をさわった人は入浴禁止」という脅し文句が書かれた札が貼られていました。この他にも浴室内にはいろんな手書きの忠告文が張られているのですが、ほのぼのとした手書きである上に忠告主が「神様」なので、張り紙を目にするたびについニヤニヤしてしまいました。手作り感あふれる湯小屋ですから、おとなしく使わないとすぐにアチコチが壊れちゃうんでしょうね。
さて、お湯の特徴ですが、薄い茶褐色の透明で、微かに白く貝汁濁りを帯びているようにも見えます。また灰白色で綿状の湯の華も大小さまざまなサイズにまとまりながらで舞っています。臭覚面ではモール臭+ゴムのような鉱物油臭+(湯口にて)タマゴ臭、味覚面では弱塩味+ほろ苦み+重曹味+微タマゴ味がそれぞれ感じられ、モールらしさが特に際立っています。そして重曹がよく効いており、入浴中はツルツルスベスベの気持ち良い浴感が得られ、そして湯上りはさっぱり爽快です。掛け流し温泉不毛の地である愛知県でありながら、加水加温循環消毒が一切ない完全掛け流しは、本当に素晴らしい湯使いで、湯船からドバーっと溢れだすお湯を見ていると、心の底から惚れ惚れします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/d3/69ebb4e819e1d7be0a576b87aadb4416.jpg)
このお風呂はちゃんと保健所から公衆浴場の許可を受けているんですね。立派じゃないですか。
なお源泉は永和温泉開発(株)が供給しているお湯を引いているようでして、この永和温泉開発の温泉水は「みそぎ湯」の他、界隈の老人ホームや市内大井町一帯の一般家庭にも供給されており、一見すると温泉とは無縁のような当地では、まるで諏訪湖周辺の住宅のような温泉付きの住宅が分譲されているのです。注意して界隈の道路脇を流れるドブを見ていると、水面から湯気が濛々と上がっているのが確認できますが、これは捨てられた温泉から発せられたものなんですね。羨ましいなぁ…。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 48.5℃ 1,400L/min(地下1250m)
JR関西本線・永和駅より徒歩20分(1.6km)
愛知県愛西市大井町浦田面686 地図
0567-31-0146(吉野屋)
7:00~21:00
200円
備品類なし
私の好み:★★★
数年前に郡司氏が「怪湯」として紹介して以来、温泉ファンの間で俄然注目を浴びるようになったこの「みそぎの湯」は、シュール・不思議・奇怪・B級などと言った切り口により、いわば変わり種の温泉として各人のサイトで取り上げられており、「みそぎ湯」あるいは「永和温泉」でググるだけでも、かなりの数がヒットします。
かく言う私もこの温泉の魅力に取り憑かれてしまった人間の一人でして、いままで4回も訪問しているのですが、うち3回はお風呂の様子を撮影するとデジカメがその日のうちに紛失するという奇奇怪怪な現象に遭遇しており、このため当ブログでは取り上げることができませんでした。好奇の目で捉えようとする信心不足の私をこの温泉で祀られている神様仏様が懲らしめたのでしょうか。そんな苦難を繰り返し、先日ようやく数枚撮影してデジカメも紛失することなく帰ってこられたので、結果として他ファンの後追いになってしまいますが、私なりにサクサクっと紹介してみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/b2/fe07f2114161fb3d05afddc722588eeb.jpg)
最寄駅は関西本線の永和駅。名古屋~三重間の鉄道輸送は並行して走る近鉄が圧倒的なシェアを握っており、JRも近年少しずつ頑張って挽回しているものの、依然として近鉄の後塵を拝しています。この永和駅もローカル線そのものの長閑な雰囲気で、駅の周りにはびっくりするほど何もありません。名古屋からわずか数駅で街並みが都市から広大な田園地帯へと変わるんですから、名古屋が「大いなる田舎」と称されるのもわかる気がします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/50/18e7875b48480704c15f70c16ebefe64.jpg)
周囲は濃尾平野のゼロメートル地帯で、駅前の児童公園に立っている標識によれば、いま立っている場所は海面下なんですね。小学生のころに学んだ「輪中」を思い出します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/fd/233ecfd16405e5500f46ede00d7dede7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/9f/f92aa646bfd5f48beeb6cdb8577d23f6.jpg)
駅前に建つ古びた仕舞屋は元々煙草屋さんだったらしく、タイルのカウンター跡には右書きで「コバタ」と記されていました。こんなレトロな面影もローカル線風情を余計に強くさせています。
永和駅から弥富寄りの踏切を渡って道なりに進み、途中で東名阪を潜る箇所にある十字路で歩道橋を使って一本すぐ右側の路地(現道の旧道)に入り、そこをひたすら真っ直ぐ歩けば、迷うことなく到着できるでしょう。駅から徒歩20分程度で、目指す吉野屋さんに到着です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/c4/0c523cf139333390edbbd48b6e8a6fbf.jpg)
吉野屋さんは衣類品、特に制服関係を主に扱っている商品のようですが、失礼ながら店内はちょっと雑然としており、一見すると何屋さんだかいまひとつわからないかもしれません。でも決して牛丼屋ではありません。
店の奥へ声をかけると、ラーメン好き好き小池さんを20~30歳ほど老けさせたようなビン底メガネのご主人が出てきて、案内して下さいます。語尾が「~だで」といったような尾張弁が強くて、方言に慣れていない関東人の私は聞き取りに難渋しますが、お喋り好きでお人よしのご主人はいろんなことを話して下さいます。初回訪問時に神奈川県から来ましたと申し上げると、あなたのように全国から温泉ファンがやってくるんだ、と仰って郡司氏の他、熊○氏やべ○こ女史など同業の諸先輩方の名前を次々に列挙していました。御主人も私のような訪問者の扱いに慣れているようで、説明する口調は立て板に水でした。
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ご主人はまず隣の不動堂の前に立ち、ご本尊である不動様についての説明です。御主人は修験道の一流派を謳っている「成田山 霊観不動教会」を主宰しており、お店の屋号である「吉野屋」は吉野山に由来しているんだそうでして、開祖であるご主人のお父様が奈良県の大峰山へ修業したことが、その吉野という名称につながっているわけですね。
不動は3体祀られているのですが、ここで思わず目を惹かれてしまうのが、右側に建っている白装束をまとったマネキン人形であります。この温泉を取り上げるサイトは皆さんこのマネキンに注目し、温泉入浴と並んでこのマネキンを見たいがためにここを訪れる方も多いのではないかと思います。
この画像を撮影した日は運悪くマネキンさんが奥の部屋へと隠れていたため、残念ながらその姿をお見せできないのですが、名鉄百貨店のナナちゃん人形を髣髴とさせる長身痩躯のスラッとしたマネキンに、白装束を着せて信仰の対象とさせている様は、「探偵ナイトスクープ」や「ナニコレ珍百景」で取り上げるべき摩訶不思議な光景で、レポートしに来た桂小枝が絶叫する様が容易に想像できちゃいます。でも、某日訪問した際、御主人がとても熱心に像の前で祈っている姿を拝見してしまい、その姿を見て以来どんなものであっても信仰の対象を好奇の目で見ちゃいけないと自戒しました。
一通り説明を拝聴した後は、お堂に置かれた賽銭入れへ200円を納め、湯屋へと向かいます。なお訪問2回目以降は「お風呂入らせてください」と声かけてお金を納めるだけでOKでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/de/e45618c670f215cd77b2ad8477ac21c8.jpg)
お堂の周りに立っている幟には温泉マーク。
これにより、ここに温泉があることが確認できますね。
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湯屋は不動堂の裏手にあるので、脇の狭い通路から入って奥へと進んでいきます。小さい犬が放し飼いされており、外来者は必ず吠えられる洗礼を受けるんだそうです。廊下に小便器がむき出しで設置されていることにびっくり。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/e2/6c723facf4d8761bf074149e5442c7df.jpg)
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建物はアクリル波板を多用した掘っ立て小屋。プロが仕事をした気配が無いので、おそらくDIYで建てられたんでしょうね。2つあるドアのうち男湯は左側。
脱衣室も棚しかない必要最低限の設備です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/0e/834f2fdd27a0f91f328c954a955c1ee7.jpg)
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白装束のマネキンとならんで気を惹く文体の張り紙が多いのもここの特徴。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/08/5c9d7837c1f5e97510cd039d8f4295ca.jpg)
ブレーカーの注意書きには「神様」と書かれています。神様? たしかにご主人も奥さんもこちらの不動様を総称して「神様」と仰っていました。こちらは仏教系かと思っていたのですが、たしかにお堂には神社の円鏡が祀られていますし、そもそも修験道は典型的な神仏混淆ですから、「神様」で良いんでしょうね。下手に能書きを垂れていると、自らの無知蒙昧が露呈して藪蛇になってしまいそうなので、文化論はこの辺りでやめておきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/11/dac5f9fbc23510707678b82d5c2200eb.jpg)
こちらは「神様」一覧。
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浴槽は3つ。男湯の場合は右側から段々に低くなっており、この段の高さの順に上段が最も熱いのですが、それでも42℃くらい。段々に流れ落ちてきたお湯は最下段からザブザブとオーバーフローしています。洗い場は狭くて一人使うのがやっと。浴槽に人が入ると洗い場は大洪水状態となり、桶がプカプカ浮かんで流れてしまいます。カランなんてものはありませんから、桶で直接湯船からお湯を汲むことになります。
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各浴槽とも1~2人サイズ。いや、上段と下段は1人しか入れないかな。しかも下段は浅くて、どちらかといえば入浴用ではなく掛け湯用の槽なんでしょうね。モルタル造の質素なもので、場所柄、金魚の養魚場を連想させてくれます(界隈は日本随一の金魚生産地)。湯口は上段と中段にあり、上段では浴槽の縁の真ん中から直接噴き出し、中段ではホースから注ぎこまれていますが、別のホースで加水されているので、その分上段より温度が下がっているわけです。
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上段の湯口には「湯をさわった人は入浴禁止」という脅し文句が書かれた札が貼られていました。この他にも浴室内にはいろんな手書きの忠告文が張られているのですが、ほのぼのとした手書きである上に忠告主が「神様」なので、張り紙を目にするたびについニヤニヤしてしまいました。手作り感あふれる湯小屋ですから、おとなしく使わないとすぐにアチコチが壊れちゃうんでしょうね。
さて、お湯の特徴ですが、薄い茶褐色の透明で、微かに白く貝汁濁りを帯びているようにも見えます。また灰白色で綿状の湯の華も大小さまざまなサイズにまとまりながらで舞っています。臭覚面ではモール臭+ゴムのような鉱物油臭+(湯口にて)タマゴ臭、味覚面では弱塩味+ほろ苦み+重曹味+微タマゴ味がそれぞれ感じられ、モールらしさが特に際立っています。そして重曹がよく効いており、入浴中はツルツルスベスベの気持ち良い浴感が得られ、そして湯上りはさっぱり爽快です。掛け流し温泉不毛の地である愛知県でありながら、加水加温循環消毒が一切ない完全掛け流しは、本当に素晴らしい湯使いで、湯船からドバーっと溢れだすお湯を見ていると、心の底から惚れ惚れします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/d3/69ebb4e819e1d7be0a576b87aadb4416.jpg)
このお風呂はちゃんと保健所から公衆浴場の許可を受けているんですね。立派じゃないですか。
なお源泉は永和温泉開発(株)が供給しているお湯を引いているようでして、この永和温泉開発の温泉水は「みそぎ湯」の他、界隈の老人ホームや市内大井町一帯の一般家庭にも供給されており、一見すると温泉とは無縁のような当地では、まるで諏訪湖周辺の住宅のような温泉付きの住宅が分譲されているのです。注意して界隈の道路脇を流れるドブを見ていると、水面から湯気が濛々と上がっているのが確認できますが、これは捨てられた温泉から発せられたものなんですね。羨ましいなぁ…。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 48.5℃ 1,400L/min(地下1250m)
JR関西本線・永和駅より徒歩20分(1.6km)
愛知県愛西市大井町浦田面686 地図
0567-31-0146(吉野屋)
7:00~21:00
200円
備品類なし
私の好み:★★★