温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東郷温泉 そぞろ歩き

2011年02月15日 | 鳥取県
鳥取県の東郷温泉では、ここで紹介した寿湯東湖園の他にも養生館国民宿舎水明荘などの宿泊施設で入浴することができますが、今回は敢えて入浴できない温泉施設を、私が散策した範囲内で取り上げてみます。


・旭東温泉組合  地図
 
寿湯のすぐそばにある建物。屋根に湯気抜きがあるのでおそらく地元住民専用の浴場があるのでしょうね。とっても入ってみたい湯屋です。外壁には蛇口が設けられており、栓を捻るとお湯が出てきました。


・湯の華慈母観音  地図
 
(↑右側の画像はクリックで拡大)
松崎駅前からまっすぐ伸びる通りを進んで国道と突き当たったところに建つ観音立像です。地元出身の彫刻家が作ったそうでして、像の周りは足湯になっています。
説明看板によれば、夫婦円満や子宝などにご利益があるらしく、向かって右側から願いをかければ男児が、左側から願いをかければ女児が生まれるんだとか。


・東郷湖畔公園  地図
 
国民宿舎水明荘の隣、東郷湖の南湖畔にある公園です。この公園のまさに湖岸に、鯉が滝登りをしていそうな格好の像が建っており、その周りが足湯になっています。なお東郷湖の温泉は鯉が見つけ出したという言い伝えがあるために、鯉が像になっているんでしょう。

 
またその隣には温泉卵をつくる桝も設置されていました。源泉温度が高いからこそできる業ですね。
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東郷温泉 湯梨浜町立老人福祉センター 東湖園

2011年02月14日 | 鳥取県
 
松崎駅から西へ歩いて3~4分の場所に建つ町立の老人福祉施設ですが、ここには温泉の浴室が設けられており、積極的に広報されていないものの、実は一般にも開放されているので、どんなものか入ってみました。

 
内部のロビーは公営福祉施設にありがちな無味乾燥とした病院みたいな雰囲気ではなく、中規模旅館のように家具類や家電が充実している広くて立派なレイアウトでした。受付の職員の方に入浴を願い出ると、快く受け入れてくださいました。


浴室は中庭を挟んだロビーの向こう側にあります。ロビーと異なり、浴室への廊下は典型的な公的施設らしい実用本位の造りでした。

 
脱衣所も浴室も至ってシンプルですが、浴室に嵌められた大きなガラス窓によって外の明かりがふんだんに取り込まれ、脱衣所と浴室の間もガラス窓なので、室内はとても明るく、実際の面積以上に開放感を感じることが出来ました。老人福祉施設なのでバリアフリー面に配慮されており、カランはシャワー付き混合栓が3基設置されているのですが、介護人が世話しやすいように一人分の区画が広く確保されています。また手摺もしっかり完備。体の不自由な方用の椅子も用意されていました。


お湯に関して、東郷温泉の各施設では組合管理による混合泉を利用しており、ここもそのひとつなのですが、それだけではなく自家源泉も使用しており、両者をブレンドして浴槽へ供給しています。組合の配湯用混合泉はNa・Ca-塩化物温泉で63.1℃という高温の立派な温泉ですが、東湖園の自家源泉は単純泉で26.1℃とギリギリで温泉基準をクリアしています。このふたつを別々に堪能してみたいのですが、残念ながら浴槽は内湯一つしかないので、ブレンドされたものしか入浴できません。無色澄明で綺麗に澄み切っており、ほぼ無味無臭(わずかに塩味があったような無かったような…)。2源泉の混合比率はどのようになっているのかわかりませんが、館内の掲示に拠れば、湯温に関して夏季は42℃、冬季は43℃に設定しているそうです。
浴槽の窓側の縁からしっかりオーバーフローしており、お湯は常に新鮮。スベスベの中に弱い引っかかりがあるものの、サラサラとしたさっぱり感のあるお湯です。

外来入浴をPRしていないためか、訪問時はかなり空いており、ほぼ独占状態でした。でも基本的には老人福祉施設ですから、上述のように随所に老人向けの設備が施されており、ここで入浴しているとなんだか一気に老け込んで年寄りになったような錯覚に陥ってしまいました。お湯も施設も面白みに欠けるかもしれませんが、駅から近くて新鮮なお湯が掛け流されているので、列車を待つ間にちょこっと入浴してみるのもいいかもしれません。


東湖園・東郷温泉管理共同組合配湯用混合泉
東湖園源泉:単純泉 26.1℃ 成分総計0.538g/kg
東郷温泉管理共同組合配湯用混合泉:ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 63.1℃ 成分総計1.659g/kg

JR山陰本線・松崎駅より徒歩3~4分
鳥取県東伯郡湯梨浜町大字旭83  地図
0858-32-0828


(サムネイルをクリックで拡大)
平日9:00~20:00(6~8月は20:30まで)
土曜13:00~20:00(6~8月は20:30まで)
日曜13:00~17:00(5月~8月は15:00~19:00)
※曜日や季節によって日帰り入浴可能時間が細かく分かれているため要注意)
200円
ロッカーあり、ドライヤーや石鹸類などの備品は無し

私の好み:★★
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東郷温泉 寿湯

2011年02月14日 | 鳥取県
秘湯というものは必ずしも山奥に潜んでいるものではなく、市街地の路地裏に隠れるようにひっそりと佇む地元の人しかわからないような温泉浴場も、十分秘湯の条件を兼ね備えていると思います。某県の乳頭温泉郷なんて名ばかりの秘湯で、常に混雑していて興醒めですが、山奥へ行かなくったって街中で人知れず湧いているお湯も沢山あるのです。鳥取県の東郷温泉・寿湯もそんな浴場のひとつで、その存在を知った時から絶対に行ってやると心に決め、遂に先日訪問が叶いました。

 
JR松崎駅の正面から伸びる道には「歓迎 東郷温泉」のアーチが架かっていますが、これを潜らず、手前の道を線路に沿って右へ。

 
Aコープの近くに「理容シミズ」があり、その手前をよく見ると「寿湯→入口」と書かれた看板が掲げられています。矢印が指す方向には、人一人がやっと通れる狭隘な通路が奥へ伸びているので、そこを入っていきます。この通路を歩くときは、まるで探検している気分でした。


通路を抜けて視界が開けると、突然お目当ての寿湯がそこに建っていました。どうですか、この佇まい。熊本県人吉の温泉銭湯にも負けず劣らずの、昭和2~30年代から時が止まったかのような、トタン葺きの古く鄙びた風情が、完全にプリザーブされていました。


基本的に無人なのですが、利用する際は玄関の呼び鈴(ブザー)を鳴らして、表の理容店の清水さん(寿湯の管理人)を呼び出し、直接料金を支払います。私の訪問時には呼び出してから30秒で来てくださいました。

 
入口脇には常連さんのお風呂グッズがずらりと並んでいます。脱衣所はいかにも昭和の銭湯らしい造りです。


脱衣所内に掲示されている、明日は休業か否かを知らせるボードです。電車の行き先方向幕みたいに、くるくる巻いて表示を変える仕組みになっていました。ユニークですね。



(↑画像クリックで拡大)
右は昭和4年に出された鉱泉の使用許可書、左は昭和9年の温泉ポンプアップ許可書、その間に小さな湯屋営業許可証(年代不明・ここに書かれている日付は申請者の生年月日)です。額縁に入れられて脱衣所内に掲示されていました。そんな昔からこの湯屋は営業しているんですね。そして昔から代々清水さんが運営なさっているようです。


これが浴室の様子です。小さなタイル貼りの浴槽は2人も入ればいっぱいになってしまうほどのミニサイズ。昔から細かい修繕を繰り返しながら使い続けているのでしょう、水色のタイルの上から水色のペンキをベッタリ塗って補修されていました。浴室の窓枠も青いペンキがベットリ塗られており、その塗り具合を見ると、浴槽や窓枠からペンキの匂いがいまにも漂ってきそうな感じです。
洗い場のタイルも、浴槽から近い方からまるで年輪のような模様を描いて異なったタイルが貼られており、順々にタイルを替えて修繕していることがわかります(壁際のタイルは相当昔に流行った地味な石のタイルでした)。


カランは水の蛇口が1ヶ所のみなので、掛け湯する際には湯船から直接桶でお湯を汲んで使います。
これとは別に湯船用の蛇口もあり、源泉が出てくる蛇口は成分が析出して白い塊が付着していました。入浴客の好みで加水されますが、その他、加温・循環・消毒などはなされていません。湯口の栓は常時開かれているので、いつでも新鮮なお湯が楽しめます。お湯は人が入っていないときはオーバーフローしないので、おそらく底部側面に開けられた穴から排水されているのでしょうが、人が入ればザバーっと気持ちよく溢れ出します。

お湯は無色澄明で浮遊物や沈殿物は一切無し、綺麗に澄み切っています。殆ど無臭で、微かに芒硝っぽいミネラル的な味が感じられました(食塩泉ですが塩気は感じられませんでした)。やや熱めの温度で、肌触りが滑らかでサラサラスベスベした浴感の中に弱い引っかかりが混在しています。

見た目は無色透明で味や匂いも非常に薄いので特徴の無いお湯なのかと思いきや、湯上りの温まりがとっても強く、なかなか湯冷めしません。日が暮れて肌寒くなっても、半袖じゃないと汗が引かないほどでした。食塩泉であることと共に、放射能泉であることが体の心から強い温まり効果を生み出しているのでしょう。

単なる古くて小さな銭湯ですから、景色も楽しめなければ、お湯も透明でつまらないかもしれません。しかし、昔ながらの湯屋でタイムスリップしながら、新鮮で清らかなお湯に浸かる幸せもまたなかなか得られるものではありません。本当に至福のひとときでした。


2号・3号・4号混合泉
含弱放射能-ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉 70.5℃ pH不明 成分総計1.491g/kg

JR山陰本線・松崎駅より徒歩2分
鳥取県東伯郡湯梨浜町大字旭  地図
(電話連絡先はおそらく理容シミズさんになるかと思いますが、ここでは番号の掲載を控えさせていただきます)

8:00~20:00 第1・3月曜定休
200円
備品類無し

私の好み:★★★

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