温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ロングバレーカルデラ温泉群 The Rock Tub

2017年11月01日 | アメリカ
ユネスコの世界遺産(自然遺産)であるヨセミテ国立公園の東側には、ウィンタースポーツで有名なマンモスレイクという高原の観光地がありますが、そのマンモスレイク付近に広が盆地状の地形は、太古の時代の火山活動によって形成されたカルデラ(ロングバレーカルデラ)であり、いまでも随所で地熱活動が見られます。天然温泉の湧出はその典型例。カルデラの内部ではあちこちで温泉が湧いており、その多くは、有志の方によってハンドメイドされた露天の小さなバスタブにお湯を注いでいます。数年前までロングバレーカルデラの温泉は知る人ぞ知る秘湯だったにもかかわらず、ネットによる情報共有が進んだためか、最近ではすっかり有名になりました。かく言う私もそんな時代の流れのおかげで当地の温泉を知ったひとりです。そこで、今回記事から連続してロングバレーカルデラに湧く温泉を取り上げます。なおこのカルデラ内の温泉に関して、このブログでは「ロングバレーカルデラ温泉群」と総称することにします。

ロングバレーカルデラ温泉群は、その多くがマンモスヨセミテ空港の北東一帯、US(国道)385号から北東に向かって分岐する"Benton Crossing Road"の沿道に集中して分布しています。そして各温泉へは、この道から分かれてゆく未舗装の小道を入ってゆくのですが、当地の未舗装路は多雨期になると泥濘と化してアクセスが困難になるそうですから、私はまだ雨が多くない2017年の5月中旬に訪れました。まず私が向かったのは"The Rock Tub"と呼ばれている小さな露天風呂です。


 
5月中旬のヨセミテ東部は、うっすら雪化粧するほど冷え込んでいました。同じカリフォルニア州のロサンゼルスは夏のような暑さでしたから、山を隔てるだけで気候が全く違うのですね。雪をかぶったヨセミテの山々を仰ぎながら、"Benton Crossing Road"より分かれた広いダート路を進み、更に途中で右折してしばらく進むと、やがて道は行き止まりになりました。広くなっているスペースに車を止め、入浴グッズを持参して露天風呂を探します。
なお今回の"The Rock Tub"を含め、ロングバレーカルデラの各温泉は、それらの存在を示す看板や標識などが一切ないため、ネットであらかじめ場所を調べておき、GPSを頼りに現地へ向かわないと、迷ってしまうこと必至です。



意外にも、駐車スペースからさほど歩かないうちに湯船を発見できちゃいました。ここが"The Rock Tub"です。この後も複数の温泉を巡りましたが、振り返ってみますと、ここは界隈の温泉群の中でもかなりイージーに辿り着ける部類に含まれるかと思います。
ちょっぴり小高い丘を利用して手作りされたバスタブであり、駐車スペース側に対して衝立を立てたような構造になっているため、来訪者の視線を気にすることなく入浴に専念できます。小判型のバスタブは2~3人入れそうな大きさがあり、その名の通り、岩や石をモルタルで固めて作られています。



湯船の前にはこのような雄大な景色が広がっています。実に素晴らしいロケーションです。


 
近くの源泉から黒いホースで温泉を引っ張っており、通常そのホースは湯船の中で温泉を吐出しているのですが、ホースを湯船の上に出した上でお湯の吐出温度をはかったところ43.2℃でした。お湯は無色透明でほぼ無味無臭ですが、若干の石膏感が含まれていたように記憶しています。薄く雪化粧するほど外気温は寒く、そんな状況で43.2℃の温泉が注がれているわけですから・・・


 
浴槽ではかなり温度が下がっており、私の温度計では37.6℃と計測されました。なおpHは7.91でした。でも極端にぬるいわけではないので、湯船に入るとなかなか良い湯加減に感じられ、むしろ湯当たりを心配する必要がないため、じっくり長湯を楽しませてもらいました。



美しいシエラネバダ山脈を眺めながら入浴する私。まるで自分がこの絶景の中に溶け込んでしまったかのような気分に浸れます。



湯上がり後に黒いホースを辿ってゆくと、上画像の湿地に辿り着きました。湿地の真ん中で湯気が上がっていましたから、おそらくその真下に源泉があるものと思われます。しかしその周囲はくるぶしまで潜ってしまいそうなほどの泥濘でしたから、この時は源泉の様子を間近に観察することはできませんでした。
源泉見学はともかく、車でのアクセスが用意であり、且つしっかりした造りの湯船で絶景を眺めながら露天風呂に入ることができのですから、プリミティヴな温泉が好きな人間にとってはこの上ない幸福感が得られます。ロングバレーカルデラ温泉群が持つ魅力を存分に感じることができる、素晴らしい露天風呂でした。このバスタブをつくってくれた方に感謝。



GPS:37.64751, -118.80783,

無料。いつでも利用可能。
備品類無し
温泉周辺でキャンプや車中泊も可能
"Clothing Optional"なので、水着の着用は任意(裸の入浴も可能)。

私の好み:★★★

コメント
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