温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

入湯2500湯記念 桜田温泉 山芳園 その2(内湯 総檜風呂)

2018年09月11日 | 静岡県
前回記事の続編です。

さて胃袋を満足させた後は、お宿ご自慢のお風呂へと参りましょう。館内には男女別の内湯の他、貸切の家族風呂、同じく貸切の露天風呂、そして客室に付帯しているお風呂があるのですが、最後の客室付帯のお風呂は部屋数が限られており、今回そのお部屋を予約することはできなかったので、私が入れたのは内湯(男湯)と貸切風呂(2種類)の計3つでした。まずは宿泊者なら誰しもが利用できる内湯から見ていきましょう。


 
なまこ壁を模した内装が施されている廊下を歩き内湯へ。男女に分かれた内湯は暖簾替えがなく、いつ訪れても同じ浴室を利用することになります。男湯は檜風呂が2つあるのに対し、女湯には檜風呂と洞窟岩風呂があり、女湯の方が面白い造りであると言えそうです。浴室の入口に掲げられた「天然温泉」の札を目にしながらお風呂へ。



天井の梁がまるで傘の骨のように中央から八方へ広がっている唐傘天井が印象的な総檜造りの浴室。室内には温泉由来の芳ばしい香りがほのかに漂っており、その芳香を嗅いだ私はお湯への期待に胸が膨らみました。
天井には半透明の建材が用いられており、大きな明かり採りになっているので、日中はとても明るい環境の中で湯あみが楽しめます。また換気の状態もよろしく湯気籠りも無いので、快適に湯浴みできます。なお、この浴室はお宿の創業時からのものだそうです。脱衣室からステップを数段下ってゆくこの内湯。先述のように男湯の場合は桧の浴槽が2つ設けられています。


 
浴槽と反対側には洗い場が配置されており、シャワー付きカランが5基並んでいます。シャワーからは源泉のお湯が吐出されます。


 
 
二つの檜風呂はほぼ同じようなサイズなのですが、左右で若干の差があり、向かって左側がやや小さく、おおよそ4人サイズ(目測で1.8m×2.5m)で、湯加減は42~3℃ほど。一方、右側は若干大きい5~6人サイズ(1.8m×3.5m)で40~41℃。好みの湯加減によって使い分ければ良さそうです。
お湯は無色透明で清らかに澄んでおり、見ているだけでも心が浄化されます。実際に湯船に入ると、良質な硫酸塩泉らしいトロットロな感触が得られるとともに、肌の細かな皺一本一本に温泉が染み込み、お湯が肌全体にしっとりと馴染んでいきます。
こちらの浴槽で注目すべきは、桧の美しさや温もりもさることながら、湯口の構造ではないでしょうか。温泉入浴施設では一般的に、ビジュアル的な効果を期待して、お湯を上から落として浴槽へ供給していますが、それによって温度の低下や空気接触によるお湯の劣化が避けられません。この問題を解消すべく、こちらのお風呂では槽内供給を実践しており、非常にフレッシュなお湯を堪能することができるわけです。湯使いは言わずもがなの完全掛け流し。浴槽のお湯は縁から絶え間なく溢れ出ています。


 
脱衣室の壁に埋め込まれた小窓の中を覗くと源泉のメインパイプやバルブが縦に設置されていました。多くの温泉ではポンプの動力によって揚湯していますが、こちらの源泉は力強く自噴しているため、ポンプのような設備は要りません。大地の圧力だけで給湯できちゃうので、源泉まわりの設備は至ってシンプルです。その一方で、源泉から湧出した温泉に関しては丁寧に管理しています。簡単に説明しますと、勢いよく自噴する70℃以上の温泉を熱交換器へ通して入浴に適した温度まで下げ、圧力を減圧せず、空気に触れさせることもない状態で、浴槽まで持ってきているのです。上述のように内湯の浴槽ではお湯を槽内投入しており、空気に触れず加水も行われていないので、非常にクリアで且つ驚くべきフレッシュ感を楽しめるわけです。湯船に浸かることで、心身が癒されるとともに、お湯に対するお宿の深い愛と造詣が伝わってきました。

次回記事では貸切のお風呂について述べてまいります。

次回記事に続く。




コメント (5)
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