前回に引き続き、福島県土湯温泉を取り上げます。
土湯温泉は長い歴史を有しますが、温泉街の象徴とも言うべき公衆浴場は現在「中之湯」の1軒しかありません(※)。その「中之湯」も数年前までは四角くて小さい、見るからに地味なコンクリの小屋でしたが、震災による負の影響から立ち直るべく一旦解体され、2018年4月26日に完全リニューアルされました。今年(2019年)の春、私が実際に現地へ赴いてみますと、かつての湯小屋はすっかり無くなり、同じ川沿いに和風の立派な建物が建てられていて大変驚きました。以前は地元の方でないと入りにくい雰囲気でしたが、リニューアルした現在はむしろ観光客がすすんで入りたくなるようなモダン和風の明るい施設に生まれ変わっています。
前回記事では同じ土湯温泉の「御とめ湯り」で宿泊したことを紹介しましたが、この「御とめ湯り」に泊まると朝風呂に入れないため、一番風呂に入るべく、朝いちばんで「中之湯」に向かったのでした。
(※以前は温泉街からちょっと離れた高台にある「サンスカイつちゆ」にも公衆浴場が設けられていましたが、残念ながら)2019年3月に施設そのものが閉鎖されてしまいました。
施設の前にはモニュメントや足湯が設けられ、地元の方のみならず観光客がふらっと気軽に立ち寄れるような雰囲気が作られていました。
入浴する客は玄関より入館し、まず下駄箱に靴を収めます。なお下駄箱にはクリップ付の番号札がありますので、それを利用して自分の靴を管理します。そして湯銭は受付前に設置されている券売機で支払います。
お風呂は受付の前から玄関もしくはエレベータで1フロア下ります。新しい公共施設ですからバリアフリー対策は万全です。階段を下って左手が女湯、右手が男湯です。なお女湯側と男湯側の両サイドには貸切風呂が1室ずつ(計2室)あります。またロッカーは脱衣室内には無いものの、1階の受付横に一ヶ所(貴重品用の小さなもの)、そして階下の女湯手前に1ヶ所用意されています(女湯手前のロッカーは大きいサイズです)ので、必要に応じてどちらかをお使いください。
脱衣室内はさほど大きくないものの、まだ新しいだけあって明るく綺麗。洗面台は3面ほどあり、ドライヤーも2台用意されています。
旅館の内湯と見まがうほど立派で綺麗な浴室には、源泉の異なるお湯を張った浴槽が大小1つずつ。しかも露天まであるのです(詳しくは後述します)。和風の設えなので落ち着いた雰囲気です。
浴槽の左側には洗い場が配置され、シャワー付きカランが5基並んでいます。なお最左のブースだけ仕切り板が取り付けられていました。なお石鹸類などの備え付けはありませんので、持参するか受付で購入することになります。
2つある浴槽のうち、左側の小さな浴槽(1~2人サイズ)は、以前の「中の湯」の湯船にも注がれていた重曹泉が張られています。一見すると薄そうなお湯ですが、浴槽縁の湯面ライン上には小さな庇状の析出が早くも出現しており、塩化土類泉的な特徴がしっかりと表れています。ちょっと黄色掛かっているお湯で、湯口からは若干のアブラ臭(焦げたような匂い)が漂い、口にするとほろ苦い味がします。そして弱めながらもツルスベ浴感があります。
旧施設時代の「中の湯」をご存知の方なら覚えていらっしゃるかもしれませんが、このお湯は箆棒にかなり熱いので、いきなり入ることは躊躇われます。しかしながらリニューアルに伴い加水設備が取り付けられ、浴槽のお湯を掻き混ぜることによりセンサーがそれを感知し、自動的に加水されて、比較的入りやすい温度まで下がるようになる仕組みが採用されました。でも誰も入らないで掻き混ぜない状態が続くと、センサーが働かず(つまり加水されず)熱いままになってしまうため、脱衣室や浴室などには入る前に掻き混ぜてほしいという旨が呼びかけられています。なぜこんな面倒くさい構造にしたのかよくわかりません。
一方、右側の浴槽(主浴槽)は5~6人サイズで、一般湯と称し、前回記事で取り上げた「御とめ湯り」など周辺の宿泊施設にも引かれている源泉(混合泉)が供給されています。お湯は微かに薄ぼんやりと白く濁っており、黒や茶色の湯の花が浮遊しています。お隣の熱い重曹泉より若干劣るかもしれませんがツルスベ浴感があり、適温なので気楽にのんびり湯浴みできました。
上述のように、新しい「中之湯」は公衆浴場なのに露天風呂があるんですよ。
露天の浴槽は4人サイズで、こちらにも一般湯と同様に混合泉が注がれています。
露天風呂は川側に位置していますが、高い塀が視野を遮っているため景色を眺めることはできません。川岸に背の高い旅館の建物が建っていますから仕方ありませんね。でも露天スペース自体は広く確保されていますから、決して閉塞的ではなく、対岸の山や空を見上げながらのんびり湯浴みすることができますし、体が火照ったらクールダウンすることも可能です。
なお各浴槽とも掛け流しの湯使いですが、湯温調整のため加水することがあります。特に重曹泉は上述したように自動的に加水されます。
お風呂上がりにゆったりしたい方は、一旦1階へあがってください。受付の右奥には無料で使える休憩用座敷が用意されています。大きな窓から川を見下ろす綺麗なお座敷です。
リニューアルされて使い勝手が格段に向上した「中之湯」。復興に努めている民間施設とともに土湯温泉を盛り上げる要の存在として、これからも大活躍してくれることでしょう。
不老・長寿の湯
ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉 51.3℃ pH7.4 溶存物質1496mg/kg 成分総計1562mg/kg
Na+:297.6mg, Ca++:68.4mg,
Cl-:132.1mg, Br-:0.4mg, I-:0.3mg, SO4--:173.8mg, HCO3-:628.2mg,
H2SiO3:124.9mg, HBO2:31.0mg, CO2:66.0mg,
(平成30年2月16日)
加水あり(源泉温度が高い為)
2号泉・16号泉・17号泉・18号泉の混合泉
アルカリ性単純温泉 65℃ pH8.55 溶存物質0.5756g/kg 成分総計0.5756g/kg
Na+:112.8mg, Cl-:75.0mg, S2O3--:0.3mg, HS-:1.3mg, OH-:0.1mg, SO4--:126.1mg, HCO3-:33.0mg, CO3--:16.8mg,
H2SiO3:158.6mg,
(平成29年7月28日)
加水あり(源泉温度が高い為)
福島県福島市土湯温泉町字上ノ町1
024-595-2217
ホームページ
9:00~21:00 火曜定休
500円
ロッカー、ドライヤーあり
私の好み:★★★
土湯温泉は長い歴史を有しますが、温泉街の象徴とも言うべき公衆浴場は現在「中之湯」の1軒しかありません(※)。その「中之湯」も数年前までは四角くて小さい、見るからに地味なコンクリの小屋でしたが、震災による負の影響から立ち直るべく一旦解体され、2018年4月26日に完全リニューアルされました。今年(2019年)の春、私が実際に現地へ赴いてみますと、かつての湯小屋はすっかり無くなり、同じ川沿いに和風の立派な建物が建てられていて大変驚きました。以前は地元の方でないと入りにくい雰囲気でしたが、リニューアルした現在はむしろ観光客がすすんで入りたくなるようなモダン和風の明るい施設に生まれ変わっています。
前回記事では同じ土湯温泉の「御とめ湯り」で宿泊したことを紹介しましたが、この「御とめ湯り」に泊まると朝風呂に入れないため、一番風呂に入るべく、朝いちばんで「中之湯」に向かったのでした。
(※以前は温泉街からちょっと離れた高台にある「サンスカイつちゆ」にも公衆浴場が設けられていましたが、残念ながら)2019年3月に施設そのものが閉鎖されてしまいました。
施設の前にはモニュメントや足湯が設けられ、地元の方のみならず観光客がふらっと気軽に立ち寄れるような雰囲気が作られていました。
入浴する客は玄関より入館し、まず下駄箱に靴を収めます。なお下駄箱にはクリップ付の番号札がありますので、それを利用して自分の靴を管理します。そして湯銭は受付前に設置されている券売機で支払います。
お風呂は受付の前から玄関もしくはエレベータで1フロア下ります。新しい公共施設ですからバリアフリー対策は万全です。階段を下って左手が女湯、右手が男湯です。なお女湯側と男湯側の両サイドには貸切風呂が1室ずつ(計2室)あります。またロッカーは脱衣室内には無いものの、1階の受付横に一ヶ所(貴重品用の小さなもの)、そして階下の女湯手前に1ヶ所用意されています(女湯手前のロッカーは大きいサイズです)ので、必要に応じてどちらかをお使いください。
脱衣室内はさほど大きくないものの、まだ新しいだけあって明るく綺麗。洗面台は3面ほどあり、ドライヤーも2台用意されています。
旅館の内湯と見まがうほど立派で綺麗な浴室には、源泉の異なるお湯を張った浴槽が大小1つずつ。しかも露天まであるのです(詳しくは後述します)。和風の設えなので落ち着いた雰囲気です。
浴槽の左側には洗い場が配置され、シャワー付きカランが5基並んでいます。なお最左のブースだけ仕切り板が取り付けられていました。なお石鹸類などの備え付けはありませんので、持参するか受付で購入することになります。
2つある浴槽のうち、左側の小さな浴槽(1~2人サイズ)は、以前の「中の湯」の湯船にも注がれていた重曹泉が張られています。一見すると薄そうなお湯ですが、浴槽縁の湯面ライン上には小さな庇状の析出が早くも出現しており、塩化土類泉的な特徴がしっかりと表れています。ちょっと黄色掛かっているお湯で、湯口からは若干のアブラ臭(焦げたような匂い)が漂い、口にするとほろ苦い味がします。そして弱めながらもツルスベ浴感があります。
旧施設時代の「中の湯」をご存知の方なら覚えていらっしゃるかもしれませんが、このお湯は箆棒にかなり熱いので、いきなり入ることは躊躇われます。しかしながらリニューアルに伴い加水設備が取り付けられ、浴槽のお湯を掻き混ぜることによりセンサーがそれを感知し、自動的に加水されて、比較的入りやすい温度まで下がるようになる仕組みが採用されました。でも誰も入らないで掻き混ぜない状態が続くと、センサーが働かず(つまり加水されず)熱いままになってしまうため、脱衣室や浴室などには入る前に掻き混ぜてほしいという旨が呼びかけられています。なぜこんな面倒くさい構造にしたのかよくわかりません。
一方、右側の浴槽(主浴槽)は5~6人サイズで、一般湯と称し、前回記事で取り上げた「御とめ湯り」など周辺の宿泊施設にも引かれている源泉(混合泉)が供給されています。お湯は微かに薄ぼんやりと白く濁っており、黒や茶色の湯の花が浮遊しています。お隣の熱い重曹泉より若干劣るかもしれませんがツルスベ浴感があり、適温なので気楽にのんびり湯浴みできました。
上述のように、新しい「中之湯」は公衆浴場なのに露天風呂があるんですよ。
露天の浴槽は4人サイズで、こちらにも一般湯と同様に混合泉が注がれています。
露天風呂は川側に位置していますが、高い塀が視野を遮っているため景色を眺めることはできません。川岸に背の高い旅館の建物が建っていますから仕方ありませんね。でも露天スペース自体は広く確保されていますから、決して閉塞的ではなく、対岸の山や空を見上げながらのんびり湯浴みすることができますし、体が火照ったらクールダウンすることも可能です。
なお各浴槽とも掛け流しの湯使いですが、湯温調整のため加水することがあります。特に重曹泉は上述したように自動的に加水されます。
お風呂上がりにゆったりしたい方は、一旦1階へあがってください。受付の右奥には無料で使える休憩用座敷が用意されています。大きな窓から川を見下ろす綺麗なお座敷です。
リニューアルされて使い勝手が格段に向上した「中之湯」。復興に努めている民間施設とともに土湯温泉を盛り上げる要の存在として、これからも大活躍してくれることでしょう。
不老・長寿の湯
ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉 51.3℃ pH7.4 溶存物質1496mg/kg 成分総計1562mg/kg
Na+:297.6mg, Ca++:68.4mg,
Cl-:132.1mg, Br-:0.4mg, I-:0.3mg, SO4--:173.8mg, HCO3-:628.2mg,
H2SiO3:124.9mg, HBO2:31.0mg, CO2:66.0mg,
(平成30年2月16日)
加水あり(源泉温度が高い為)
2号泉・16号泉・17号泉・18号泉の混合泉
アルカリ性単純温泉 65℃ pH8.55 溶存物質0.5756g/kg 成分総計0.5756g/kg
Na+:112.8mg, Cl-:75.0mg, S2O3--:0.3mg, HS-:1.3mg, OH-:0.1mg, SO4--:126.1mg, HCO3-:33.0mg, CO3--:16.8mg,
H2SiO3:158.6mg,
(平成29年7月28日)
加水あり(源泉温度が高い為)
福島県福島市土湯温泉町字上ノ町1
024-595-2217
ホームページ
9:00~21:00 火曜定休
500円
ロッカー、ドライヤーあり
私の好み:★★★