東京では連日地獄のような猛暑が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか。暑さもさることながら、例の厄介な感染症のために外出することが憚られ、猛暑とコロナでストレスが溜まる一方です。
そこで今回の記事では、皆さんの豊かな想像力を搔き立て、外出することなく脳内で涼を得ることを試みます。山梨県は良質な温泉の宝庫ですが、実は低温の温泉や鉱泉も数が多いので、真夏に全身をクールダウンするには最適の場所です。そんな甲州の涼しげな鉱泉の中でも、今回は塩山の鉱泉を訪ねます。
まずは中央本線の塩山駅で下車。改札は1つだけですが、ロータリーは線路の南北両側にありますので、今回は北口から出ます。
裏口のような寂し気な駅前ロータリーには、厳めしい面持ちの武田信玄が鎮座しています。この信玄像にご挨拶してから北西の方向へ歩いてゆくと・・・
約10分で今回の目的地である塩山温泉「宏池荘」に到達しました。
こちらは温泉旅館のほか、公衆浴場としても営業しており、今回は公衆浴場として利用させていただくべく伺いました。
上画像で左側の棟が旅館。一方、ちょっと奥に引っ込んでいる右側の建物が・・・
公衆浴場兼浴舎です。
駐車場を突っ切った奥にあるこの狭い勝手口のような所が公衆浴場の出入口。
鄙びた湯屋に慣れない人にとってこの出入口は見つけにくく、見つけたとしてもなかなか入りにくい雰囲気ですが、鄙びた温泉が好みである私のような好事家にとっては、むしろ良い予感すら得られる不思議な佇まいです。
出入口に置かれた籠に湯銭500円を納めて入館します。券売機や番台など気の利いた設備は無く、畑の路地販売の如く無人状態ですから(おばあちゃんがいる時もあり)お釣りの用意はありません。予め小銭を用意しておきましょう。
出入口右側に入ると、廊下に沿って男女の浴場が並んでいます。なお廊下には貴重品用ロッカーが設けられていますから、お財布などはこちらへ預けましょう。
脱衣室を抜けていざ浴室へ。鄙びた外観や裏口みたいな出入口などからは、相当草臥れたお風呂を想像しますが、浴場内は決して鄙びておらず、2つの浴槽を擁する大きくて立派なお風呂です。
男湯の場合、向かって左側と手前右側の二手に分かれて洗い場が配置されています。この洗い場に設置された計8基のカランのうち、7基にはシャワーがあり、シャワーからはこちらの鉱泉を沸かしたお湯が出てきます。後述しますが、こちらの鉱泉はヌルヌル感がとても強いため、ボディーソープやシャンプーで自分を洗ったあとにシャワーのお湯で洗い流すと、石鹸類のヌルヌル感にブーストがかかり、すすいでもすすいでも全身からヌルヌルがなかなか落ちません。
ヌルヌルブーストに関連したこととして、脱衣室にはお風呂が滑りやすいことを注意喚起するポスターが貼られています。この手のポスターはいろんな温泉で見られますが、こちらのお風呂の場合は本当に滑りやすく、実際に私も湯船から出るとき足元を取られて危うく転ぶところでしたので、もしこちらへ入浴する際には、大げさな喚起だと甘く考えず、本当に注意しましょう。
浴槽は大小1つずつ。大きな方は(目測で)5×2.5mほどの大きさがあり、加温循環された鉱泉のお湯が張られています。滑りやすいこと以外で加温循環されたお湯自体に大した個性は見られないのですが・・・
湯口から出てくる吐出圧力が強く、また並行して設けられているジェットバス装置の噴射力も強いために、浴槽内にちょっとした流れが出来上がっていました。おかげで鋼のようにガチガチに凝り固まった私の肩甲骨まわりも、この強力ジェットを当てることにより、若干ほぐれたような気がします(あくまで気持ちの問題ですけど)。
今回の記事の主役はこの小さな浴槽。約24℃で湧出する鉱泉を、専用の水栓から非加温非循環のかけ流し状態で供給し続けているのです。湧出温度が25℃未満ですので、日本の温泉法では温泉として定義されず、冷鉱泉に分類されますが、冷鉱泉と言っても一般的な水風呂(10~15℃)よりはるかに温度が高いため、冷たい水風呂が苦手な方でもこの鉱泉ならば入りやすいかと思います。
このタイル張りの浴槽に張られたかけ流しの鉱泉は無色透明ですが、やや青白い色を帯びているようにも見えます。水栓から出てくる鉱泉を手に取ってテイスティングしてみますと、パルプのような独特の風味と匂いがほんのり感じられます。分析表によれば硫化水素イオンも含まれているようですが、私の入浴時にはイオウ感はあまり得られませんでした。
pH10.1という値が示すようにこの鉱泉はアルカリ性に強く傾いており、また炭酸イオンが27.0mgも含まれているため、上述したようにヌルヌル感が強く、湯船に入ると全身がローションの中に浸っているかのような感覚が得られます。そして、この冷たすぎない鉱泉風呂は、猛暑の日に入るとこの上なく清涼であり、あまりの気持ち良さゆえ、いつまでも浸かっていられます。お風呂上りもさっぱり爽快。わざわざここまで来てよかったと思えるほどの爽快感です。
さて、これらの画像をご覧になった後、一旦目を瞑って25℃未満の鉱泉に入った自分を妄想してみましょう。
入りしなこそヒヤッとしますが、一度温度に慣れてしまえば、あとは爽快感がひたすら続きます。
いかがですか。全身が涼しくなりましたか。
想像しても清涼感が得られなかった方は、今はコロナ禍でなかなか外出できませんが、状況が落ち着きましたら是非現地へお出かけになってみてください。
第2井
単純硫黄冷鉱泉 23.8℃ pH10.1 湧出量未測定(掘削揚湯) 溶存物質169.4mg/kg 成分総計169.4mg/kg
Na+:45.9mg(96.38mval%),
Cl-:11.6mg, OH-:2.1mg, HS-:2.4mg, HCO3-:36.0mg(22.00mval%), CO3--:27.0mg(33.56mval%),
(平成19年2月19日)
山梨県甲州市塩山上於曾1959
0553-33-2033
ホームページ
日帰り入浴8:00~19:30(12:00~13:00はお休み)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
そこで今回の記事では、皆さんの豊かな想像力を搔き立て、外出することなく脳内で涼を得ることを試みます。山梨県は良質な温泉の宝庫ですが、実は低温の温泉や鉱泉も数が多いので、真夏に全身をクールダウンするには最適の場所です。そんな甲州の涼しげな鉱泉の中でも、今回は塩山の鉱泉を訪ねます。
まずは中央本線の塩山駅で下車。改札は1つだけですが、ロータリーは線路の南北両側にありますので、今回は北口から出ます。
裏口のような寂し気な駅前ロータリーには、厳めしい面持ちの武田信玄が鎮座しています。この信玄像にご挨拶してから北西の方向へ歩いてゆくと・・・
約10分で今回の目的地である塩山温泉「宏池荘」に到達しました。
こちらは温泉旅館のほか、公衆浴場としても営業しており、今回は公衆浴場として利用させていただくべく伺いました。
上画像で左側の棟が旅館。一方、ちょっと奥に引っ込んでいる右側の建物が・・・
公衆浴場兼浴舎です。
駐車場を突っ切った奥にあるこの狭い勝手口のような所が公衆浴場の出入口。
鄙びた湯屋に慣れない人にとってこの出入口は見つけにくく、見つけたとしてもなかなか入りにくい雰囲気ですが、鄙びた温泉が好みである私のような好事家にとっては、むしろ良い予感すら得られる不思議な佇まいです。
出入口に置かれた籠に湯銭500円を納めて入館します。券売機や番台など気の利いた設備は無く、畑の路地販売の如く無人状態ですから(おばあちゃんがいる時もあり)お釣りの用意はありません。予め小銭を用意しておきましょう。
出入口右側に入ると、廊下に沿って男女の浴場が並んでいます。なお廊下には貴重品用ロッカーが設けられていますから、お財布などはこちらへ預けましょう。
脱衣室を抜けていざ浴室へ。鄙びた外観や裏口みたいな出入口などからは、相当草臥れたお風呂を想像しますが、浴場内は決して鄙びておらず、2つの浴槽を擁する大きくて立派なお風呂です。
男湯の場合、向かって左側と手前右側の二手に分かれて洗い場が配置されています。この洗い場に設置された計8基のカランのうち、7基にはシャワーがあり、シャワーからはこちらの鉱泉を沸かしたお湯が出てきます。後述しますが、こちらの鉱泉はヌルヌル感がとても強いため、ボディーソープやシャンプーで自分を洗ったあとにシャワーのお湯で洗い流すと、石鹸類のヌルヌル感にブーストがかかり、すすいでもすすいでも全身からヌルヌルがなかなか落ちません。
ヌルヌルブーストに関連したこととして、脱衣室にはお風呂が滑りやすいことを注意喚起するポスターが貼られています。この手のポスターはいろんな温泉で見られますが、こちらのお風呂の場合は本当に滑りやすく、実際に私も湯船から出るとき足元を取られて危うく転ぶところでしたので、もしこちらへ入浴する際には、大げさな喚起だと甘く考えず、本当に注意しましょう。
浴槽は大小1つずつ。大きな方は(目測で)5×2.5mほどの大きさがあり、加温循環された鉱泉のお湯が張られています。滑りやすいこと以外で加温循環されたお湯自体に大した個性は見られないのですが・・・
湯口から出てくる吐出圧力が強く、また並行して設けられているジェットバス装置の噴射力も強いために、浴槽内にちょっとした流れが出来上がっていました。おかげで鋼のようにガチガチに凝り固まった私の肩甲骨まわりも、この強力ジェットを当てることにより、若干ほぐれたような気がします(あくまで気持ちの問題ですけど)。
今回の記事の主役はこの小さな浴槽。約24℃で湧出する鉱泉を、専用の水栓から非加温非循環のかけ流し状態で供給し続けているのです。湧出温度が25℃未満ですので、日本の温泉法では温泉として定義されず、冷鉱泉に分類されますが、冷鉱泉と言っても一般的な水風呂(10~15℃)よりはるかに温度が高いため、冷たい水風呂が苦手な方でもこの鉱泉ならば入りやすいかと思います。
このタイル張りの浴槽に張られたかけ流しの鉱泉は無色透明ですが、やや青白い色を帯びているようにも見えます。水栓から出てくる鉱泉を手に取ってテイスティングしてみますと、パルプのような独特の風味と匂いがほんのり感じられます。分析表によれば硫化水素イオンも含まれているようですが、私の入浴時にはイオウ感はあまり得られませんでした。
pH10.1という値が示すようにこの鉱泉はアルカリ性に強く傾いており、また炭酸イオンが27.0mgも含まれているため、上述したようにヌルヌル感が強く、湯船に入ると全身がローションの中に浸っているかのような感覚が得られます。そして、この冷たすぎない鉱泉風呂は、猛暑の日に入るとこの上なく清涼であり、あまりの気持ち良さゆえ、いつまでも浸かっていられます。お風呂上りもさっぱり爽快。わざわざここまで来てよかったと思えるほどの爽快感です。
さて、これらの画像をご覧になった後、一旦目を瞑って25℃未満の鉱泉に入った自分を妄想してみましょう。
入りしなこそヒヤッとしますが、一度温度に慣れてしまえば、あとは爽快感がひたすら続きます。
いかがですか。全身が涼しくなりましたか。
想像しても清涼感が得られなかった方は、今はコロナ禍でなかなか外出できませんが、状況が落ち着きましたら是非現地へお出かけになってみてください。
第2井
単純硫黄冷鉱泉 23.8℃ pH10.1 湧出量未測定(掘削揚湯) 溶存物質169.4mg/kg 成分総計169.4mg/kg
Na+:45.9mg(96.38mval%),
Cl-:11.6mg, OH-:2.1mg, HS-:2.4mg, HCO3-:36.0mg(22.00mval%), CO3--:27.0mg(33.56mval%),
(平成19年2月19日)
山梨県甲州市塩山上於曾1959
0553-33-2033
ホームページ
日帰り入浴8:00~19:30(12:00~13:00はお休み)
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5