温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

伊豆の入れなさそうな温泉たち その2(南伊豆・西伊豆編)

2022年09月09日 | 静岡県
前回記事の続編です。引き続き、一般受けしない伊豆の入れなさそうな温泉を取り上げます。
(2021年12月訪問)

(4)源泉井のこぼれ湯

津々浦々にある温泉の源泉井では、自噴もしくはポンプアップして余ったお湯(オーバーフロー)を、付近の河川や下水などへ捨てており、温泉地の方々にとってはごくごく当たり前の光景なのですが、普段お風呂の湯口から出るお湯しか目にしない都会暮らし且つ温泉マニアの私にとって、捨てられてゆくオーバーフローを目にすると即座に嬉しくなってしまいます。

南伊豆の山の中を貫く県道を車で走っていると、沿道にある某源泉井(上画像)を通過しました。以前からこの界隈を何度も通り過ぎるたびにこの源泉井が気になっていたので、ちょっと見学してみることにしたのです。


施設には立派な櫓も立っています。


車で通りすぎている時には気づかなかったのですが、案の定、源泉井施設からは余剰のお湯が捨てられていました。配管の設置位置から推測すると、小屋の上の方に載せられている貯湯槽のオーバーフローなのでしょう。


塩ビの樋には白い析出がビッシリこびりついていますね。お湯は流し台に落とされており、随時汲めるようになっています。とはいえ、誰が使って良い悪いといった注意書きは特にありませんが、当然ながらこのお湯が使えるのは施設関係者に限られているのでしょう。私は汲んで使うわけではないので、ちょっと失礼してオーバーフローに温度計を当ててみると、61.4℃と計測されました。
このエリアではアルカリ性単純泉が分布していますから、おそらくこのお湯も同様ではないかと思われます。


(5)季節限定の準野湯ポイント

こちらは頓に野湯を好む方から注目されるようになった西伊豆の某所です。ご覧のようにお湯がドバドバと大量に垂れ流されています。


温度を測ると54.2℃でした。入浴するにはちょっと熱いですね。どうやら冬になると、好事家の方々がこちらで野湯をお楽しみになるんだそうです。冬でしたらお湯を汲んでしばらく放置しておけば適温まで冷めるのでしょう。なおこのお湯を口にしてみますと、塩辛さと苦汁の味、そして少々の金気味が混在して感じられます。いかにもご当地らしい温泉の特徴です。


傍にはアパートに設置されていそうなステンレス製のバスタブが置かれており、冬季に入浴する際はどうやらこれを使うみたいです。
実はここから目と鼻の先には、界隈の温泉旅館へ配湯している温泉供給会社の源泉設備があるのですが、供給会社が配湯しているあらゆる施設よりも、おそらくここが源泉井戸から最も近い場所ではないかと思われます。それゆえ温泉の状態は良好ですし、お湯の熱さも際立っているのでしょう。

既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この場所では期間限定で無料露天風呂が開放されます。お湯が垂れ流されているのは、その露天風呂へ温泉を供給するための配管であり、露天風呂が閉鎖される冬季はお風呂へ流れる配管のバルブを閉めるため、行き場を失ったお湯がこのように捨てられているのでしょう。
尤も、その期間限定露天風呂は利用料金こそ無料ですが、夏の海水浴シーズンになると都心顔負けの駐車料金を徴収されてしまいますし、入浴にはちょっとしたレギュレーションがありますので、考えようによっては冬季に人知れずこっそり入るのも良いのかもしれません(お金云々以前に度胸の問題になってしまいますが…)。


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コメント (2)
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