(2022年6月訪問)
鄙びた温泉浴場が好きなファンから評価が高い信州の百合居温泉を取り上げます。
プレハブ造の簡素な湯小屋はなんとご当地(栄村)の村営の施設なんだとか。こんな渋い施設を公営にしちゃう栄村、すばらしいですね。上画像では入口の右横に地元のご老人がここまで乗ってきたと思しきセニアカーが写っていますが・・・
目の前には長閑な田園風景が広がっており、ご老人が乗ったセニアカーがのんびり移動する光景がぴったり似合います。
建物の脇には貯湯タンクが設置されていますね。
さて、周囲の長閑な環境に心がほっこりしたところで、中へお邪魔します。
出入口を入って左側にはロッカーがありますので、貴重品はこちらへ預けましょう。
こちらは無人施設です。受付の方はいらっしゃいませんので、入浴料は出入口付近に置かれている小型の券売機で購入します。何事も値上げが続く昨今ですが、なんと200円という大変ありがたい料金設定です。
なお脱衣室内には扇風機が取り付けられている他、当地は豪雪地帯ですから、冬にはオイルヒーターがつけられるようです。
無人施設とはいえ、管理人の方が定期的に見回りに来るらしく、こちらのローカルルールとして、脱衣室で服を脱いだら、入浴券に名前を書き(ペンは券売機の傍にあります)、自分の荷物の上へ券を見えるように置くことになっています。平和な空気に覆われている長閑な浴場ですが、過去には何かあったんでしょうね。
シンプルイズベストの浴室。余計な装飾どころか余計な設備もほとんどありません。仮設じゃないのに仮設感たっぷりのこの雰囲気にマニア心はイチコロです。浴槽の大きさは(目測で)2✕4メートル。上屋はプレハブですが、床と浴槽はモルタルで、その上にグレーの防水塗料を塗っています。防水塗装ってことは滑りやすいのでちょっと注意。
浴室の左右に洗い場があり、それぞれシャワーがひとつずつ。石鹸などの備え付けはありませんので、事前に用意して持参しましょう。
先程見ました浴舎横の貯湯タンクにつながっている耐熱塩ビ管から、加温された源泉が浴槽へ投入されています。浴槽内の女湯側には穴があいており、男女両浴槽でお湯が行き来しているようです。訪問時には浴槽からのオーバーフローが見られなかったのですが、もしかしたら男湯のお湯はこの穴を通じて女湯側から排出されていたのかもしれません。
お湯は無色透明ですが、湯中では茶色い埃みたいな湯の華が浮遊しています。湯口のお湯を口にしたところ、味はあまりないのですが、そのかわり湯面でアブラ臭がしっかりと香ってきました。また、湯中ではアルカリ性単純泉にありがちなツルスベの滑らか浴感ではなく、どちらかと言えばやや引っかかるような浴感が肌に伝わってきました。
上述の券売機付近に長野県温泉協会フォーマットの湯使い説明が掲示されており、それによればこの温泉の泉質は「ナトリウム-塩化物泉」と表記されているのですが、同じく館内に掲示されている令和2年の資料では「アルカリ性単純泉」となっており、ここ数年で泉質が変わってしまったか、あるいは泉質名が付けられる溶存物質量1000mg前後を上下しやすい温泉なのかもしれません。ただ残念ながら分析表は掲示されていなかったので、詳しいことはわかりません。
なんだかんだで入り心地の良いお湯であり、タイミングよく他のお客さんが来ず独り占めできたので、ついつい長湯してしまいました。渋い佇まい、周辺の雰囲気、そしてアブラ臭漂うお湯という、マニア心をくすぐる三拍子が揃った素敵なお風呂でした。
アルカリ性単純温泉 27.6℃
(分析表見当たらず)
(令和2年9月28日)
長野県下水内郡栄村大字堺1226-1
問い合わせ先:栄村役場商工観光課 0269-87-2702
5月~10月(夏季)→14:00~19:30
11月~4月(冬季)→14]00~19:00
日曜定休
200円
ロッカーあり、石鹸類・ドライヤーなし
私の好み:★★★
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