(2022年9月訪問)
日本には温泉地が星の数ほどありますが、比較的有名にもかかわらず温泉ファンからの評判が芳しくない温泉地もいくつか存在します。静岡県西部の舘山寺温泉はその典型と言えるでしょう(関係者の皆様、名指しして申し訳ございません)。ファシリティもサービスも良いのに温泉ファンが納得しない理由は、正直申し上げればお湯の質に難があるからです。舘山寺温泉は風光明媚な浜名湖畔に比較的規模の大きな旅館や日帰り入浴施設が約20軒も営業しており、それぞれが大きな浴室と広い浴槽を擁しているのですが、にもかかわらず2つしかない源泉のお湯をこの約20軒で分け合っており、源泉の湧出量はわずか毎分66.6リットル。ということは1軒当たりの配湯量が相当少なくなり、その一方でそれぞれが広い浴槽を有しているのですから、かけ流しなんて夢のまた夢。ほぼ全ての施設で加温加水循環を行い、温泉のお風呂と言いつつも元々の源泉の姿はほとんど消えてなくなっているのが実情なのです。温泉ファンは津々浦々の温泉を巡ってそのお湯の質や個性を楽しむことに関心がありますから、残念ながらこのように個性を失ってしまった温泉には興味を示さないのです。
しかし、そんな固定概念や思い込みを覆してくれるお宿に出会いましたので、今回記事にしてご紹介させていただきます。そのお宿は「旅館ふじや」。規模の大きな旅館が多い舘山寺温泉では珍しい家族経営の民宿みたいな小さなお宿です。結論から申し上げますと、このお宿はお湯が良い! どんなお湯だったのかを含めてレポート致します。
こちらのお宿は浜名湖の湖岸に位置しています。上画像は湖畔の砂浜から撮ったもので、夕陽を受けて宿全体が赤く染まっていますね。6室ある客室全てから浜名湖に沈む夕陽が望めます。
一方、こちらは客室の窓から外を眺めた様子。
こんな感じで浜名湖は客室の目の前なのです。
目の前の砂浜は湖水浴場「サンビーチ」。
風がない日は全く波が立たず非常に静か。
お部屋は8畳に広縁がついた和室。Wifiが完備されているほか換気機能付きの新しいエアコンも取り付けられています。なお洗面台やトイレなどの水回りは共用で、冷蔵庫や金庫はありません。
夕飯は別室にていただきます。海産物を中心とした献立で、刺身、酢の物、茶碗蒸し、自家漬けの西京焼、ローストビーフ、天ぷらなどいずれも美味。なお汁物は赤だしでした。
浜名湖と言えばウナギですよね! メインディッシュとしてウナギのかば焼きが提供されました。言わずもがなの美味しさに頬が落ちてしまいました。
この他、食後のデザートとして梨が出されました。浜名湖界隈は梨の産地でもあるんですね。甘くてジューシーで大変美味でしたよ。
こちらは朝食。夕飯と同じお部屋に移動していただきます。シラスなどご当地らしい食材を取り入れながら、野菜や魚・肉・植物性タンパク質などバランスがとれた献立で、こちらも美味しくいただきました。
肝心のお風呂については次回記事で取り上げます。
次回に続く。
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