温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ハンガリー エゲルサローク Salt Hill Rogner Thermal Spa

2009年10月26日 | ハンガリー
ハンガリー北東部に位置する高原の町エゲルは街中に古い文化財が数多く残る城下町で、ブダペストから比較的近い場所にあるため、いつも多くの観光客で賑わっています。このエゲルから西方へ約7キロバスに揺られたところにあるのが温泉地エゲルサロークで、トルコの世界遺産パムッカレを思わせる真っ白な石灰棚と、そこから湧く湯量豊富な温泉が有名です。

数年前までは石灰棚から湧く温泉を、そのまま露天で野湯のようなスタイルで湯浴みすることができたそうですが、現在では開発が進み、石灰棚から引湯された温泉の他にプールやサウナ・エステなど様々な施設が整備された一大スパリゾートとして生まれ変わりました。本当ならば開発される以前の野趣溢れる温泉に入ってみたかったのですが、今となってはもう無理ですし、また、新しいリゾート施設に関する日本語の情報を書籍でもウェブ上でもあまり目にしなかったので、ものは試し、どんなところなのか実際に行ってみることにしました。ここでは現地に行くまでのプロセスを含めて紹介してまいります。

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①列車とバスを乗り継いで、ブダペストからエゲルサロークへ
ブダペストからエゲルへは直通列車もあるのですが、停車駅が多く所要時間が嵩むので、途中駅まで特急に乗ってそこからローカル線に乗り換えてエゲルへ向かうことにしました。まず7:33にブダペスト東(Budapest keleti)駅を出発するインターシティー657列車に乗車(ハンガリーのインターシティーは全列車座席指定です)。1時間20分強の乗車、Füzesabony駅で下車し、エゲル(Eger)行のローカル列車に乗り換え、20分弱の乗車、定刻より約10分遅れでエゲルに到着。ローカル線らしい閑散とした駅を出て1ブロック先を右に曲がると、街路樹が綺麗なデアーク・フェレンツ(Deák Ferenc)通りになりますので、緩い上り坂になっているこの通りを1キロ強(15~20分)歩きます。しばらくすると正面に大聖堂が聳え立っており、そして大聖堂のまわりを囲む緑豊かな公園の中にバスターミナルがあります。

ロータリー状のバスターミナルには次から次にバスが発着していますが、エゲルサロークの温泉へ行くバスは運行本数がかなり少ないので要注意です。エゲルサロークへ行くバスなら本数も多いのですが、温泉はエゲルサロークの更に奥に位置しており、そこまで足を伸ばすバスは少ないのです。インフォメーションに"Salt Hill Rogner Thermal Spa"のホームページのハードコピーを見せて、どのバスに乗るべきか聞いたところ、10:15に7番乗り場から出るKerecsend行(Demjén経由)に乗れ、とのこと。幸い20分ほどの待ち合わせでそのバスに乗ることができました。尚、このバスを乗り過ごしていたら次は14:10まで待たねばなりません(バスターミナルには発車案内の電光掲示板があります)。

バスの運転手に先ほどのハードコピーを見せて目的地を知らせて乗車し、エゲルから約15分で温泉前へ到着。辺りには畑と林以外何もありません。バス停近くには広い駐車場があり結構な台数の車がとまっています。そしてその奥にリゾート施設らしき建物がちらちらと窺えます。その建物の方向へ歩くこと約5分、視界の右手には真っ白な石灰棚が見え、そして正面には鮮やかな青いプール群を前にして"Salt Hill Rogner Thermal Spa"聳え建っていました。建物の下層階はリゾート施設として使われ、上層階はホテルの客室のような構造になっているのですが、その上層階はまだ工事中で(あるいは工事途中でストップされたまま)、一般客は立ち入れないようになっていました。

 
ブダペスト発のインターシティー657列車及びその車内。結構混んでます

 
Füzesabonyから乗り換えたローカル列車とその車内。
インターシティーとは打って変わって、実に長閑な雰囲気です。


エゲル駅はローカル線らしく、質素で閑散とした駅です。

 
左:ロータリー状に丸くなっているバスターミナル
右:7番乗り場から出るKerecsend行バス。乗客が多く、ほぼ満席で出発


バス停を下り、いかにも開発しましたといわんばかりの開けた一本道を歩くと、この画像のように、右手に白い石灰棚が、正面にスパリゾート施設が見えてきます。リゾート施設の上層階は工事中なのか、まだ入れない状態です

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②入場、そして入浴へ
新しいだけあってエントランスはとても綺麗ですが、綺麗過ぎてどこか無機質な感が否めません。受付窓口はまるでテーマパークのように、窓口とゲートが一体型になっているものが何列か並んでいるのですが、私が訪れた時は一箇所しか機能しておらず、しかも窓口のお姉さんも実に無愛想。ちょっと不安になりながら料金を支払い、安物の腕時計のようなリストバンドを受け取ります。このリストバンドで入退場の記録他、ロッカーや場内の買い物にも用いられます(場内の買い物や飲食で現金を使うことは無く、全てリストバンドのICチップによって購入履歴が管理され、退場時に精算するシステムとなっています)。

ロッカールームでもリストバンドが活躍。まず係員にバンドを渡すと、係員は専用の機械にそれをかざし、これにより私が使うロッカーの番号が指定されるので、そのロッカーに向かいます。ロッカーにもリストバンドをかざす受信部があるので、そこにタッチして扉を開け、着替えを済ませて荷物を入れたら扉を閉めて再び受信部にバンドをタッチして施錠します。

パウダールームを通って出ると、そこはウォータースライダーが設けられた屋内プールでした。親子連れが欣喜雀躍として水遊びに興じています。ここは温泉ではないのでパス。このプールが結構大きいので、温泉はないのかもしれないと、受付窓口で感じた不安を増幅させながらプールを通り過ぎたら、奥の方に温泉槽がありました。屋内で若干薄暗いのですが、広々としていて悠々と湯浴みできる浴槽です。壁には「0~12歳はダメ」「深さは0.9m」「38℃」「入浴は30分以内」という意味を表す図案が掲示されていました。お湯は白濁しており、硫黄の匂いに加えて弱いながら泉質由来と思われる(クレゾールのような)薬品臭が湯面から漂っています。甘みと石膏の味。石灰分が濃いためかギシギシとした浴感です。またじっと浸かっていると細かな気泡が全身にびっしり付着します。気泡がつくということは温泉が新鮮であることの証左でしょう。完全なリゾート施設と化した温泉ゆえにお湯は期待できないものと高を括っていましたが、なかなか本格派です。日本ではあまり見られない泉質ではないでしょうか。大きな窓の外を見ると真っ白な石灰棚が目の前に迫っています。あそこで湧いたお湯に浸かっていると思うと、なんだか嬉しいものです。この温泉槽も単に入浴するだけの槽もあれば、洞窟風呂になっているものもあり、また温泉水ではないのですが、ヨーロッパには珍しい42℃の温浴槽もあったりと、いろいろと趣向を凝らしたお風呂が設けられていて、どんなお風呂や設備があるのか探検気分で施設内を巡るのも面白いでしょう。

温泉槽は屋内だけではなく、露天風呂もありました。外へ出ると、二重になった大きなプールのような円形の浴槽に、温度が別々に設定された温泉水が張られています。石灰棚を眺めながら温泉にじっくり浸かることができるわけです。なお屋外プールは中央を境にして左が普通のプール、右側が温泉プールとなっており、温泉プールについてはそのことがわかるように境界付近に"Medicanal Water"と記された表示がありました。ヨーロッパで温泉は行楽や保養のみならず医療目的に用いられますので、このような表現になるのでしょう。先ほど「入浴は30分以内」という掲示があることを述べましたが、これも温浴療法に適した入浴時間だと思われます。

源泉掛け流しを実感できるかつての野趣溢れる温泉を堪能することはできませんが、緑豊かな自然の中、設備の整った綺麗なスパリゾートで白い石灰棚を眺めながら、硫黄の匂い漂う良質な白濁の温泉に浸かるのも、なかなか爽快なものです。温泉ファンなら60℃の温泉が音を立ててドバドバ湧いている石灰棚を見るだけでも、十分に興奮できるのではないでしょうか。

 
左:綺麗なロッカーがずらっと並ぶロッカールーム
右:ウォータースラーダーのある屋内プール

 
プールの奥にある温泉槽。白濁したお湯です。

 
歩行湯(左)や42℃の浴槽(右)もあり、バラエティーに富んでいます

 
石灰棚を目の前にして入浴できる露天の温泉プール

 

エゲルサロークの石灰棚。トルコのパムッカレと比べればはるかに小さなものですが、真っ白い石灰の段々状の棚から、シューシュー・ゴボゴボと音を立て、硫黄の匂いを強く漂わせながら温泉が湧き出る様は、なかなかインパクトがあります

 
このように石灰棚のあちらこちらからドバドバと勢いよくお湯が湧いています


温泉分析表

行き方は上記①をご参照ください
※バスは休日になると本数が激減しますので注意を要します
 往路のエゲル発Kerecsend行の時刻表
  金槌が交差したようなサインは月~金運転。
  ○の中に金槌が交差したようなサインは日祝日を除く毎日運転。
  十字印は日祝日運転
 復路の温泉前発エゲル行の時刻表
  左が月~金、真ん中が土曜、右が日曜。ご覧のように日曜は殆ど運転されません
 バス運賃は片道200フォリント
 (いずれも2009年7月現在のものです)
※2013年2月19日追記:みいさんが上記路線バスの最新の時刻をコメント欄に書き込んでくださいました。当ページ下部のコメント欄をご参照ください。

所在地:Forrás 4. Egerszalok 3394 地図
電話:(36)688-500
ホームページ
(英語のページもあり、かなり詳しい情報が載っています)

10:00~20:00 無休
2500フォリント(デポジットは無し)

パウダールーム内にドライヤーあり
更衣室は男女共用(更衣用個室有り) 水着着用
構内は広いので、ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★★
コメント (6)
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ハンガリー ブダペスト ゲッレールト温泉

2009年10月25日 | ハンガリー


ブダペストのブダ側、ドナウ川を臨むゲッレールトの丘の麓に建つダヌビウス・ホテル・ゲッレールトは1914~18年にかけて建築されたアールヌーヴォー様式の内外観を持つ豪華なホテルで、この内部にブダペスト人御用達の温泉であるゲッレールト温泉があります。この温泉はホテル宿泊客なら自由に入れるほか、外来客も所定の料金を支払うことによって入浴することができます。

正面入口はホテル専用なので、外来入浴する場合は右手の温泉専用入口へと廻ります。温泉専用とはいえその入口はなかなか重厚なもので、こちらがホテルの入口であってもよいほど立派です。中に入ると、これまた豪華。大理石の柱に支えられた高いドーム天井の横にはステンドグラスの窓が並び、そしてその奥にはアーチ状のガラス天井が燦燦と降り注ぐ表の陽光を温泉のホールへと集め、左右そして最奥に立つ彫刻の像が入場客を出迎えてくれます。ここが温泉浴場であるとはとても思えません。まるで歌劇場のエントランスホールへ迷い込んだかのようです。


正面のホテル入口近くには、温泉入口がある方向を示す案内看板があります

 
こちらが温泉入口です。なかなか荘厳です。


まるで美術館か歌劇場かのようなエントランスホール


入口すぐの窓口で料金を支払いカードとレシートを受け取ります。回転ゲートを回して先へ進むと、正面向かって左手に売店があり、右手はゲート側から順に女性更衣室入口、プール入口、男性更衣室入口となっています。
さて更衣室に入るわけですが、ここからは伝統的なハンガリーの温泉でよくある入浴手順となりますので、箇条書きで説明します。
①窓口で貰ったカード及びレシートを更衣室の係員に提示する
②係員がキャビン(いわゆる脱衣のための個室。他の場所ではロッカーの場合もある)へ案内してくれる
③キャビン内で水着に着替える(地元の人は、伝統のハンガリー版ふんどしを着用します)
④着替え終わったら、施錠と開錠専門の係員がいるので、その人に鍵を閉めてもらう。その際、自分のキャビンの番号をしっかり覚えておくこと。施錠の際に鍵の引換証を渡してくれますが、引換証の番号とキャビンの番号は全く関連性がないので、同じようなキャビンが並んでいると、自分のキャビンがどこだったか、番号を憶えていないとわからなくなります。
⑤シャワーを浴びていざ入浴(浴槽はあくまで温まるためのもの。体はシャワーでしっかり洗うこと)
⑥入浴が終わって服に着替える際は、施錠と開錠専門の係員に自分のキャビンの番号を申告し、鍵を開けてもらう。キャビン内の長椅子にはシーツのような布が敷いてあり、これをタオルとして使ってよい(ただし単なるシーツと同様のものなので、非常に拭きにくい。タオルを持参すべき)
⑦着替え終わったら、係員にチップを手渡す。相場は100~200フォリント。仏頂面の係員もこの時だけは満面の笑みを浮かべる
場所によって若干異なるかと思いますが、大まかにはこのような要領になるかと思います。

エントランスが豪華ならば浴室もすごい。蒲鉾のような半楕円の天井は大きなドームになっており、その中央はガラス天井になっていて、これによる採光が照明代わりとなっています。側壁もエキゾチックな翠のタイル貼りで、無論単色ではなくいろんな幾何学的模様が施されています。これをトルコ調というのでしょうか。お風呂は大きく分けて36℃の槽と38℃の槽のふたつで、この他に何種類かのスチームバスやサウナが設けられています。水飲み場も2ヶ所あって、汗を流して水分が欲しくなったときに役立ちます。新聞を持ち込んだり、あるいは読書に耽ったりと、みなさん思い思いに入浴を楽しんでいました。私は水着で入浴しましたが、地元の老翁はハンガリー版ふんどしを締めていました。一見すると越中褌のような形状なのですが、日本の褌は股をしっかり布で締めるのに対し、こちらの褌は日本の死装束の白い天冠のようなもので、ただエプロンのように前に布1枚をぶらさげて大事なところを隠すだけなので、お風呂に入ると思いっきり透けてしまうのとともに、布がお湯に流されたり浮いたりするので、隠すという意味ではあまり役に立っていないようです。

お湯は無色透明で無臭、ほんのり甘い味がしました。浴感はどちらかというとキシキシとした肌触りでした。湯口にはこんもりと析出が付着していましたので、カルシウム分が濃いのではないかと推測されます。湯口まわりは赤茶色に染まっていましたので、これも泉質由来のものと思われます。
私はれっきとした日本人なので、36℃の槽と38℃の槽を目の前にしたときは迷わず38℃の方に入りましたが、地元の方をはじめ皆さん36℃の方を選ぶ傾向にありました。ヨーロッパの人はぬるいお風呂が好きなのでしょう、日本のお風呂は熱くて入れたものではないのかもしれません。

今回プールには入りませんでしたが、ここには屋内の他屋外にもプールがあり、温泉入浴のみならず水泳も存分に楽しめます。とりわけ屋外プールは毎時ちょうどから約10分間波乗りが楽しめるそうで、観光客にとても人気だそうです。温泉にサウナにプールと、まるで健康ランドを思わせるラインナップで、老若男女問わず楽しめる施設ではないでしょうか。また、風格のある建物のなかで優雅な湯浴みができるのも、ここブダペストならではでしょう。


屋内プール


タイル装飾が美しい内湯


トラム47番または49番 Szent Gellert停留所下車すぐ
(トラム47番・49番はデアーク広場が起点で、途中地下鉄M2線のAstoria駅やM3線のKalvin ter駅でも乗り換えることができます。トラムがドナウ川に架かる自由橋(Szabadsag hid)を渡れば、すぐSzent Gellert停留所に到着します)


49番トラム

所在地:kelenhegyi ut 4  地図
電話:(1) 466-6166

温泉 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
プール 夏季(毎日)6:00~22:00、 冬季 月~金 6:00~19:00、土・日 6:00~17:00
(屋外プールは5~10月のみ)
3100フォリント(2時間)
尚、セーチェニ温泉同様、こちらの料金もデポジット制となっており、2時間以内で出場すれば400フォリントが戻ってきます(3時間以内の出場で200フォリント返金)。
※ハンガリーは現在結構なペースでインフレが進んでいますので、必ずしもこの金額であるとは限りません

更衣室内にドライヤーあり
男女別 水着着用可
ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★
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ハンガリー ブダペスト セーチェニ温泉

2009年10月24日 | ハンガリー


ハンガリーはヨーロッパ屈指の温泉大国であり、至る所で温泉が湧いています。なかでも首都ブダペストは100を超す源泉と50近い浴場が存在している温泉都市であります。ハンガリーの温泉の歴史はとても古く、ブダペストが古代ローマ人に征服された約2000年前まで遡るそうです。その後16世紀になるとトルコ支配時代がやってきて、トルコ式の入浴スタイルが普及し、社交場として温泉が発展。1937年国際沿療学会議でブタペストは国際治療温泉地に認定され、第二次大戦後には更に源泉の開発が進み、ブダペスト市民に広く愛されるようになっています。

ペスト側の街の中心から北東にある市民公園には、温浴施設としてヨーロッパで最大規模を誇るセーチェニ温泉があります。地下鉄M1線Szechenyi furdo駅を出てすぐ目の前なので、迷うことはないでしょう。ローマの宮殿を模して建造されたという黄色い風格のある建物は、当地がまだオーストリア・ハンガリー二重帝国だった1913年(プール等は第一次大戦後の1923年)に建てられたそうです。

入口は何箇所かあって温泉入口とプール入口とに分かれているようなのですが、どこから入ってよいか迷った挙句、私は通りに面した正面入口から入ってみました。どうやらここはプール入口のようで、平日だというのに学生連れを中心に多くの人で賑わっていました。玄関ホールの左右には窓口があり、まずここで料金を支払い、カードを受け取ります。そしてゲートにあるタッチセンサーにカードをかざし(これにより入場時間を記録しているようです)、回転ゲートを回して中へと入ります。ゲートを通過してすぐ目の前にずらっとキャビン(個室の更衣室)が並んでいますが、私の料金にはキャビン使用料が含まれていないので、階段を下りて半地下のロッカールームへと向かいます。階段を下りて右が男、左が女となっていました。ロッカーは空いているところを自由に使えます。ロッカーに鍵をかける際は、受付で貰ったカードをロッカー扉の裏にある挿入口に差し込むと鍵が使える状態になります。


プール入口


温泉入口


着替えを済ませて、いざ温泉プールへ。プールは3つ。中央のものは長方形の大きなプールで、夏は26℃、冬は28℃に設定されており、みなさんクロールや平泳ぎで真剣に泳いでいらっしゃいます。また、それを挟むように左右両サイドには温かい温泉水がはられた半円形の槽があり、こちらでは老若男女を問わず多くの人が思いおもいに温泉と戯れています。表示によれば通年37~38℃に設定されているそうですが、実感としてはもうすこしぬるいかもしれません。でも長く浸かるにはちょうど良い湯加減で、広々とした温泉にじっくり身を沈めたら、旅の疲れも一瞬で吹っ飛んでしまいました。


中央にある長方形のプール


右側の温浴槽。打たせ湯が人気です。


プールサイドではチェスに興じるおじさんの姿も


入れる槽はこれだけかと思いきや、プールを挟んで入口と反対側に立つ建物をよく見ると、小さな出入口から水着姿の人が次々に出たり入ったりしています。マジャル語で何やら書いてありますが全く意味がわからないまま恐る恐る建物の中に入ってみると、内部にはいろんな浴槽があるではありませんか。それぞれ34℃から38℃の間で湯温が設定されており、ただ浸かるだけの槽もあれば、流水槽もあり、インストラクターに従ってお湯の中で運動をする槽もあり、またサウナもあり、実にバラエティーに富んでいます。特に中央の浴槽は優美な宮殿様式で、窓が広くとられてとても明るく、38℃設定の槽もあるので熱いお風呂を好む日本人でも満足できるかと思います。尚、文頭の方で入場口は温泉とプールに分かれていると書きましたが、このように内部でつながっているので、どちらから入っても問題ないようです。


内湯の中央にある浴槽で38℃。


こちらの半円形の浴槽は34℃。窓から日が差して明るく気持ちよい


インストラクターに従ってエクササイズをする槽もあります


36℃の浴槽。じっくり浸かれます。付近にはサウナも。


温泉水は薄っすら緑色を帯びた透明で、若干濁っているようにも見えます。シャワーから出てくるお湯も温泉だったので口に含んでみると、甘いような味が感じられ、また鉱物油のような微かな匂いも漂ってきました。いろんな湯温の槽を梯子して、それぞれの良さを楽しみました。

正直なところ、悲しいかな日本の熱いお湯に慣れ親しんでしまった私の体は38℃のお湯でさえも聊か物足りなさを感じてしまったのですが、日本のように42℃以上の湯温ですと、高い温度に体が耐え切れず長湯できにくい、あるいは長湯すると体の負担になってしまう傾向にあります。しかし38℃前後ならば副交感神経が働いて全身にリラックス効果がもたらされるだけでなく、じっくりと長湯できるので温泉の効能を受けることができるわけで、この温泉のように熱くても38℃に設定されているのは実に合理的といえそうです。

温泉・プールから出場する際は、出口の機械にカードを挿入すると返金レシートが印刷されて出てくるので、これを受け取って窓口に出すと、入場から2時間以内に出場していれば300フォリントが返金されます。

地下鉄の駅の目の前で交通の便がよく、しかも多くの人で賑わっていてとても入りやすいので、日本の温泉とは全く違う大規模で多様な異国の温泉を楽しむにはもってこいの施設かと思います。


温泉分析表です


地下鉄M1線Szechenyi furdo駅下車すぐ
所在地:Allatkerti krt. 11.  地図
TEL:(1)363-3210

温泉 月~金 6:00~19:00、土 6:00~13:00、日曜定休
プール 6:00~22:00
3000フォリント(2時間)
2時間以内の出場で300フォリントが返金
※ハンガリーは現在結構なペースでインフレが進んでいますので、必ずしもこの金額であるとは限りません

ロッカールームの廊下にドライヤーあり
水着着用・混浴
構内は広いので、ビーチサンダルを持参することをおすすめします

私の好み:★★★
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小安峡温泉 元湯共同浴場・山神の湯

2009年10月23日 | 秋田県


前回に引き続き、今回も秋田県湯沢市です。市町村合併によって湯沢市に吸収された旧雄勝郡皆瀬村には、村域を流れる皆瀬川が山を削って作り出した渓谷「小安峡」という景勝がありますが、谷底の岩を穿って98℃にも達する蒸気が勢いよく噴出している「大噴湯」がこの渓谷随一の観光名所になっていることからもわかるように、辺り一体は湯量豊富な温泉地としても知られています。国道398号線沿いには小規模ながら温泉宿が建ち並び、また渓谷を散策する客向けに何箇所か足湯も設けられています。


小安峡名物「大噴湯」。熱湯の蒸気が勢いよく噴出しています

 
国道沿いにはこのような足湯が点在しています


小安峡温泉には2軒の共同浴場があり、ひとつは一般客にもわかりやすいものなのですが、もうひとつは殆ど地元民専用で表には何ら看板も立っておらず、予めそこに浴場があることを知らなければ誰しもがその存在に気づかない、知る人ぞ知るお風呂なのです。今回はその知られざるお風呂「元湯共同浴場・山神の湯」にスポットライトを当ててみたいと思います。

国道から旅館「元湯くらぶ」の脇の小道を入ると、視界の先には民家が数軒建っており、そして「ご入浴される方へ」と書かれた看板が目に入ってきます。この看板により、この先に外来客でも入浴可能なお風呂があるんだな、ということがわかります。看板には「佐藤好子宅・伊藤ユキ子宅のどちらかで200円お支払いして入浴下さい」と書かれています。つまりこれから目指す浴場に入るには、その手前の民家で料金を支払う必要があるということです。私は国道に近い佐藤さん宅に200円支払いました。玄関先に料金を入れる籠が置いてあったのですが、その存在に気づかず、つい声を張り上げて佐藤さんをわざわざ呼び出してしまいました。それでも笑顔で料金を受け取り「ごゆっくりどうぞ」と仰って下さった佐藤さんに感謝です。


こんな看板が立っています


民家で料金を支払います


小道のどん詰まりに浴場はありました。浴場というより納屋という表現が相応しい外観で、やや硬めの引き戸を開けると男女別の脱衣所がありました。脱衣を済ませて浴室に入ると、浴室は男女共通、つまり混浴です。小さな納屋のような建物ですが手入れは行き届いており、なかなか清潔感があります。浴槽はコンクリート打ちっぱなしのものですが、それに木の縁を取り付けたり、またスノコを敷いたり板で内壁を囲ったりと、木材を多用してコンクリートの冷たい質感を極力打ち消すよう配慮されています。

また源泉パイプからのお湯は非常に熱いのですが、このお湯が浴槽上の小さな枡に一旦落とされ、そこで源泉のお湯とほぼ同量の冷たい水と混ざり、ちょうどよい湯加減となって浴槽へと注がれる仕組みになっていました。加水もあってか供給量は多く、ふんだんに浴槽からお湯がオーバーフローしています。お湯は無色透明、ほぼ無味で、湯口で微かに燻したような硫黄の匂い、そして石膏の匂いが感じられました。すべすべする肌触りでとても気持ちよいお湯です。
熱いお湯が供給される小さい浴室は熱気が篭りがちですが、ここは常時換気扇がまわっているので、湯気でムンムンするようなこともなく、ゆっくりのんびりお湯を堪能することができます。

小さく質素ながらも、お湯の良さをしっかりと味わうことのできるお風呂です。しかしながら、あくまで地元の方のためのお風呂でありますから、大人数での訪問やマナーを逸脱するような入浴、佐藤さんや伊藤さんにご迷惑が及ぶような訪問は厳に謹んでいただきたく思います。




触れない程熱いお湯と水が枡で混合され、浴槽へ注がれます


温泉分析表の掲示なし(おそらくナトリウム-塩化物・硫酸塩泉)

秋田県湯沢市皆瀬
地元の方用のお風呂であることを考慮してここでは地図の掲載を控えます。
皆瀬観光協会のホームページのどこかに元湯共同浴場の場所を記したマップがありますので、探してみてください

入浴可能時間:20:00まで(OPEN時間は不明。常識の範囲内で)
200円

私の好み:★★★
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下の岱温泉 やまの湯っこ

2009年10月22日 | 秋田県


秋田県湯沢市。国道13号及び湯沢横手道路の須川から県道51号線を泥湯温泉及び小安峡方面へ向かう途中、三途川渓谷を過ぎてちょっと走った路傍に「やまの湯っこ」の看板が立っていますので、この看板に導かれて山を登る細い一本道をひた走ると、やがて視界が開けて山腹から白い湯煙が濛々と立っている場所に出くわします。そして道の右側に今回目指す「やまの湯っこ」があります。

奥へ入った場所にあるためかお客さんはそう多くないようで、私の訪問時も誰もおらず、宿の奥さんは座敷の窓際で横になって夢の国へお出かけしている最中でした。気持ちよさそうに寝てらっしゃったので起こすのは忍びなかったのですが、無断で入るのも気が引けるので、やむを得ず声を掛けて現の世界も戻ってきてもらいました。
男女別の浴室は割りと広めで、大きめの内湯がひとつずつあり、男女間は岩で仕切られ、浴室の床と浴槽の底には輪切りにした木が埋め込まれています。浴槽は大小ふたつに仕切られており、それぞれ中央の底からブクブクとジェットバスのように泡が出ています。湯温について、大きい方は入れないほど非常に熱く、小さいほうは丁度良い湯加減でした。大きいほうに水のホースを入れて薄めてみましたが、なかなか湯温が下がらず入浴を断念。小さいほうだけの入湯となりました。

無色透明のお湯からは硫黄の香りが漂い、微かにたまご味が感じられました。湯口のゴムホースには白や黄色の硫黄がびっしりと析出しています。熱くて無色透明で硫黄の味・匂いがする温泉なら他にもいろいろとありますが、ここのお湯で特徴的なのはその感触。非常に強いヌルヌルスベスベ感を有しているのです。うなぎ湯と称される宮城県の中山平温泉もヌルヌルするお湯として有名ですが、それに匹敵するほどで、何度も肌をさすってそのヌルヌルスベスベ感を愉しんでいるうちに、すっかりこのお湯の虜になってしまいました。ただしヌルヌルするお湯ゆえに床はすべりやすく、私は床に埋め込まれた輪切りの木で思いっきり滑ってしまいました。なお、カランから出るお湯も温泉ですので、同様にヌルヌルを楽しめます。

ここのお湯は日本屈指のヌルヌル湯なのではないでしょうか。泥湯や川原毛地獄などの観光名所に近い場所ながら、あまり人に知られていない、隠れた名湯です。




白や黄色の硫黄分で覆われた湯口のホース


アルカリ性単純泉
(温泉分析表の掲示なし)

秋田県湯沢市高松下ノ岱48 地図
0183-79-3245

9:00~16:00
300円
シャンプーあり(ドライヤー・ロッカーは無し)

私の好み:★★★
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