前回記事「ジャワ島を鉄道で横断 その1(バンドゥンで"Argo Wilis"号に乗車)」の続編です。
●バンドゥンを出発
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小雨がそぼ降るバンドゥン駅(標高703m)を定刻8:30に出発。
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標高の高いバンドゥンから徐々に山を下ってゆくため、線路は山あいを縫うように敷かれており、列車はカーブの連続でゆっくりと走っていきます。車窓には棚田や熱帯雨林などジャワ島らしい美しい景色が続きました。
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やがて周囲の水田と線路との高低差がなくなり、平地まで下り切ると列車のスピードも徐々に上がっていきました。
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14:00頃、クロヤ(Kroya)駅に停車しました。標高11m。5時間半で700mの高低差を下ってきたんですね。なお定刻は13:41着のはずですから、この時点で既に20分ほど遅延していたことになります。
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駅構内では石油を積んだ長編成の貨車が停車中。
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クロヤ駅では10分ほど停車するのですが、その時間を利用して、私をはじめとした乗客たちは、外に出て体をストレッチ。一方、車両の屋根上では係員が給水作業中。
●車内でランチ
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長距離列車ですから、食堂車があっても不思議ではないのですが、合理化のためなのか本格的な食堂車は無く、そのかわり簡単なギャレーが設置された車両が編成の中ほどに連結されていて、車内を巡回しているアテンダントに注文すると、座席まで食事を持ってきてくれます。また車内販売のワゴンもあります。上画像は車内で注文できる食事のメニューです。ただし"Pre Order"と書かれているものは予約制ですし、また列車によっては実際に注文できるものが限られているようですから、選択肢の幅はあまり広くないみたい…。
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直接カウンターへ出向いて注文することも可能。私はギャレーの様子を見学したかったので、実際にその車両へ行ってみました。ギャレーといっても、そこで調理しているわけではなく、たくさんの電子レンジを使って、フリーザーから取り出した冷食を次々に解凍しているだけでした。
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私がいただいたのは、Rp30,000の"Nasi Uduk"(ナシ・ウドゥック)。お米をココナッツミルクやハーブなどで炊いた、インドネシアではポピュラーな料理のひとつですね。冷食ということもあり、見た目は貧相ですが、味はまぁまぁかな。
●低地を快走
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クロヤ以東は(部分的かもしれませんが)複線化されているらしく、低地を走る列車は順調にスピードを上げて快走し続けました。
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16:20頃、ジョグジャカルタに停車。定刻は15:56着、16:02発ですから、クロヤで確認した約20分の遅延を引き摺ったまま走行していたようです。世界遺産「ボロブドゥール」の最寄駅だけあり、バンドゥンから乗車してきた乗客の多くはここで下車し・・・
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車内は一気にガランとしてしまいました。ジョグジャカルタを出発した後の車窓も、ひたすら真っ平らな耕地や緑地が広がるばかり。そんな車窓にすっかり飽きた私は、いつの間にか夢の世界へ。
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でもエアコンの調子が悪いのか、車内は暑くなったり寒くなったりと、極端な上下を繰り返すので、熟睡することはできません。また、壁に掛けてある機器(左or上画像で号車表示「07」の左に写っている縦長の装置)から定期的にプシュっと芳香剤と思しき液体が噴霧されるため、装置直下に座っている私はその度に芳香剤の霧を浴びて、全身が安っぽい香水みたいなキツイ匂いまみれになってしまいました。
さらには、台車が昔ながらのコイルバネであるため(右or下の画像)乗り心地があまり良くなく、場所によっては上下左右によく揺れ、大きく揺れる度に目を覚ましてしまいました。
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17:05、ソロ駅に停車。この駅から乗り込む客が多く、ジョグジャカルタで空いた座席は再び埋まっていきました。
夕刻になると車窓は暗くなり、やがて真っ暗になって何も見えなくなったのですが、夜8時半頃になると車窓に街の明かりが灯りはじめ・・・
●スラバヤに到着
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20:45に終点のスラバヤ・グブン(Surabaya Gubeng)駅に到着しました。定刻は20:19着ですから、25分ほどの遅延ですね。単線が多く、しかも長距離を走っている列車でありながら、この程度の遅れで収まったのですから、上出来ではないでしょうか。さすがに12時間以上も乗車し続けていると、体の節々が痛くなって精神的にも鬱屈してしまうので、ホームに降り立ったときには思いっきり両腕を天高く上げ、関節を伸ばしながら思いっきり深呼吸し、「やっと着いた」と思わず口にしてしまいました。
なお、スラバヤにはターミナル駅が二つあり、ジャカルタから北幹線を走ってきた列車はパサールトゥリ(Pasar Turi)駅へ、私が乗ってきた"Argo Wilis"のように、南幹線を走ってきた列車はグブン(Surabaya Gubeng)駅というように、路線(方向)によって発着駅が異なります。東京で例えるならば、中央線方面なら新宿駅、東海道線方面なら東京駅という感じに似ていますね。
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タクシーの客引きを無視しながら、歩いて駅の敷地をぐるっと回り、跨線橋で線路を越えて、駅の西側に広がる市街地へと移動します。街中を流れる川面は街灯を反射していてなかなか綺麗。なおこの川岸の公園には、退役した潜水艦を展示している「潜水艦博物館」という観光名所があり、夜でも橋の上から潜水艦の外観を見ることができました。
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この日の宿は、駅から徒歩15分ほどの位置にある"Hotel 88"です。表通りから一本裏に入った路地に面しており、周囲は結構暗いので不安になるのですが・・・
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1泊朝食付きで約3000円弱と大変リーズナブル。しかも客室はとても綺麗です。駅の方へ行けばコンビニがありますし、近くには後述する大きなショッピングモールもあるので、いろんな面で便利です。ただその安さゆえか冷蔵庫が無く、ドライヤーも見当たらず、Wifiも不安定だったのが残念な点。
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チェックイン後、夕食をとるべく付近のショッピングモールへ向かったのですが、夜9時を過ぎていたためか、既に営業を終えてしまった店舗が多く、ようやく探し当てた開店中の小洒落た飲食店に入り・・・
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マッシュルーム・ヌードルとミルクティーを注文しました。揚げ物のクリスピー感を楽しむため、提供時は麺とスープが別々になっており、食べる直前にスープを上から掛けます。麺は太打ちの日本そばに似ており、スープはなかなかの美味でした。そういえば、スラバヤは華僑が多いと聞いたことがありますが、その噂の通り、モール内は中華系の人ばかりでした。ということは、同じような顔つきの私も周囲の人には華僑と思われていたのかも。
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なお、モール内には吉野家もありましたよ。日本の味覚が恋しい方はこちらへ。
さて、次の日は、ジャワ島東端のバニュワンギまで鉄道で向かい、そこからフェリーに乗り換えて、バリ島へと向かいます。
次回記事に続く。
●バンドゥンを出発
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小雨がそぼ降るバンドゥン駅(標高703m)を定刻8:30に出発。
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標高の高いバンドゥンから徐々に山を下ってゆくため、線路は山あいを縫うように敷かれており、列車はカーブの連続でゆっくりと走っていきます。車窓には棚田や熱帯雨林などジャワ島らしい美しい景色が続きました。
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やがて周囲の水田と線路との高低差がなくなり、平地まで下り切ると列車のスピードも徐々に上がっていきました。
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14:00頃、クロヤ(Kroya)駅に停車しました。標高11m。5時間半で700mの高低差を下ってきたんですね。なお定刻は13:41着のはずですから、この時点で既に20分ほど遅延していたことになります。
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駅構内では石油を積んだ長編成の貨車が停車中。
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クロヤ駅では10分ほど停車するのですが、その時間を利用して、私をはじめとした乗客たちは、外に出て体をストレッチ。一方、車両の屋根上では係員が給水作業中。
●車内でランチ
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長距離列車ですから、食堂車があっても不思議ではないのですが、合理化のためなのか本格的な食堂車は無く、そのかわり簡単なギャレーが設置された車両が編成の中ほどに連結されていて、車内を巡回しているアテンダントに注文すると、座席まで食事を持ってきてくれます。また車内販売のワゴンもあります。上画像は車内で注文できる食事のメニューです。ただし"Pre Order"と書かれているものは予約制ですし、また列車によっては実際に注文できるものが限られているようですから、選択肢の幅はあまり広くないみたい…。
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直接カウンターへ出向いて注文することも可能。私はギャレーの様子を見学したかったので、実際にその車両へ行ってみました。ギャレーといっても、そこで調理しているわけではなく、たくさんの電子レンジを使って、フリーザーから取り出した冷食を次々に解凍しているだけでした。
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私がいただいたのは、Rp30,000の"Nasi Uduk"(ナシ・ウドゥック)。お米をココナッツミルクやハーブなどで炊いた、インドネシアではポピュラーな料理のひとつですね。冷食ということもあり、見た目は貧相ですが、味はまぁまぁかな。
●低地を快走
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クロヤ以東は(部分的かもしれませんが)複線化されているらしく、低地を走る列車は順調にスピードを上げて快走し続けました。
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16:20頃、ジョグジャカルタに停車。定刻は15:56着、16:02発ですから、クロヤで確認した約20分の遅延を引き摺ったまま走行していたようです。世界遺産「ボロブドゥール」の最寄駅だけあり、バンドゥンから乗車してきた乗客の多くはここで下車し・・・
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車内は一気にガランとしてしまいました。ジョグジャカルタを出発した後の車窓も、ひたすら真っ平らな耕地や緑地が広がるばかり。そんな車窓にすっかり飽きた私は、いつの間にか夢の世界へ。
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でもエアコンの調子が悪いのか、車内は暑くなったり寒くなったりと、極端な上下を繰り返すので、熟睡することはできません。また、壁に掛けてある機器(左or上画像で号車表示「07」の左に写っている縦長の装置)から定期的にプシュっと芳香剤と思しき液体が噴霧されるため、装置直下に座っている私はその度に芳香剤の霧を浴びて、全身が安っぽい香水みたいなキツイ匂いまみれになってしまいました。
さらには、台車が昔ながらのコイルバネであるため(右or下の画像)乗り心地があまり良くなく、場所によっては上下左右によく揺れ、大きく揺れる度に目を覚ましてしまいました。
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17:05、ソロ駅に停車。この駅から乗り込む客が多く、ジョグジャカルタで空いた座席は再び埋まっていきました。
夕刻になると車窓は暗くなり、やがて真っ暗になって何も見えなくなったのですが、夜8時半頃になると車窓に街の明かりが灯りはじめ・・・
●スラバヤに到着
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20:45に終点のスラバヤ・グブン(Surabaya Gubeng)駅に到着しました。定刻は20:19着ですから、25分ほどの遅延ですね。単線が多く、しかも長距離を走っている列車でありながら、この程度の遅れで収まったのですから、上出来ではないでしょうか。さすがに12時間以上も乗車し続けていると、体の節々が痛くなって精神的にも鬱屈してしまうので、ホームに降り立ったときには思いっきり両腕を天高く上げ、関節を伸ばしながら思いっきり深呼吸し、「やっと着いた」と思わず口にしてしまいました。
なお、スラバヤにはターミナル駅が二つあり、ジャカルタから北幹線を走ってきた列車はパサールトゥリ(Pasar Turi)駅へ、私が乗ってきた"Argo Wilis"のように、南幹線を走ってきた列車はグブン(Surabaya Gubeng)駅というように、路線(方向)によって発着駅が異なります。東京で例えるならば、中央線方面なら新宿駅、東海道線方面なら東京駅という感じに似ていますね。
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タクシーの客引きを無視しながら、歩いて駅の敷地をぐるっと回り、跨線橋で線路を越えて、駅の西側に広がる市街地へと移動します。街中を流れる川面は街灯を反射していてなかなか綺麗。なおこの川岸の公園には、退役した潜水艦を展示している「潜水艦博物館」という観光名所があり、夜でも橋の上から潜水艦の外観を見ることができました。
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この日の宿は、駅から徒歩15分ほどの位置にある"Hotel 88"です。表通りから一本裏に入った路地に面しており、周囲は結構暗いので不安になるのですが・・・
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1泊朝食付きで約3000円弱と大変リーズナブル。しかも客室はとても綺麗です。駅の方へ行けばコンビニがありますし、近くには後述する大きなショッピングモールもあるので、いろんな面で便利です。ただその安さゆえか冷蔵庫が無く、ドライヤーも見当たらず、Wifiも不安定だったのが残念な点。
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チェックイン後、夕食をとるべく付近のショッピングモールへ向かったのですが、夜9時を過ぎていたためか、既に営業を終えてしまった店舗が多く、ようやく探し当てた開店中の小洒落た飲食店に入り・・・
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マッシュルーム・ヌードルとミルクティーを注文しました。揚げ物のクリスピー感を楽しむため、提供時は麺とスープが別々になっており、食べる直前にスープを上から掛けます。麺は太打ちの日本そばに似ており、スープはなかなかの美味でした。そういえば、スラバヤは華僑が多いと聞いたことがありますが、その噂の通り、モール内は中華系の人ばかりでした。ということは、同じような顔つきの私も周囲の人には華僑と思われていたのかも。
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なお、モール内には吉野家もありましたよ。日本の味覚が恋しい方はこちらへ。
さて、次の日は、ジャワ島東端のバニュワンギまで鉄道で向かい、そこからフェリーに乗り換えて、バリ島へと向かいます。
次回記事に続く。