温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

須川高原温泉 その2 大露天風呂「大日湯」

2017年05月24日 | 岩手県
前回記事の続編です。

●源泉周辺を散策

「須川高原温泉」は栗駒山登山(須川口)の出発地点でもあり、お宿の前に広がる駐車場では、登山の装備をした人々も多く見られます。その登山道は宿の裏手から伸びているのですが、私も登山好きの一人として、この登山道をちょっとだけ齧ってみたくなったので、手ぶらでも散策できるはじめの数百メートルを往復してみることにしました。


 
須川高原温泉のお湯は、宿の裏手に点在する源泉群から自噴しており、その量はなんと毎分6000リットル! 各源泉から湧いた大量の温泉が湯の川を形成し、登山道の脇を流れています。東北の温泉ファンの皆さんにとってはお馴染みの光景ですね。


 
上画像も源泉のひとつ。祠の下で硫化水素を放ちながら、酸性の硫黄泉が勢い良く湧出していました。こんな光景を見ていると、温泉だけでなく、私の中でもアドレナリンが大量分泌してしまいます。


 
各源泉で湧いた温泉は、黒いホースで宿の浴場へ引かれていました。


 
源泉からさらに登山道を進んでみました。階段状の道をちょっと登って振り返ると、僅かな間でも一気に高さが稼げたのか、宿の建物を小さく見下ろせました。


 
木立の中を進んでいくと、俄然目の前に木造の小屋が現れました。出入口の方へ回ってみますと「須川名物 天然蒸気浴舎 蒸し風呂」と書かれています。なるほど、地熱の蒸気を使った蒸し風呂なのですね。青森県・酸ヶ湯温泉の「まんじゅう蒸し」みたいなものかな。細かな利用方法も掲示されているので、ビギナーでも安心ですね。


 
私は利用していませんが、中をちょっとだけ見学させていただきました。利用区画が一人分ずつカーテンで仕切られており、中には人工芝が敷かれ、床に丸い穴があいていて、その穴の傍にレンガが置かれています。蒸し風呂を使う際には、茣蓙を敷いて毛布で体を包み、レンガを腰の下に置いて体を浮かせ、毛布で蒸気を逃さないようにしながら、胃の裏側にその蒸気を当てるようにするんだとか。
なお同様の蒸し風呂である酸ヶ湯温泉「まんじゅう蒸し」のまんじゅうとは女性の局部を示す方言なんだそうですが、須川の蒸し風呂はかつて「おいらん風呂」と呼ばれてらしく、いまでも登山地図にはその名称が残っています。まんじゅうにおいらん、両者には共通するニュアンスが感じられますね。


●大日湯
 
さて登山道を戻って、須川高原温泉の名物である大露天風呂「大日湯」へと向かいましょう。宿泊客ならば滞在中に何度でも入浴できます。受付の方に挨拶して浴室へ。


 
出入口の戸を開けた瞬間、眼前にこの光景が広がります。なんて美しい露天風呂でしょうか! 私はいままで2〜3度は立ち寄り入浴で利用していますが、このお風呂は何度入っても感動し、その都度圧倒されてしまいます。浴場名の由来になった大日岩が目の前に聳え、岩の直下から大量の温泉が樋を流れて、まるでプールのように大きな木造の浴槽へ注がれていました。


 
この露天風呂はあくまで湯船に浸かることに主眼が置かれていますので、洗い場は至って質素なつくりです(しっかり洗髪などをしたい場合は内風呂のご利用を)。


 
 
大日岩の下から大量の温泉が迸り、樋をつたって男女両露天風呂へと流れ落ちています。その湯船のお湯はターコイズブルーに濁っており、実に神秘的な色合いです。総じて適温に調整されていますが、広い湯船ですから場所によって湯加減に差があり、温泉を投入している樋に近づくほど熱くなります。広い湯船の中を移動しながら、自分の好みの温度になる場所を探すのもまた一興でしょう。
幸いにしてこの時は独り占めできたので、他人を気にせずのんびり湯浴みすることができました。

日中もさることながら、日没後の露天風呂もまた素晴らしい。夕食後には、ひたすら仰向けになり、満天の星空を仰ぎ見ながら、時間を忘れてじっくり湯浴みさせてもらいました。あまりに極上な湯浴みゆえ、自分一人でこんな幸せな湯浴みを楽しんでよいのか、幸せ過ぎて罰があたるのではないか、そう自問自答したくなってしまいます。

さて次回記事からは館内の内風呂を取り上げます。

(大露天風呂「大日湯」の日帰り入浴受付時間は6:00〜21:00、料金600円/1時間以内。シャンプー類・ドライヤーあり)

次回記事へ続く。
コメント (4)
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