温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大館東台温泉 東の湯

2017年05月21日 | 秋田県
 
2013年にオープンした大館温泉界期待のルーキー「大館東台温泉 東の湯」へ行ってまいりました。大館鳳鳴高校に近いスーパーマーケット「いとく大館東店」の敷地内に位置しているというの一風変わった日帰り入浴専門施設なのですが、オープン当初から既に東北の温泉ファンの皆さんが高く評価しており、私も一度その高評価なお湯を体験してみたかったのでした。建物は本当にスーパーマーケットやドラッグストアと棟続きになっているのですが、温泉棟自体は雰囲気を醸し出すためか、レトロな佇まいを装っており、特徴的な八角堂の屋根が温泉浴場であることをアピールしているようでした。


 
秋田杉の産地というご当地ならではのメリットを活かし、館内は木材の質感を活かしたシックな佇まい。和洋折衷のレトロな洋館のようです。八角堂の屋根は明かり採りを兼ねており、天井からは優しい陽光が降り注いでいました。受付脇に設置されている券売機で料金を支払い、窓口にその券を差し出します。



なお玄関を入って右手には「花・鳥・風・月」と名付けられた4室のお座敷があり、有料で休憩などに利用することもできるんだとか。


 
カーペットが敷かれたロビーの一角には、上画像のように曲線を描く木材製の腰掛が設置され、それに沿う形で足湯も備え付けられていました。お湯はもちろん温泉です。腰掛けの端に丁寧に並べられた足拭きタオルに、施設側の細やかな心遣いが伝わってきます。



ホールの窓からはこのような庭園の池も眺められますが、この庭園は後述するお風呂の大きな窓にも面しており、むしろ入浴しながら目にすることがこの庭園の本来の目的のようです。



八角堂のホールを抜けて浴場へ向かう通路の両脇には玉砂利が敷かれており、和の雰囲気を醸し出していました。



浴場内は撮影禁止ですので、ここから先は文章のみで紹介させていただきます。なお上画像はリーフレットに印刷されている浴場の写真をスキャンしたものです。

綺麗で清潔感に溢れている脱衣室には、無料で使えるロッカーや広い化粧台などが備え付けられているので、使い勝手良好です。
お風呂は内湯のみですが、天井が高く、また大きな窓から陽光がふんだんに入りこんでいるため、屋内でありながら非日常を感じるに十分な開放感が得られます。また浴場内は基本的に石材を模したタイルが多用されているのですが、随所に木材を採用したり、タイルを品の良い色調のものに整えたり、窓外には日本庭園が誂えられていたりと、まるで旅館の大浴場を思わせる凝った構成によって、落ち着いた雰囲気の中で湯浴みできるよう配慮されていました。

洗い場にはシャワー付き混合水栓が計20基取り付けられており、カランから出てくるお湯は温泉です。公衆浴場でありながら、シャンプー類が備え付けられているのはありがたいところ。またカランのほか、上がり湯も設けられています。

浴槽は、窓に面した主浴槽と、そこから洗い場側にセッティングされている副浴槽の2つ。主浴槽は6m×3.5mほどの大きさで、浴槽内には淡いエメラルドグリーンの豆タイルが張られており、その一枚一枚は螺鈿のような光沢を放っているため、本来無色透明であるはずのお湯が綺麗なグリーン系を帯びているように見えます。この色合いが、浴場内の内装や窓外の庭園にマッチしており、浴場内の上品さがより一層引き立てられていました。一方、副浴槽は2.5m四方で、タイルの色などは同じであるものの、やや熱い湯加減となっていました。

主浴槽の湯口にはコップが置かれており、食前1回100~150ml、1日合計430mlまで飲泉できるんだとか。ちなみに適応症は、胆道系機能障害や高コレステロール血症、そして便秘とのこと。実際に飲泉してみますと、同じ大館市内の雪沢温泉を思わせるような明瞭な石膏感に塩味が加わったような味わいが口の中に広がりました。さらには湯口からゴムのような味や匂いもわずかに感じられたのですが、このゴム感は、湯口以外では実感できませんでした。
湯船に浸かると全身を包みながら肌に滲み入ってくるようなシットリ感があります。また湯中で肌をさするとツルスベとともに硫酸塩泉らしい引っかかりも混在しており、たとえば腕を肩から指先までさすると、途中で2〜3回グリップが効きました。とはいえツルスベ浴感の方が勝っていたような気がします。総じて言えば大館界隈ではよく見られる無色透明の硫酸塩泉なのですが、お湯そのものの実力もさることながら、お湯の使い方やコンディション、湯加減が素晴らしく、また施設としても使い勝手が良くて且つ上質であり、とても350円で利用できる公衆浴場とは思えません。温泉やお風呂に対する造詣の深さが伝わってきます。温泉ファンの皆さんが高く評価するのも十分に納得できる、実に秀逸な温泉のお風呂でした。


大館東温泉
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 58.1℃ pH7.9 溶存物質4577.2mg/kg
Na+:1028.0mg(65.39mval%), Ca++:451.0mg(32.90mval%),
Cl-:973.8mg(39.28mval%), SO4--:2005mg(59.69mval%), HCO3-:34.3mg,
H2SiO3:45.4mg, CO2:2.1mg,
(平成24年3月23日)
加水加温循環消毒なし(可燃性天然ガスの除去に伴い遊離二酸化炭素の数値が変化)

秋田県大館市東台2-1−80  地図
0186-43-3300
ホームページ

4月〜10月→6:00~22:30、11月〜3月→6:00~22:00 年中無休(臨時休業あり)
350円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花岡温泉 2016年7月再訪

2017年05月19日 | 秋田県
※残念ながら花岡温泉は2020年末を以て閉館しました。

今回記事より日本の温泉に戻ります。でも、相変わらず1年前の古いネタが連続してしまいます。
いつも鮮度の悪い話題ばかりで申し訳ございません。

 

秋田県北部の大館市周辺では、かつて各所で鉱山開発が行われていましたが、資源枯渇や経済状況の変化などにより、現在では全てが閉山してしまいました。花岡鉱山はその代表的な存在であり、黒鉱を露天掘りで採掘していましたが、平成6年に閉山され、現在では鉱山跡地でリサイクル工場が稼働しています。さて、黒鉱が眠っている地下には温泉脈が一緒に存在している場合があり、この大館周辺の温泉の多くは黒鉱採掘や試掘の際に発見されたものですが、花岡の公衆温泉浴場である「花岡温泉」もそのひとつであり、鉱山が閉じられた後でも、温泉は引き続き汲み上げられ続けており、いまでも大地の恵みに浴することができます。「花岡温泉」は、建物こそ地味ですが、お湯の質は素晴らしく、多くの温泉ファンが太鼓判を押しています。かく言う私も以前入浴した時には、その素晴らしいフィーリングに感動ましたので(以前の記事はこちら)、昨年夏に再訪する機会に恵まれたので、喜び勇んで行ってまいりました。
集落の外れの川沿いにぽつんと佇む、知る人ぞ知る渋い公衆浴場です。


 
券売機で支払い、番台のおばちゃんに券を手渡して中へ入ります。左手にはカーペット敷きの休憩室があり、私も湯上がりに汗が引くまでこの部屋でひと休みさせていただきました。


 
浴室の様子は以前訪問時と全く変わっていませんでした。タイル張りのコンパクトな室内には浴槽がひとつ据えられ、壁に沿って洗い場が配置されています。洗い場に設けられているシャワーは5基。カランから出てくるお湯はボイラーの沸かし湯ですが、ボイラーに問題があるのか、たまに熱いお湯が出てきてしまうんだとか。脱衣室には使用上の注意が掲示されていましたので、利用の際は念のためにご一読を。


 
浴槽は台形を逆さまにしたような形状をしており、最大寸法で幅2m強×奥行3m強。浴槽はタイル張りですが、縁には御影石が用いられており、その縁からお湯が惜しげもなく大量に溢れ出ていました。


 
温泉の供給口は2つあり、ひとつは焼き物の獅子、そしてもうひとつは槽内底部まで入り込んでいる塩ビ管です。獅子の口から吐出されるお湯は若干ぬるめである一方、配管から出てくるお湯は適温でした。後者の方が外気に触れないので温度低下しないのかもしれません。なお源泉温度は40℃弱ですので、入浴に適した温度にするため加温されていますが、加水循環消毒は行われていない放流式の湯使いです。



お湯は無色透明でふんわりと石膏臭が香り、お湯を口に含むと石膏甘味や薄い塩味、そして微々なタマゴ味が感じられるのですが、とりわけ石膏甘味がしっかりと味覚に響くのが印象的です。お湯に浸かるとツルスベの中に弱い引っかかりが混在する浴感が伝わってくるほか、肌の細かなシワ一本一本に滲みいってくるようなシットリ感とともに、とても軽い羽毛布団をかぶせられたようなふんわりと包んでくれるような優しい温もりも得られ、目を瞑るとそのまま微睡んでしまいそうになるほど、なめらかで優しいお湯です。また1分以上じっと湯中に浸かっていると、全身に気泡が付着し、浴感がより一層軽やかでまろやかになりました。一般的に硫酸塩泉は、湯船へ入った瞬間に肌がピリッとする刺激や、パワフルな温まりなど、どちらかとえばアグレッシヴな感覚が目立つものですが、こちらの温泉は、少なくとも入浴中はその対極と表現したくなるような優しくまろやかなフィーリングを楽しみことができました。もちろん、硫酸塩泉としての温浴効果はしっかりと働き、湯上がり後は長い時間に及んで汗が引かず、優しさとともに力強さを兼ね備えていることがよくわかりました。

湯屋こそ地味で質素ですが、お湯は大変良質であり、今回の再訪でその素晴らしさを再認識することができました。


カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉 39.6℃ pH8.2 溶存物質2399mg/kg 成分総計2489mg/kg
Na+:243.3mg(30.29mval%), Ca++:481.2mg(68.73mval%),
Cl-:231.4mg(18.31mval%), Br-:0.5mg, HS-:0.2mg, SO4--:1374.4mg(80.27mval%), HCO3-:22.9mg,
H2SiO3:32.7mg, CO2:90.1mg,
(平成26年10月9日)
加温あり(入浴に適した温度を保つため)

秋田県大館市花岡町字長森65-2-1
0186-46-1171
※残念ながら花岡温泉は2020年末を以て閉館しました。

4月~11月→6:00~21:00, 12月~3月→7:00~21:00, 不定休
250円
ドライヤー(有料10円)・ロッカー(有料100円)あり、石鹸やタオルなど販売あり、

私の好み:★★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バリ島タバナン地区 イエ・パナス温泉 ESPA Hot Springs Resort

2017年05月17日 | インドネシア
バリ島での温泉巡りは、タバナン地区のイエ・パナス温泉"ESPA Hot Springs Resort"で締めくくることにしました。

 
窓を全開にして青い稲の風を顔に受けながら、タバナン地区に広がる麗しい棚田の中を爽快にドライブ。


 
道路が大きくカーブする付近の路傍に温泉名が書かれた看板を発見しました。目的地まであと僅かのようです。看板が指し示す方向へ未舗装路を進むと・・・


 
割れ門の先が温泉リゾートになっていました。レンタカーは駐車場でお留守番です。


 
リゾートと名乗っていますから、ここでは宿泊もできるのでしょうけど、私は数時間後にデンパサール空港から飛行機に乗らなければならなかったため、今回は日帰り入浴で利用しました。レセプションで入浴したい旨を伝えると、屋外のプールと貸切風呂の2種類があるらしく、私が値段を訊いたところ、スタッフはちょっと考えた後にそれぞれの金額を教えてくれました。料金なんてはじめから決まっているのに、なぜ返答する際に考える必要があるのでしょうか。外国人である私を見て、金額を吹っかけようとしていたのかな…。ま、ここで躊躇しても仕方がないので、ちょっと高めでしたが貸切風呂をチョイスすることにしました。


 
レセプションの脇にはいくつも貸切風呂が並んでいましたので、その中から空いているところを使わせてもらうことに。


 
私が入った貸切露天風呂はこんな感じ。左右と通路側こそコンクリの壁ですが、目の前を流れる川に対してはオープンな作りになっており、トロピカルな植物にも彩られ、開放感でなかなか良い雰囲気です。


 
露天風呂のど真ん中にテーブル付きの屋根と半円形の土台が出っ張っているため、その分入浴できるスペースが狭くなっているのが玉に瑕。ひとつひとつの区画はそれなりの広さがあるのですが、おそらくこの湯船では3〜4人が限界ではないでしょうか。
隅っこにはシャワーが設けられていますが、排水はそのまま目の前の川へ流されるため、シャンプー類など使用は禁止されています。



湯口における吐出温度は39.3℃で、湯船では緑色掛かった黄土色に強く濁っており、透明度は(目測で)20〜30cmでした。温泉に含まれる鉄分の影響で、湯面には酸化皮膜(油膜みたいに光っているもの)が浮いていました。


 
湯船は38.8℃ですから、一見するとぬるそうに思っちゃいますが、日中は気温が高いため、むしろこの程度がちょうど良い湯加減なのであります。なおpH値は6.76でした。お湯からは鉄錆的な金気の味や匂いがはっきりと感じられる他、甘塩味やほろ苦味、土類感、そしてしっかりとした炭酸味も伝わってきました。また湯中ではキシキシと引っかかる浴感があり、肌のシワ一本一本にお湯の成分が入るこんでくるような感覚が得られました。こうした特徴は前々回の記事で取り上げたアンスリ温泉に似ていますので、タバナン地区に湧出する温泉は、金気が多くてすぐ緑色に濁ってしまう重炭酸土類泉か塩化土類泉が多い傾向にあるのでしょう。



実際に入浴してみました。なかなか良い湯です。しかも貸切なので水着は不要。川のせせらぎを聞きながらの湯浴みは実に爽快。ゆっくりのんびり寛げます。泉質由来の温浴効果が強いからなのか、ぬるめのお湯なのにしっかりと温まり、湯上がりはしばらく汗が止まりませんでした。本当は飛行機に間に合う時間ギリギリまでゆっくり過ごしたかったのですが、運が悪いことに空から雨粒が落ち始め、やがて本降りになってしまったので、止むを得ず途中で湯船から上がらざるを得ませんでした。もう少し長く浸かっていたかったなぁ。


 
雨脚が弱くなったところで、水着着用のパブリック温泉プールと普通のプールも見学することに。温泉プールはバスクリンを大量投入したような緑色に強く濁っており、今すぐにでもドリフのコントができそうな感じ。実際に入っている人はいましたが、湯鈍りを起こしているのは明らかであったので、私は遠慮させていただきました。


 
川岸には日本人好みしそうな露天風呂もありましたよ。



敷地奥の斜面にはもっと広い貸切露天風呂もいくつか並んでいました。
こちらの温泉はぱっと見たところ、外国人観光客が主な利用客層のようでした。都市部の喧騒から隔絶された静かな立地ですし、お湯はなかなか良質ですから、のんびり湯浴みするには良い場所かもしれませんね。


●(おまけ)LCCでジャカルタを経由して帰国の途へ
さて、バリ島での温泉巡りはこれで打ち止め。ジャワ島とバリ島の2島にわたったインドネシア温泉巡りもこれにて終了です。
まずはレンタカーを返す前に、ガソリンを給油しなきゃ。

 
デンパサールの市街地に近い幹線道路沿いのガソリンスタンドに入ったところ、各ポンプの前に給油待ちの車の列ができていました。たまたま混んでいるタイミングだったのかな。でも流れが早いので、そんなに待つことなく自分の番が回ってきました。


 
こちらでは、セルフではなくスタッフが給油をします。前の車や他のレーンの様子を見ていると、皆さん金額指定で給油しているようでしたので、私も「この程度で満タンになるかな」といった量をその場で暗算し(日本と同じく、道路に面した看板に油種別の単価が掲示されています)、オクタン価92の「プルタマックス」という油種を10万ルピア給油するべく「プルタマックス、スラトゥスリブ」とインドネシア語の単語を並べて、それに相当する紙幣を手渡したら、すぐに給油が開始され、ポンプが停止すると即座にスタッフからお釣りが返ってきました。日本のGSのように、支払い時に精算機でお金を管理するのではなく、スタッフの作業着のポケットに詰め込まれたお札でお釣りをやりとりしているので、回転が早いのですね(その代わりレシートなどは発行されませんでした)。GS内にはコンビニもあるので、ちょっとした買い物もできます。


 
デンパサールの市街からクタにかけて渋滞に巻き込まれたものの、余裕を持って行動したため、予定通りに空港へたどり着くことができました。
デンパサール空港国内線ターミナル・空港出発ロビー前の車寄せで、今回車を借りたKAZUYAレンタカーさんの方と待ち合わせて、この車寄せにて返却手続き完了です。自由気ままに行動できるレンタカーは非常に便利でした。いろいろ相談に乗ってくださり、融通を利かせてくださったりと、KAZUYAレンタカーさんには本当にお世話になりました。ありがとうございました。



私は成田とジャカルタの往復チケットでインドネシアへやってきたため、帰国するには一旦バリ島のデンパサールからジャカルタへ国内線で移動しなければなりません。インドネシアの国内線はLCCが便利なので、この時はインドネシア最大手のLCCであるライオンエアを利用しました。旅行中にネットで予約をしておき、空港のチェックインカウンターで、パスポートと一緒に、スマホの画面に表示させておいたバーコードを提示することで、簡単にチェックイン完了。しかも私がカウンターで手続きしたのは出発時刻のちょうど1時間前だったのですが、カウンターの前には行列がほとんど無く、待ち時間はわずか数分で済みました。本当に便利な世の中になったものです。


 
私が旅行したのは2016年の10月。インドネシアはイスラム国家ですが、バリ島はヒンズー教の土地。それでいて、空港ターミナルにはハロウィンの飾り付けがなされていたのですから、もう宗教観がごちゃごちゃ。そんな曖昧さこそ、世界中から観光客を呼び寄せる懐の広さなのかもしれませんね。色鮮やかなおみやげ屋さんを尻目に搭乗口へ。


 
海岸沿いに位置するデンパサール空港。ライオンエアの機体が頻繁に離発着を繰り返す滑走路の彼方の海原では、赤い夕陽が沈もうとしていました。今回の旅でインドネシアの太陽を目にするのはこれが最後なのか。この夕陽とともに自分の旅も終わるのかと思うと、実に感慨深く、窓の前に立って、いつまでもこの夕陽を眺めていました。


 

私が乗るジャカルタ行033便は18:15に出発の予定なのですが、その時刻が近づいてもゲートが開く気配がありません。感傷的に夕陽を眺めている場合ではないのかな。そんな心配を抱きはじめたころ、出発予定時刻の5分前である18:10に、目の前のエプロンに青いラインの塗装が施された機体が止まり、降機した客が次々に歩いてターミナルへと吸い込まれてゆきました。なるほど、この飛行機が折り返しでジャカルタ行になるんだな。それからさらに待つこと約30分でようやく搭乗が開始され、私もエプロンを歩いて飛行機に乗り込みました。LCCなのでシートピッチは狭いのですが、機内で座っているのは2時間程度なので、大して苦にはなりません。ライオンエア033便は45分遅れを以て、満席でデンパサールをテイクオフ。


 
約2時間でジャカルタに到着。古ぼけたLCC専用ターミナルで一旦荷物を受け取り・・・


 
無料のシャトルバスで国際線が発着する第2ターミナルへ移動しました。

これにてインドネシアの温泉巡り関係記事は終了です。お付き合いくださりありがとうございました。
次回からは日本のみちのくの温泉へ舞台を移します。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バリ島バトゥール湖畔 トヤ・ブンカ村営 Batur Natural Hot Spring

2017年05月15日 | インドネシア
バリ島北東部の高原地キンタマーニでは、活火山のバトゥール山が聳え、その火山活動で形成されたカルデラ湖であるバトゥール湖が風光明媚な観光名所になっていますが、このバトゥール湖の湖畔に外国人観光客向けの温泉施設が複数あるという情報を仕入れたので、その中の一つへ行ってみることにしました。


 
観光拠点ウブドの街から北へ向かってレンタカーを走らせます。カルデラ外輪山の稜線に向かってひたすら登り勾配の連続。ウブドから約40分ほどで坂道を登りきると・・・



カルデラの中で両裾を伸ばし美しくそびえるバトゥール山が眼前に聳えていました。絶景です。



山の右手(東側)にはバトゥール湖も望めました。意外と大きい湖なんですね。
今度はカルデラ内部に向かって山を下り、この湖畔を目指します。


 
カルデラ内部は噴火した直後に冷却して固まったような火山岩がゴロゴロしている荒地。噴火当時の様子が容易に想像できます。



やがて温泉施設の旗や看板が路傍に立ち始めました。当地には温泉施設が複数あるらしいのですが、あまりリサーチせずに出かけてしまったので、どこが良いのかわからず・・・



最も手前側に位置しているトヤ・ブンカ村営"Batur Natural Hot Springs"を訪れることにしました。広い無料駐車場にレンタカーを止めて・・・


 
土産物を売っている小さなワルン(屋台)に両サイドを挟まれた通路を進んでゆくと、その突き当たりに窓口とゲートが設けられていました。外国人観光客向けの施設ですから、料金設定はかなり高く、入浴のみでもRp150,000(日本円に換算して1200〜1300円)という強気のお値段です。この料金には貸しバスタオル・ウェルカムドリンク・揚げバナナのおやつが含まれていますが、このほか、構内のレストランでいただくランチ付きの料金設定もあるようです。なお私は入浴のみの利用にしました。


 
構内にはいくつもの温泉プールが並んでおり、リゾート施設としてはまずまずの美しさ。


 
ぬるい温泉プールを左に見ながら通路を歩いてロッカールームへ。専用窓口でバスタオルとロッカーキーの貸与を受けます。


 
左or上画像はロッカー。右or下画像はシャワールーム兼更衣室。当然ながら水着着用必須です。


 
湖に向かって緩やかに下っている斜面に位置しているため、温泉プールやレストラン・マッサージルームなどの各施設はその傾斜に沿って段々に設けられています。まずは最下段の湖畔に並ぶ温泉プールへ入ってみることにしました。欧米豪系の観光客が楽しそうに湯浴みしていました。


 
プールサイドにはバリ島らしい石像が並び、その石像の口々から温泉が注ぎ落とされていました。


 
湖を臨むこの温泉浴槽は、その景色の良さに惹かれるのか、お客さんが最も多く集まっていました。またこの浴槽には打たせ湯もあり、お湯に打たれて大はしゃぎをしている観光客の姿も見られました。


 
湯口のひとつで吐出温度を測ってみたところ、36.3℃でした。また浴槽における温度は34.8℃で、pH8.07でした。お湯は無色透明で綺麗に澄んでおり、僅かに甘味を有するものの、匂いなどはなく、少々のツルスベ感がある滑らかでやさしいタイプのお湯です。


 
湖岸はボートの桟橋が設置されており、小さなボートのほか、カラフルなスワンボートが舫われていました。
最も湖岸に近いプールは水がやや緑色に濁っており、かなりぬるく、正直なところ温泉っぽくありません。普通の水と排湯が混じったものが張られているのでしょう。しかも深さが2メートルもあるため、ゆっくり寛ぐこともできません。従いまして、ここに入って湖岸を眺めるならば、泳いでプールサイドにしがみつく他ありません。


 
湖岸から左の方を眺めると、民営の温泉リゾート施設が隣接しており、明らかにこちらよりも多くのお客さんで賑わっているようでした。しかも、湖岸ギリギリまで温泉浴槽になっているみたい…。ということは、あちら側の方が満足度が高いのかな? あるいは隣の芝生が青く見えるだけなのかな?


 
せっかくここまで来ましたので、恥ずかしながら自分撮りをすることに。湖水と一体化したような湖岸のプールでまず1枚。
つづいて、打たせ湯のある浴槽でもう1枚。
上述のように湯船の温度が35℃前後なので、たしかに湯逆上せを気にせず長い時間浸かっていられるのですが、南国とはいえ標高の高い場所ですから、日中でもかなり涼しく、プールから上がった瞬間は肌寒さを覚えました。


 
ステップを上がって丘側のプールにも入ってみました。こちらの方がお湯の透明度が高く、湯加減もまずまずなのですが、いかんせん湖岸の温泉プールに比べると眺望がいまいちなためか、利用客の数は少なく、せっかくの広さを持て余していました。でも、それを逆手にとってイチャイチャするカップルもいましたから、その閑散さにも需要があるということなのでしょう。



ひと通り浴槽を廻った後、カウンターに赴いてスイカジュースと揚げバナナをもらい、湖畔を臨むベンチに腰をかけて景色を眺めながら両方をいただきました。味には期待していなかったのですが、結構美味しかったので、そこそこ満足。

正直なところ、お湯はぬるくて泉質的な面白さにも欠けるため、温泉の良さを期待すると肩透かしをくらいますが、ロケーションや開放感は素晴らしいので、歓楽地の喧騒を離れ景色を眺めながらのんびり過ごすには良いところと言えるでしょう。





Toya Bungkah Kintamani, Desa Pekraman Batur, Songan B, Bangli, Songan B, Kintamani, Kabupaten Bangli, Bali
公式サイト

入浴のみRp150,000
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バリ島タバナン地区 アンスリ温泉

2017年05月13日 | インドネシア
前回までの記事で取り上げたバリ島西部の「ミンピリゾート・ムンジャンガン」をチェックアウトした後は、リゾートの送迎サービスを利用し、2〜3時間をかけてバリ島の中心部であるクタ市街地まで出てきました。

 
わざわざ都会のクタまでやってきた理由は、レンタカーを借りたかったため。バリ島では滞在期間が短かかったため、自分でレンタカーを運転し、気兼ね無く効率良く湯巡りをしたかったのでした。今回利用した業者は「KAZUYAレンタカー」さん。その名前からもわかるように、現地にお住いの日本人の方が経営しており、連絡などすべて日本語で大丈夫。いろんな相談にものってくださり、車もとても良い状態でしたので、利用して大正解でした。手続きや支払いを済ませてから、クタの街を北上して島の中央部へと向かいます。


 
車でまず向かったのは、タバナンの山奥にある「アンスリ温泉」です。スマホのGoogle Mapが指し示す通りに、途中から幹線道路を逸れて舗装された1.5車線幅の田舎道を進んでいきます。初めてハンドルを握る土地ですので、たとえ交通量が少ない道でも緊張してしまいます。


 
途中で何度も交差点を曲がりながら北へ北へと向かってゆくと、目的地の数キロ手前に位置する交差点の角に、アンスリ温泉を示す看板を発見しました。


 
あぜ道を舗装したような田舎道や、集落の真ん中を貫く坂道を走行。


 
やがて集落を抜けると、道路のコンディションが急に悪くなり、車の底を擦らないか心配になるほどバンピーな未舗装路となってしまいました。でも温泉の看板はその先を指しているので、心細くなりながらも、慎重なハンドル捌きに心がけ、車の性能と看板を信じて先へと進みます。


 
本当にこのまま車で進んで大丈夫なのかと不安を覚えたあたりで一気に急坂を下り、視界が開けたと思ったところで、目的地の「アンスリ温泉」に到着しました。無事に着けてよかった…。


 
駐車場に面した小屋の窓口には誰もいません。その近くにワルン(屋台)があったので、料金をどこで支払うのか訊いてみたところ、みなさん笑顔を浮かべながら歩道の先の方を指し示してくれました。


 
用水路に沿って伸びる苔むした歩道を奥へ進むと、やがて階段となり、その途中にはカフェも営業していました。アクセス路こそ凸凹ですが、ここはれっきとした観光地なんですね。



麗しい田園風景を眺めながらゆるやかな斜面を下り、石造りの門を潜ると・・・



緑色に濁った小判形の大きな温泉プールが眼前に現れました。お湯はかなり濁っており、しかもぬるいので、ここで湯浴みする気持ちにはなれません。この濁り方から推測するに、重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかに属するタイプの温泉なのでしょう。お湯が新鮮な状態であるならば、濁っていないはずです。


 
さらに奥へ進むと、上画像のような個室風呂棟が建っており、その手前側におじさんがいたので、ここで入浴できるか確認した上で料金を支払うと、おじさんはいくつか並んでいる個室の中から7号室を指定しました。


 
7号室のボロい扉を開けると、薄暗い室内には浴槽がひとつ、そして小さな棚がひとつあるだけ。カランなど設備や備品類は全く無く、至ってシンプルです。


  
左右に壁いっぱいに、3〜4人サイズの四角い浴槽が据えられており、浴槽の底面にあけられた穴から温泉が供給されていました。湯船のお湯はほぼ透明ですが、金気由来と思しき赤錆系の色を呈しており、光の当たり方によってはぼんやりと霞んでいるようにも見えました。また、底面でも温泉の供給穴がある周辺は赤茶色に染まっていました。
おそらく屋外の大きなプールと同じ源泉を引いているかと思われますので、先ほど述べた「お湯が新鮮な状態であるならば」濁っていないはず、という推論は正しかったわけですね。


 
湯船の温度は36.0℃とかなりぬるめ。pH値は6.37です。湯中には赤茶色の浮遊物が舞っており、お湯からははっきりとした鉄錆系の金気臭と金気味、ほろ苦味や少々の塩味、石膏感、そして明瞭な炭酸味が感じられました。先述のように泉質は、重炭酸土類泉か塩化土類泉のいずれかでしょう。なお炭酸味こそ得られるものの、泡つきは見られませんでした。



実際に入浴してみました。湯中ではキシキシと引っかかる浴感が得られます。湯船のお湯は窓下の湯面ライン上にあいた穴から排出されており、循環などされている様子は見られないので、純然たる掛け流しの湯使いで間違いないでしょう。ぬるい湯加減なのに、意外にも湯上がりはしっかりと温まりました。


 
私が個室風呂から出ると、受付のおじさんが「こっちにも入っていけ」と笑顔で川の方を指さすので、何があるのかとその方向を見てみたら、なんとコンクリの塀で囲まれた小さな露天風呂がお湯を湛えているではないですか!


 
小さなガネーシャの下に突き出ている湯口からお湯がトポトポと注がれています。


 
湯口の吐出温度は41.5℃で、湯船の温度は39.9℃と、個室風呂よりもこちらの方がはるかに入り応えのある湯加減でしたので、おじさんのご厚意に甘えて、物陰に隠れて水着に着替え、入浴させていただきました。正直なところ、個室風呂よりこちらの方がお湯の状態が良く、特に知覚的特徴(塩味など)がはっきりと伝わってきました。また湯加減の影響なのか温浴効果も強く、こちらに入った後はいつまでも汗が止まりませんでした。日本でも東北や九州などで同じようなタイプの温泉が湧いていますが、バリ島の山に湧くこのアンスリ温泉も日本の名湯顔負けの良い湯でしたよ。

なお個室風呂棟の裏手には滝が落ちていて、川遊びができるんだとか。そんなことは露知らず、見逃したまま帰ってしまいました。




入浴料Rp35,000
備品類なし

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする