温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

甲斐市 神の湯温泉(日帰り入浴)

2019年10月14日 | 山梨県
甲府周辺にはたくさんの温泉があるこということを、拙ブログでは繰り返しお伝えしていますが、それでも一般的に甲府イコール温泉というイメージが浮かびにくい理由は、それぞれの温泉が住宅地や田園風景の中に点在しており、温泉郷を形成していないからでしょう。今回取り上げる甲斐市の「神の湯温泉」はその典型です。こちらのお宿は宿泊利用の口コミ評価が高いのですが、今回は日帰り入浴利用でお邪魔することにしました。



甲府郊外の区画整理された新興住宅地の中にポツンと存在する一軒宿「神の湯温泉」。付近には看板が立っているので、それに従って進めば辿り着けるのですが、それでも宿の建物を目にするまでは、本当にこの先に温泉旅館があるのか疑わしくなるほど、辺りはごくごく普通な住宅地なのです。なおこちらへお出かけの際、一般的には車を利用するかと思いますが、もし路線バスでアクセスする場合は、最寄りの「敷島」バス停は本数が多くないので、ちょっと歩きますが「事業団住宅入口」を利用した方がはるかに本数が多くて便利です。
神の湯という名前だからか、駐車場の入口には大きな鳥居が立っているのですが・・・



唐破風を戴く立派な玄関を入った内側のフロント前にも、大きな神棚(祭壇)が祀られていました。しかも酒樽がたくさん積んであります。妙に神道の雰囲気が強いため、無神論者の私は少々物怖じしてしまったのですが、フロントで日帰り入浴をお願いしますと、快く受け入れてくださいました。なおこちらでは日帰り入浴の回数券が販売されており、スタンプカードも用意されているほど、入浴のみの利用もウエルカムです。



お庭を眺めるラウンジを抜けて・・・



日帰り客専用の脱衣室へと向かいます。
脱衣室や浴室入口は、日帰り客と宿泊客で別々に分かれており、前者は狭いながらもロッカーある一方、後者は広いが衣類を収めるようなロッカーは無いようです。



大きな窓から外光がふんだんに降り注ぐ浴室は「大」「広」「(天井が)高」の三拍子が揃った大変開放的で明るい環境です。しかもメンテナンスがしっかり行われているのでとても綺麗。これならお客さんからの評価が高くて当然ですね。
男湯の場合、入って右手(脱衣室側)と奥に分かれて洗い場が配置されており、シャワー付き混合栓が計10基設置されています。シャワーの設置間隔が比較的広いため、ストレスなく使えます。

なんと、この浴場だけで浴槽が7つもあるんだとか。ちなみに全館では11種類もあるそうです。
7つある大浴場のお風呂は1~7番までナンバリングされています。順に見ていきましょう。



でもその前に、番号こそ振られていないものの、マニア的にはこの浴室の中で最も注目したい設備をご紹介します。
浴室に入ってすぐ左手に飲泉所があるのです。山梨県内で飲泉所を設けている温泉施設は少ないため、このようにちゃんとした設備で温泉を飲めるのはとても貴重です。チョロチョロしか出ていませんが、実際に飲んでみますと淡い塩味に硬水の味、そして少々ゴムっぽい風味が口の中に広がりました。この界隈の温泉でゴムっぽい風味のお湯に出逢えるとは予想できず、ちょっと驚いてしまいました。



さてナンバリングされたお風呂を見ていきましょう。
1番は打たせ湯、2番は泡風呂です。1番と2番ともに自分でスイッチをON/OFFします。いずれも湯加減は適温。
順番が前後しますが、打たせ湯のすぐ目の前で最も小さな浴槽は6番で、7つある浴槽のうち最も熱い42℃前後です。



3番。布袋様が見つめるこの浴槽は「信玄湯治湯」と名付けられており、窓側に位置し、38~40℃というぬるめの長湯仕様。



4番には一般的な湯加減(41℃前後)のお湯が張られていますが、他の浴槽に比べるとやや小さめでしょうか。



5番は最も大きく、しかも36~38℃という不感温度のお湯が張られています。しかも寝湯ゾーンが設けられており、まさにまどろみのお風呂。実際、私はここで本当にウトウトしてしまいました。なおこの真上の壁には、山梨県の温泉界ではお馴染みであるO短大T教授の紋切型なありがたい解説文がデカデカと掲示されていました。T教授による「スパファシーズ」や「ガイアが授けてくれた地球の体液」といった他ではお目にかかれたない独特な表現を目にしますと、自分が山梨県の温泉にいることを実感するのですが、これって私だけでしょうか。
6番は上で述べた通りです。



7番は露天風呂。いわゆる岩風呂ですが、内湯の各浴槽に比べると小さいにもかかわらず(5~6人サイズ?)、ちょっと深い造りになっており、小さな子供は気を付けないと溺れちゃうかもしれません。投入口からお湯がふんだんに注がれており、人が湯船に浸かるとそれなりにオーバーフローするのですが、他の浴槽と同様に循環湯と新鮮源泉の投入を併用しており、岩風呂の底に埋め込まれている目皿ではお湯が強力に吸引されていました。それを知らずに目皿の上に腰を下ろしてしまった私は、自分の桃尻を目皿に吸われてしまい、中年オヤジのくせに、びっくりして「きゃっ」とハ●キルーペのCMみたいな声を上げてしまいました。あぁ情けない。




この岩風呂はベランダの端に設けられているので、旅館のお庭や遠景の山々が綺麗に見えます。露天風呂の説明文によれば、仙人が裸で入浴しているところを想像してつくった云々と書かれており、大きな声で歌ってみるとその気分を満喫できると奨められているのですが、でも本当にそんなことしたら、おそらく他のお客さんに対して迷惑になるためつまみ出されちゃうかもしれませんね。

さてお湯に関するインプレッションですが、見た目は無色透明で、味に関しては飲泉所の箇所で述べたように淡い塩味と硬水の味、そして僅かにゴムのような風味が感じられます。一方で、匂いはあまりなかったような気がします(消毒剤の塩素臭がちょっとあるかもしれません)。
泉質としては純食塩泉であり、全国的にみれば比較的多く存在する泉質ですが、しかしながら単純泉かアルカリ性泉、あるいは重曹泉が多い甲府盆地でこのタイプのお湯は珍しいような気がします。とはいえ、正直なところ湯船に入ってもお湯の個性がいまいち伝わってこず、ツルスベ浴感もそれほどはっきりとしていないようでした。各浴槽の湯使いとも循環と新鮮源泉を投入しながら循環ろ過も行っているという循環と掛け流しの併用式であり、それゆえにお湯本来の力が削がれてしまっているのかもしれません。限られた湯量を男女それぞれの大浴場、そして貸し切り風呂などに分けて供給しているのですから、循環しながらお湯を大切に使わないと間に合わないのでしょうね。その一方で、多くの浴槽の湯加減をぬるめのセッティングにしている点は大いに評価したいところ。ぬるめのお湯は、人によっては物足りなさを感じるかもしれませんが、体への負担が少ない状態でゆっくり長く浸かることができ、しかも体の芯まで温めることができますから、心身のリラックスはもちろんのこと、温泉を通じた健康増進にはぬるめのお湯が最適です。こちらのお風呂ではまさにその最適なコンディションで入浴できるわけです。

こちらのお宿で実際に宿泊した知人からは、泊まって良かったという意見を頂戴しています。おそらく宿泊者用の貸切風呂、お料理、そして接客など、宿として総合的な評価が良いものと思われます。従いまして私のような日帰り入浴ですと、その良さが一部しか伝わってこないのでしょう。つまり大浴場だけではこのお宿を迂闊に云々申し上げてはいけないのだと思います。平日の午後には屋上の展望露天風呂も日帰り利用客に開放されるそうですから、今度は平日かあるいは宿泊利用で、改めて訪問したいと考えていいます。


神の湯
ナトリウム-塩化物温泉 46.4℃ pH8.4 137ℓ/min(動力揚湯) 溶存物質1.269g/kg 成分総計1.288g/kg
Na+:433.2mg(92.72mval%), Ca++:25.3mg,
Cl-:679.3mg(93.42mval%), Br-:1.8mg, HS-:0.3mg, HCO3-:35.9mg, CO3--:8.8mg,
(平成28年12月15日)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環あり(衛生管理のため循環ろ過装置を使用)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を使用)
加水なし

山梨県甲斐市竜地17
0551-28-5000
ホームページ

日帰り入浴11:00~23:00(最終受付 21:30)
1000円(貸フェイスタオル2枚付き) 毎月26日は半額。
ロッカー(100円リターン式)、シャンプー類、ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント (6)
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