ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

映画の適齢期

2008年09月05日 | 映画


高校生相手に映画の話をしたら、どっと疲れてしまっ
た。
あの年頃に好きなジャンルといえば、非常に偏って、
ホラーとかアクション物とか、いずれにしろ映画の中
の極極一部で、自分達の見た狭い世界のものしか知ら
ない。
知識の絶対量が少ないのだ。
そして、自分の好きなものが絶対と思い込む傾向にあ
る。
だから、当然相対化できないし、監督の名前なども知
らないから、新しい映画を説明しようにもしようがな
い。
タイプ別に言っても、そのタイプが解らないのだから
もうお手上げである。
そんな状態であった。
それ以前に、何故高校生相手にそんな話をしなくては
ならない状況になったのか、の方が不思議だが、どう
いうわけかそういうことになってしまったのだ。

高校生の一タイプとしての勉強嫌い、しかし映画とか
小説には興味がある。
カルト系と言われるジャンルは好きだが、それだけで
に染まるのは抵抗がある。
その点では、視線が外に向いている。
国語は得意。
数学は駄目。
そんな高校生だ。
映画の知識はないに等しいから、「ゴダール」と言っ
てもそれって誰の世界だ。
小説では一度、殆ど冗談だったのだが、バタイユの
「眼球譚」は読んだ方がいいよと言ったことがある。
そしたら本当に読んだらしい。
自分で勧めたのだが、これってどうなんだと思う。
高校生にバタイユ。
大学生だって殆ど知らない。
勿論社会人だって殆ど知らないだろう。
良かったのか悪かったのか。

で、映画だが、「眼球譚」の眼球つながりで「アンダ
ルシアの犬」が良いよとも言ったのだが、そんなこと
は多分忘れていると思っていたら覚えていて、まだ観
たい気があるらしい。
「眼球譚」よりは憚られる部分も少ないので(多分)
結局貸してやることになった。
どうも、そういう映画もB級と一緒くたに考えている
節があったので(スプラッターとかホラーと)、違い
を理解させるために、作家性の強い映画も一緒に貸し
てやることにした。
世の中にはいろんな映画があると。
それがストローブ=ユイレの「アメリカ階級関係」と
ロブ=グリエの「グラディーヴァ.マラケシュの裸婦」
だ。
大事なコレクションであるので、絶対無くさないよう
にと念を押し。
しかし、高校生にこんな映画をという思いは最後まで
拭えなかった。
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