犬の「ゆうすけ」のいた蕎麦屋は(昨日の)、「蕎麦倶
楽部 佐々木」という、名前からして主人の趣味或い
は思想を感じさせる蕎麦屋だが、ありがちな、押し付
けがましい暴走的な店ではなく、むしろゆったり寛げ
そうな店である。
肴に「赤ホヤの塩辛」などというのもあり、夜は特に
そういう雰囲気になりそうだ。
なにしろ、入り口に「ゆうすけ」もいるし。
話は変わり「とうもろこし」について。
今人気の「とうもろこし」は、生でも食べられる「ピュ
アホワイト」というもの。
甘さは相当らしいが、「ピーターコーン」ですら甘す
ぎると感じる人間にとっては、論外の「とうもろこし」
である。
そこまで甘くする必要がどこになるのかと思うのだが、
世の中の嗜好、志向は「甘さ追求」であるので、こうい
う状況になってしまう。
「ハニーバンタム」が出た時点で、すでに方向は決まっ
た。
それにしても思うのは、「とうもろこし」は果物か?
ということである。
感触は悪いし、風味は乏しく、ただ甘いだけの今時の
「とうもろこし」を見るたびに、義憤に近い感情すら
生まれる。
これで良いのか。
個人的には、幸い、自家製のもろこし「もちもろこし」
という在来種があるから、今時のを食べることなく済
んだ。
断然「もちもろこし」の方が美味いのに、何故今時の
甘いだけのもろこしに走るのか。
これは、「もちもろこし」を食べるたびに感じる。
答えは簡単、甘さが少ないから。
採りたてを食べると、「もちもろこし」も充分甘さは
ある(適度な)。
ところが、時間がたつと一気に甘さがなくなるのが野
菜全般で、もろこしも例外ではない。
その点、今時のは甘さが保たれる。
この辺りが大きいのだろう。
しかし、例え甘さがなくなっても選ぶとしたら「もち
もろこし」だ。
もちっとした感触は、甘さより遥かに優先する。
「クロスバンタム」がなくなった今、時代は「もちも
ろこし」なのである(私的には)。
大粒の、白や黄色の中に紫が混じった「もちもろこし」
視覚的にも相当楽しい。
人によっては気味が悪いとなるかもしれないが、兎に
角、「もちもろこし」の復権は、日本人の味覚劣化を阻
止するため、或いは日本の食文化の衰退阻止にも必要
なことなのである(と大袈裟に言いたい気持ちがある
のは事実)。